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身体運動の物理的意味 (1)−関節を動かさないこと−

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Last updated at Posted at 2026-09-27

はじめに

以前の記事「物理的意味って何?」で,「物理」の「理」は「ことわり」であり,物理的意味とは「なぜそうなるのか」を力学の言葉で言えることだと書いた.このシリーズでは,身体運動の中から具体的な現象を一つずつ取り上げ,その物理的意味を,計測データと合わせながら考える.

今回は「関節を動かさないこと」.

身体運動を語るとき,われわれは「どの関節を,どう動かしたか」に目を向けがちである.投げる,打つ,蹴る,いずれも関節が大きく動く.しかし,力学の目で身体を見ると,動いていない関節にこそ,動力の生成と伝達の要がある.本稿では,関節を動かさないことの物理的意味を,動力(仕事率)の流れとして整理し,ゴルフスイングの全身の逆動力学でそれを確かめる.そのうえで,「関節を動かさない努力」をどのような物理量で表せばよいかを考える.

末端の関節は非力である

身体のエンドエフェクタである手や足の周辺の関節は,発揮できる力や動力(仕事率)が,他の部位と比べて極めて小さい.手首を曲げ伸ばしする筋は前腕にあり,股関節や体幹を動かす筋と比べれば,断面積も長さもはるかに小さい.

図 1:筋肉の収縮速度と外部に発揮する力の関係(A.V. Hill)

しかも筋には,収縮速度が高いほど発揮できる張力が低下するという力–速度関係がある(図 1)1.発揮できる仕事率は力と速度の積であるから,速く動かそうとするほど,一つの筋が出せる動力には天井がある.エンドエフェクタを速く動かすとき,あるいは手先で重い物を押すときに必要な動力は,末端の関節まわりの筋だけではまかなえない.

したがって,ボールを投げたり,クラブを振ったり,重い荷物を押したりするには,身体の他の部位から,手や足へ動力を供給する必要がある.問題は,その動力をどのように末端まで届けるか,である.

ゴルフスイングで考える動力の流れ

ここではまず,具体例としてゴルフスイングの腕とクラブを考え,腕とクラブを接続する手関節でのエネルギーの流れについて述べ,その後に一般化して議論する.腕は手を含めて 1 本の剛体とみなし,手関節を蝶番と考える(二重振子の見方).

図 2:ゴルフスイングの手関節を経由する動力の流れ(2 経路,3 種類)

手関節は,腕とクラブを接続する.ここで腕を体節 $1$,クラブを体節 $2$ とし,腕の角速度ベクトルを $\boldsymbol{\omega}_1$,クラブの角速度ベクトルを $\boldsymbol{\omega}_2$,手関節点の速度ベクトルを $\boldsymbol{v}_2$ とする.図 2 の $E_1$,$E_2$ は腕とクラブの力学的エネルギーである.力学的エネルギーの時間変化率(仕事率,パワー)を流体の流れ(単位時間あたりに流れる量)にたとえると,力学的エネルギーは,図 2 のようにタンクに溜まっている流体の量にあたる.力学的エネルギーには位置エネルギーも含むことに注意されたい.また,動力とはこの流れを指すことが多く,「単位時間あたりに送るエネルギー量」を表す言葉である.電気で言えば電力(単位はワット)にあたる.スイング中のクラブの力学的エネルギーは大半が運動エネルギーであるので,クラブのエネルギーはクラブの運動の勢いと考えてもよいだろう.

なお,エネルギーの流れは一方的でない.さもなくばクラブは加速し続けることになる.クラブの加速中は腕からクラブへとエネルギーを供給するが,インパクト後はしばらくしてから,反対にクラブから腕に流れる.腕からクラブの流れを順方向($+$)とすると,逆流によってクラブのエネルギーを吸収することになる.手首の関節のトルク(筋力)は,腕とクラブに作用するが,腕とクラブに向かう流れを順方向($+$)とすると,筋肉がブレーキとなってエネルギーを吸収するフェーズもある.

