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PostgreSQL と Snowflake ― 設計思想とデータ管理の違い

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目次

  1. 両者の立ち位置
  2. データの基本単位と管理方法
  3. データの配置と管理責任
  4. アクセスモデルと最適化の考え方
  5. パーティション・インデックスの位置付け
  6. まとめ

1. 両者の立ち位置

PostgreSQL と Snowflake は、どちらもデータを扱うDBですが、
想定している用途とデータ規模が根本的に異なります

基本的な位置付け

観点 PostgreSQL Snowflake
分類 RDB
→ 行単位で正確に管理
クラウド型 DWH
→ 大量データを蓄積し分析
主用途 OLTP(Online Transaction Processing)
→ 1件ずつの登録・更新・削除を高速処理
OLAP(Online Analytical Processing)
→ 大量データをまとめて集計・分析
想定データ量 少〜中規模 中〜超大規模
利用形態 単体DB / クラスタ
→ サーバやDB構成を利用者が管理
SaaS
→ インフラやDB運用を意識せず利用可能

立ち位置の違い

PostgreSQL と Snowflake は、
OLTP / OLAP という役割の違いによって設計思想が明確に分かれている

  • PostgreSQL
    → 行を正確・高速に扱うためのデータベース
  • Snowflake
    → 大量データを前提に集計・分析するためのデータベース

この立ち位置の違いが、
以降で説明するデータ管理方法や最適化手法の差につながる。

2. データの基本単位と管理方法

PostgreSQL と Snowflake では、
「データをどの単位で保持・処理するか」そのものが異なります

この違いは、保存方式・取得方法・最適化の考え方に直結します。

データの基本単位と指向性

観点 PostgreSQL Snowflake
基本単位
→ タプル(行)を最小単位として扱う
マイクロパーティション
→ 複数行を含むデータの塊を最小単位として扱う
データ指向 行指向
→ 1行分のデータをまとめて保存・処理
列指向
→ 列ごとにデータをまとめて保存・処理
データ取得 行を1件ずつ取得
→ 必要な行をピンポイントで読む
パーティション単位で取得
→ マイクロパーティションをまとめて読む

考え方の違い

  • PostgreSQL
    → 行(タプル)を最小単位として管理し、
      必要な行に正確・高速に到達することを重視する RDB

  • Snowflake
    → マイクロパーティションを最小単位として管理し、
      条件に合わないデータを事前に読まないことを重視する DWH

この 基本単位とデータ指向の違い が、
後述する最適化手法や実行計画の考え方の差につながります。

3. データの配置と管理責任

PostgreSQL と Snowflake では、
データをどのように配置し、誰がその管理を担うか が大きく異なります。

この違いは、設計・運用・チューニングの考え方に直結します。

データ配置と管理の違い

観点 PostgreSQL Snowflake
配置の制御 人が設計
→ 利用者がインデックスやパーティションを設計・制御
システムが自動
→ 配置は自動化され、利用者は意識しない
パーティション 明示的に定義
→ 利用者が分割ルールを指定
自動生成
→ システムが自動的に分割
再配置 手動(DDL)
→ 利用者が意図的に再配置を実行
自動(再クラスタリング)
→ システムが自動調整
運用の主体 DBA / 開発者
→ 利用者側で運用・管理
Snowflake 側
→ サービス提供側が管理

考え方の違い

  • PostgreSQL
    → データ配置や構造を 人が設計・管理する前提 のデータベース
      パーティションやインデックスはチューニング要素として扱われる

  • Snowflake
    → データ配置は システムに任せる前提 のデータウェアハウス
      利用者は論理設計やクエリに集中できる

この 管理責任の所在の違い が、
設計自由度と運用負荷の差として現れます。

4. アクセスモデルと最適化の考え方

PostgreSQL と Snowflake では、
クエリ実行時に何を最適化対象とするか が根本的に異なります。

この違いは、アクセスモデル・統計情報の役割・実行計画の見え方に表れます。

アクセスモデルと最適化対象

観点 PostgreSQL Snowflake
最適化対象 行への到達
→ 必要な行にできるだけ早く辿り着く
読まないデータの除外
→ 不要なデータを事前に除外する
代表要素 インデックス / TID
→ 行の物理位置を使って直接アクセス
プルーニング
→ 条件に合わないマイクロパーティションを除外
統計の役割 行数推定
→ 条件に一致する行数を見積もる
ブロック除外判断
→ 読み込む必要のないパーティションを判断
実行計画 行中心
→ 行の取得方法や結合順序を重視
スキャン量中心
→ 読み込むデータ量や除外数を重視

考え方の違い

  • PostgreSQL
    「どの行に、どう辿り着くか」 を最適化する
      インデックスや結合順序の選択が重要になる

  • Snowflake
    「どのデータを読まないか」 を最適化する
      マイクロパーティションのメタデータを活用し、
      スキャン量そのものを削減する

この違いにより、
同じ SQL であっても、実行計画の内容や評価軸は大きく異なります。

5. パーティション・インデックスの位置付け

PostgreSQL と Snowflake では、
パーティションやインデックスを「設計対象として扱うかどうか」 が大きく異なります。

この違いは、チューニングの自由度や設計時の思考プロセスに直結します。

パーティション・インデックスの位置付け

観点 PostgreSQL Snowflake
パーティションの役割 設計要素
→ 利用者が用途に応じて設計・定義
内部実装
→ システム内部で自動管理
パーティション種別 RANGE / LIST / HASH
→ 分割ルールを明示的に指定
なし
→ 利用者が分割ルールを定義しない
インデックス 主役
→ 行に素早く到達するための主要手段
原則使わない
→ 行検索を前提としない
設計の焦点 分割ルール
→ どの列・条件で分割するか
データ配置
→ データがどう並び、どう分布するか

考え方の違い

  • PostgreSQL
    → パーティションやインデックスは
      性能を左右する重要な設計・チューニング要素
      利用者が意図を持って設計・調整する

  • Snowflake
    → パーティションやインデックスは
      利用者が意識しない内部実装
      システムが自動的に管理・最適化する

この違いにより、
PostgreSQL では設計力が性能に直結し、
Snowflake ではクエリ設計やデータの使い方が重要になる。

6. まとめ

PostgreSQL と Snowflake は、
同じ SQL を使ってデータを扱える点では共通していますが、
設計思想と最適化の前提が大きく異なるデータベースです。

本記事のポイント

  • 立ち位置の違い

    • PostgreSQL:OLTP を前提とした RDB
    • Snowflake:OLAP を前提としたクラウド型 DWH
  • 最適化の考え方の違い

    • PostgreSQL:必要な行にどう辿り着くかを最適化
    • Snowflake:どのデータを読まないかを最適化
  • 設計・運用責任の違い

    • PostgreSQL:人が設計し、人が運用する
      (インデックス・パーティション・統計)
    • Snowflake:システムが自動で管理する
      (マイクロパーティション・プルーニング)

最後に

重要なのは、
「同じ SQL が速いかどうか」ではなく、
「どの用途に向いたデータベースか」を理解して使い分けること
です。

それぞれの立ち位置を理解した上で選択・設計することで、
データベースの特性を最大限に活かすことができます。

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