今回の記事では、大学改革支援・学位授与機構で学士(文学:心理学分野)を取得した話を書きます。私は産業能率大学の通信課程で心理学を学びました。しかし、同大学で卒業して得られる学位は学士(マネジメント)となり心理学分野を学んだ証としては不十分に思えました。そこで目をつけたのが学位授与機構の積み上げ単位で学位を取得できる制度です。この制度では、今まで取得した大学の単位を利用して該当分野の学位を取得することが可能です。私もこの制度自体知らなかったのですが、放送大学で同様に認定心理士を取得された方が、積み上げ単位で学位を取得された記事を拝見して、もしかしたら自分にも可能性があるのでは?と思い受験しました。
※大学の学部学生として現に在籍している場合は申請できないのでご注意ください。
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構とは
大学以外の機関で学位を授与することのできる唯一の機関です。短期大学・高等専門学校を卒業された方や専修学校専門課程を修了された方などが、放送大学などで一定の学修を積み上げた場合、学位授与機構の行う審査に合格することによって「学士」の学位取得への途を開いています。
※学士のみで大学院の修士などはとれません。
申請の方法
「新しい学士への途 学位授与申請案内 令和〇年度版」という冊子をまずは手に入れます。
※この冊子に申請で必要なIDの記載があるので必ず必要です。
送付されてきた書類に目を通しましょう。まず、「申請書類チェックリスト」を選択し、申請に必要な書類・手続を確認します。
学修成果の作成や、学位授与電子申請システムへのデータ入力・送信を含め、申請に必要な書類の準備や手続きを行います。最後に申請で必要な書類を、学位授与機構に郵送(書留)します。
ちなみに、基礎資格に関して大学卒業という区分がありません。大学既卒者は、『Ⅳ 大学の学生として2年以上在学62単位以上を修得した者』という区分に該当するようです。
電子申請の流れ
- 大学改革支援・学位授与機構のウェブサイトへアクセス
- 「学位授与電子申請システムのご案内」ページへアクセス
- 学位授与電子申請システムにログイン
- 申請者情報入力画面で基本情報を入力
- レポートおよびレポートの要旨のアップロード
- 単位入力画面で修得した単位等を入力
- 総括表・確認画面で入力内容の確認・送信
- 「学位授与申請書」および「あて名用紙」の印刷
- 証明書等の必要書類の郵送(書留)
費用について
電子申請を行う際に審査料がまずかかります。審査料は32,000円です。その他、卒業証明書、成績証明書を発行費用や郵送料などがかかります。
申請要件について
申請する際は、まずは、以下の要件を満たしているか確認しましょう。
専門科目については、認定心理士の要件とほぼ同じことがわかります。
産業能率大学で修得した科目と各科目との対応を記載しますので参考にしてください。
各科目との対応
上記の表に記載の通り、専門科目40単位以上を履修している必要があります。かつA群の区分から「心理学に関する基礎的・概論的な科目」の区分を含み4区分以上にわたることが要件となっています。さらにB群の心理学に関する実験・実習科目を2単位以上修得している必要があります。
A群 心理学基礎・概論(必須)
心理学概論(4単位)
一般心理学(2単位)
基本キーワードで学ぶ心理学(2単位)
行動心理学(2単位)
心理学研究法(2単位)
心理統計法(2単位)
心理検査法(2単位)
A群 知覚・学習心理学
学習心理学(2単位)
認知心理学(2単位)
A群 教育・発達心理学
教育心理学(2単位)
発達心理学(2単位)
A群 人格・臨床心理学
福祉心理学(2単位)
健康心理学(2単位)
臨床心理学(2単位)
カウンセリングの理論(4単位)
心理療法(2単位)
面接技法(2単位)
A群 社会・集団心理学
人間関係の心理学(2単位)
社会心理学(2単位)
コミュニケーション論(2単位)
消費者心理学(2単位)
産業・組織心理学(4単位)
家族心理学(2単位)
ビジネス心理学入門(2単位)
産業カウンセリング概論(4単位)
キャリアカウンセリング(4単位)
B群 心理学実験・実習(2単位以上)
心理学実験演習Ⅰ(2単位)
心理学実験演習Ⅱ(2単位)
外国語の単位の修得(1単位以上)
学位授与機構の案内書には、修得単位には、外国語の単位を必ず1単位以上含まなければなりません。と記載があります。申請時にこの要件を満たしている必要があり、日本語以外の英語、中国語、ドイツ語、フランス語などの外国語の単位を修得していることが要件となっています。
関連科目の単位の修得(8単位以上)
上記の専門科目だけではなく、申請するには関連科目8単位以上が必要となります。私は情報系の学部卒だったので、前大学で修得した「情報科学に関する科目」を申請に利用しました。産業能率大学の通信課程で充足できない場合は、放送大学などの単位を合わせて申請する方法も考えられます。
小論文試験
学修成果としてレポートを提出した者に限り、小論文試験を受けることができます。試験場所は、東京の独立行政法人大学改革支援・学位授与機構 小平本館(一橋大学内)か大阪の大阪私学会館のどちらかとなっています。私は神奈川在住のため、東京会場を選択しました。小論文試験は約2時間(実際の試験時間は1時間30分)となっており、各自が学修成果として提出したレポートに関する内容について論述することになります。一人一人、レポートの内容が違うわけですから、同じ問題を出題されることはありません。小論文試験の対策は、各自が書いたレポートの内容を他者に説明できることだと思います。

試験結果の通知
上記の試験に合格した場合は、「判定結果」と併せて「学位記及び付随資料」が発送(佐川急便による配送)されます。修得単位の審査結果が不可もしくは、小論文試験が不可であった場合は不合格となります。その場合は、不合格であった理由が丁寧に記載されているようです。私は、幸運にも合格をいただくことができました。


感想
所感として、単位の入力や学修レポートの作成に途方もない時間を使ったため、それは覚悟して受けることをお勧めします。自分の学んできたことをレポートにまとめたり、小論文試験の対策をすることで試験を受けることでより深い学びになったとも考えています。結果として合格を頂き、学士(文学)の学位を頂けたため、自分の自信にもつながると思います。
過去の記事
心理学系の資格を目指す
目指せ認定心理士①(産能通信)
目指せ認定心理士②(産能通信)
目指せ認定心理士③(産能通信)
目指せ認定心理士④(産能通信)
目指せ認定心理士⑤+卒業(産能通信)
※随時、ブログを更新します。