各体節(腕 $1$ とクラブ $2$)のエネルギーの量を変化させる流れは,図 2 では赤系統と青系統の色で示した 2 経路がある.一つは腕とクラブのあいだに作用する力 $\boldsymbol{F}_2$ が引き起こす流れで,もう一つはトルク $\boldsymbol{N}_2$ が引き起こす流れ(動力,仕事率,パワー)である.

このエネルギーの流れ(仕事率)は,その部位に作用する力ベクトル $\boldsymbol{F}$ やトルクベクトル $\boldsymbol{N}$ と,その部位の速度ベクトルや角速度ベクトルとの内積で計算される.

図 3 に示すように,エネルギーの流れ(仕事率)$P$ は力ベクトルと速度ベクトルの内積なので,ベクトルの方向が一致しているほど流れは大きくなり,直交すると流れはなくなる.逆向きなら流れは負,すなわち吸収である.

図 3:動力は力ベクトルと速度ベクトルの内積

力がもたらす動力の流れ

さて,図 2 の赤色破線で示した力による仕事率については,腕には力 $-\boldsymbol{F}_2$ が,クラブには力 $\boldsymbol{F}_2$ が作用し,作用点である手関節点の速度 $\boldsymbol{v}_2$ は両者に共通である.したがって,腕から $\boldsymbol{F}_2^T\boldsymbol{v}_2$ が減り,同じ量がクラブに増える.すなわち動力は腕からクラブへそのまま流れる.素通りである.

トルクがもたらす動力の流れ

一方,図 2 の青系統の色で示したトルクが引き起こすエネルギーの流れは 2 つある.腕には手関節まわりのトルク $-\boldsymbol{N}_2$ が作用し,腕の角速度が $\boldsymbol{\omega}_1$ なので,手関節から腕へ $(-\boldsymbol{N}_2)^T\boldsymbol{\omega}_1$ の流れが生じる.クラブには手関節まわりのトルク $+\boldsymbol{N}_2$ が作用し,クラブの角速度が $\boldsymbol{\omega}_2$ なので,手関節からクラブへ $\boldsymbol{N}_2^T\boldsymbol{\omega}_2$ の流れが生じる.この 2 つの流れは,正なら手関節(を動かす筋)から体節へエネルギーが供給され,負なら反対に体節から手関節へ流れ吸収される.

このとき,手関節のトルクが,腕とクラブの「相対運動」に対して引き起こすエネルギーの流れは,2 つの流れの和 $\boldsymbol{N}_2^T\boldsymbol{\omega}_r = \boldsymbol{N}_2^T(\boldsymbol{\omega}_2 - \boldsymbol{\omega}_1)$ となる.ここで $\boldsymbol{\omega}_r = \boldsymbol{\omega}_2 - \boldsymbol{\omega}_1$ は,手関節における腕とクラブの相対角速度である.

ここからすぐにわかることは,大きなトルク $\boldsymbol{N}_2$ が作用していても,相対角速度 $\boldsymbol{\omega}_r$ が小さければ,2 つの流れはそれぞれ大きくても互いに打ち消し合い,相対運動に対しては動力が使われない,ということである.

まとめると,腕とクラブのあいだでは,力 $\boldsymbol{F}_2$ による動力 $\boldsymbol{F}_2^T\boldsymbol{v}_2$ は手関節点が動いていれば素通りし,トルク $\boldsymbol{N}_2$ による動力 $\boldsymbol{N}_2^T(\boldsymbol{\omega}_2 - \boldsymbol{\omega}_1)$ は関節を動かす(相対角を変える)ことに使われる.

関節を通る動力には 2 つの経路がある

これまで取り上げたゴルフスイングの例を,以下では一般化する.

図 4:関節 j をまたぐエネルギーの流れ

図 4 に示すように,関節 $j$ がつなぐ 2 つの体節のうち,エンドエフェクタに近い側を $X$,地面に近い側を $Y$ とする.$Y$ が関節 $j$ を介して $X$ に作用させる力とトルクを $\boldsymbol{F}_j$,$\boldsymbol{N}_j$,関節点の速度を $\boldsymbol{v}_j$,両体節の角速度を $\boldsymbol{\omega}_X$,$\boldsymbol{\omega}_Y$ とすると,関節 $j$ を通る力学的エネルギーの流れ(仕事率)は,2 つの項 $P_F$,$P_N$ に分かれる.

\begin{gathered}
P_F = \boldsymbol{F}_j^T\boldsymbol{v}_j
\\[6pt]
P_N = \boldsymbol{N}_j^T\boldsymbol{\omega}_X + (-\boldsymbol{N}_j)^T\boldsymbol{\omega}_Y = p_X + p_Y = \boldsymbol{N}_j^T\boldsymbol{\omega}_r
\\[6pt]
p_X \equiv \boldsymbol{N}_j^T\boldsymbol{\omega}_X, \quad
p_Y \equiv (-\boldsymbol{N}_j)^T\boldsymbol{\omega}_Y, \qquad
\boldsymbol{\omega}_r \equiv \boldsymbol{\omega}_X - \boldsymbol{\omega}_Y
\end{gathered}

力による仕事率 $P_F$ は,関節点の速度 $\boldsymbol{v}_j$ が両側の体節で共通であることから,$X$ に $+P_F$,$Y$ に $-P_F$ を与える.すなわち $P_F$ は,関節で生成も吸収もされず,関節を素通りするエネルギーの流れである.関節が固定されていても(相対角速度が 0 でも),関節点が動いていれば $P_F$ は流れる.

トルクによる仕事率 $P_N$ は,関節をまたぐ 2 つの体節の相対角速度 $\boldsymbol{\omega}_r$ に対する仕事率であり,関節が相対角を変化させることで生み出す(負のときは吸収する)仕事率である.関節を「動かす」とは,この $P_N$ を使って相対角を変えることに他ならない.逆に,相対角速度が 0 の関節では,どれほど大きなトルクが作用していても $P_N = 0$ である.

なお,関節 $j$ のトルクは,エンドエフェクタ側 $X$ には $\boldsymbol{N}_j$ として,地面側 $Y$ には $-\boldsymbol{N}_j$ として作用する.$P_N$ は,トルクが $X$ に与える仕事率 $p_X$ と $Y$ に与える仕事率 $p_Y$ の和である.$p_X$ と $p_Y$ の符号が逆で大きさが等しいとき,トルクは一方の体節から受け取った動力をそのまま他方へ渡しており,関節では何も生成・吸収していない.

ここで注意したいのは,$P_N$ が相対角速度で定義されていることである.上腕と前腕がともに大きな角速度で回転していても,$P_N$ が小さければ,肘のトルクは両体節の相対角をほとんど変化させていない.つまり肘は「動かされている」のであって,「動かしている」のではない.

まとめると,

  • 関節を動かさない($\boldsymbol{\omega}_r \approx 0$)とは,トルクがエンドエフェクタ側へ送る流れ $p_X$ と地面側へ送る流れ $p_Y$ とを釣り合わせ($p_X \approx -p_Y$),$P_N \approx 0$ のまま,$P_F$ で動力を素通しすることである.
  • 関節が動かなければ,そこで動力は生成も損失もされない.関節は動力を通す部品になる.

これを分かりやすい機械に置き換えると,油圧ショベルに近い.弁を閉じて保持したシリンダは,大きな荷重を受け止めるが,流量が 0 なので動力を消費しない.動力は圧力(示強量)として配管を伝わり,途中の部品は動かない.身体で言えば,弁を閉じたシリンダが「固定された関節」,配管を伝わる圧力が「関節を通る力 $\boldsymbol{F}_j$」,ブームやアームの構造材が「骨」に対応する.ただし身体では,シリンダの弁を閉じるのと違って,関節を固定する筋の等尺性収縮は代謝エネルギーを使う.力学的な仕事は 0 でも,生理的には無料ではない.

そして,全身運動では圧力勾配によって必要なところに動力を供給する.身体各部に圧力勾配を形成し,末端の道具や環境へと力学的エネルギーをいかに送るかが,筋力やトルクの役目である.ローカルに関節に動かすことではない.

ゴルフスイングで確かめる

計測と解析

ゴルフスイングの全身逆動力学で確かめる.グリップ内に 6 分力センサを組み込んだアイアンを用い,手がクラブに作用させる力とトルクをこのセンサで実測した.地面反力を左右の足の下の 2 枚のフォースプレートで,全身の動きを光学式モーションキャプチャで計測した.身体は 15 体節の剛体リンクとしてモデル化し2,地面から脚・体幹を経て腕へ,またクラブから手・腕へと逆動力学を解いて,各関節に作用する力 $\boldsymbol{F}_j$ とトルク $\boldsymbol{N}_j$ を求めた.

時間軸はインパクトを 0 s とし,トップ(Top,点線)と,クラブの自然な回転が始まる瞬間 NU(natural uncock,一点鎖線) を縦線で示す.NU はグリップ中心の速さが最大になる瞬間で,これ以降,手はクラブを引っ張るのをやめ,クラブは慣性で「自然に」回転しはじめる.

代表的な 4 関節:大きなトルクと小さな仕事率

図 5 に,代表的な 4 関節(右股関節 Hip R,胸椎関節 Thoracic=上胴と下胴をつなぐ関節,左肩 Shoulder L,左手首 Wrist L)について,1 段目にトルクの大きさ $|\boldsymbol{N}_j|$,2 段目にトルクがエンドエフェクタ側の体節へ送る動力 $p_X = \boldsymbol{N}_j^T\boldsymbol{\omega}_X$(オレンジ色の帯)と地面側の体節へ送る動力 $p_Y = (-\boldsymbol{N}_j)^T\boldsymbol{\omega}_Y$(水色の帯)およびその和 $P_N$(青線),3 段目に仕事率を示す.2 段目の帯は正を上へ,負を下へ積んであるので,帯の上端と下端を足したものが青線になる.各パネルには $X$,$Y$ がどの体節かを記した.3 段目の赤の実線が力による仕事率 $P_F = \boldsymbol{F}_j^T\boldsymbol{v}_j$,青の実線がトルクによる仕事率 $P_N = \boldsymbol{N}_j^T\boldsymbol{\omega}_r$ である.

図 5 代表的な 4 関節におけるトルクの大きさ(1 段目),トルクが両側の体節へ送る動力とその和(2 段目),仕事率(3 段目).

右股関節 Hip R には最大で 190 N·m,胸椎関節 Thoracic には 140 N·m という大きなトルクが作用している.右股関節では $p_Y$ がほぼ 0 で,トルクの仕事は下胴側 $p_X$ だけに向かう($P_N \approx p_X$,最大 500 W 程度).胸椎関節では,$p_X$ が上胴へ 1000 W を超える動力を送る一方,$p_Y$ は下胴から 1000 W 近い動力を受け取っており(負),両者はほぼ打ち消し合う.その結果,トルクによる仕事率 $P_N$ は,トルクの大きさや両側の帯の大きさに見合わず,数百 W にとどまる.つまり胸椎関節のトルクは,下胴から受け取った動力をほぼそのまま上胴へ渡しているだけで,関節自体はほとんど動いていない.この関節は $p_X$ と $p_Y$ を拮抗させることで,ほぼ固定されたまま,腕とクラブの運動を支えている.

左肩は逆で,トルクは同程度でも,$p_X$(上腕へ 1600 W)と $p_Y$(上胴から −700 W)が釣り合わず,差し引きの $P_N$ が NU の手前で 1100 W に達する.左肩は,このスイングで相対角を変えることによって動力を生み出している主要な関節である.

そして左手首を見ると,トルクは 20 N·m 以下と小さく,とくにクラブの自然な回転が始まる(NU)前は,手に送る動力 $p_X$ と前腕に送る動力 $p_Y$ が小さいながら打ち消し合い,$P_N$ はほぼ 0 である.つまり,左手首を動かしてはいない.一方,力による仕事率 $P_F$ は最大 2300 W に達する.手首は,動力を生み出しているのではなく,上流で生み出された動力を,力として素通ししている.手首の相対角速度そのものは,NU 以降,14 rad/s 程度まで大きくなる(いわゆるアンコック).しかしそれは手首のトルクが行っているのではなく,クラブの慣性によって「動かされて」いる.手首は動いているが,動かしてはいない.

これは,関節を順に動かしてエネルギーを近位から遠位へ受け渡すという運動連鎖の描像3とは異なる.動力は左肩などで生成され,胸椎や手首を素通りしてクラブに届いている.

「動かさない努力」をどう測るか

関節を動かさないことが動力の伝達に本質的だとすると,次に知りたいのは,動かさないための努力をどのような物理量で表せばよいか,である.

相対角度・相対角速度

最も素朴には,相対角が変わらなければ「動いていない」.しかし相対角度や相対角速度は結果であって,努力ではない.外力に押されて動かされた関節と,動かないように保持している関節とを区別できない.

トルク

トルクは「力を出しているか」を表す.しかしトルクだけでは,それが関節を動かすための力なのか,動かさないための力なのか分からない.

仕事率

トルクによる仕事率 $P_N$ は,トルクが相対角を変える仕事をしたかどうかを直接表す.$P_N \approx 0$ であれば,トルクは関節を動かしていない.前節で見たとおり,胸椎や手首は $P_N$ が小さく,「固定」の状態にある.ただし $P_N$ が 0 になる理由は 3 つある.トルクが 0,相対角速度が 0,あるいは両者が直交している場合である.$P_N$ だけでは,このどれなのかは分からない.

ここで役に立つのが,$P_N$ を両側の体節への流れに分けた $p_X$ と $p_Y$ である.トルクが 0 なら $p_X$,$p_Y$ はともに 0 になる.相対角速度が 0 なら,$p_X$ と $p_Y$ は大きさが等しく符号が逆になる.つまり,$p_X$ と $p_Y$ がともに大きく,かつ拮抗して $P_N \approx 0$ となっていれば,その関節はトルクを掛けながら動きを止めている,すなわち「固定するための筋の働き」の目安になる.図 5 の胸椎関節がまさにこの状態である.

なお,どの物理量を使っても,力学的な量は「固定するための筋の働き」を直接には測れない.たとえば拮抗筋の共収縮は,関節トルクとしては互いに打ち消し合って現れないので,逆動力学からは見えない.複合的な考察が必要だ.

おわりに

関節を動かさないことの物理的意味を,動力の流れとして整理した.

  • 関節を通る動力には,力による $P_F$ とトルクによる $P_N$ の 2 つの経路がある.関節を動かさない(相対角速度が 0)とは,トルクが両側の体節へ送る流れ $p_X$,$p_Y$ を拮抗させて $P_N = 0$ のまま,$P_F$ で動力を素通しすることである.
  • ゴルフスイングでは,大きなトルクが作用する胸椎関節は $p_X$ と $p_Y$ が拮抗してほぼ固定されており,動力は左肩などで生成されて,胸椎や手首を素通りしてクラブに届く.手首は速く回転しているが,それはクラブに「動かされて」いるのであって,手首が「動かして」いるのではない.
  • 「動かさない努力」を表す量として,相対角速度,トルク,仕事率 $P_N$ を比べ,$p_X$ と $p_Y$ の拮抗がその目安になることを示した.

末端の関節が非力であるがゆえに,身体は,末端の関節を動かすのではなく,むしろ固定して,身体全体の質量で押す大きな力を末端に届けている.

参考文献

  1. Hill, A. V., “The heat of shortening and the dynamic constants of muscle”, Proceedings of the Royal Society B, Vol. 126 (1938), pp. 136–195. ↩

  2. 阿江通良,湯海鵬,横井孝志,“日本人アスリートの身体部分慣性特性の推定”,バイオメカニズム,Vol. 11 (1992), pp. 23–33. ↩

  3. Kreighbaum, E. and Barthels, K. M., Biomechanics: A Qualitative Approach for Studying Human Movement, 4th ed., Boston: Allyn & Bacon (1996). ↩

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