目次
1. 両者の立ち位置
PostgreSQL と Snowflake は、どちらもデータを扱うDBですが、
想定している用途とデータ規模が根本的に異なります。
基本的な位置付け
| 観点 | PostgreSQL | Snowflake |
|---|---|---|
| 分類 | RDB → 行単位で正確に管理 |
クラウド型 DWH → 大量データを蓄積し分析 |
| 主用途 | OLTP(Online Transaction Processing) → 1件ずつの登録・更新・削除を高速処理 |
OLAP(Online Analytical Processing) → 大量データをまとめて集計・分析 |
| 想定データ量 | 少〜中規模 | 中〜超大規模 |
| 利用形態 | 単体DB / クラスタ → サーバやDB構成を利用者が管理 |
SaaS → インフラやDB運用を意識せず利用可能 |
立ち位置の違い
PostgreSQL と Snowflake は、
OLTP / OLAP という役割の違いによって設計思想が明確に分かれている。
- PostgreSQL
→ 行を正確・高速に扱うためのデータベース - Snowflake
→ 大量データを前提に集計・分析するためのデータベース
この立ち位置の違いが、
以降で説明するデータ管理方法や最適化手法の差につながる。
2. データの基本単位と管理方法
PostgreSQL と Snowflake では、
「データをどの単位で保持・処理するか」そのものが異なります。
この違いは、保存方式・取得方法・最適化の考え方に直結します。
データの基本単位と指向性
| 観点 | PostgreSQL | Snowflake |
|---|---|---|
| 基本単位 | 行 → タプル(行)を最小単位として扱う |
マイクロパーティション → 複数行を含むデータの塊を最小単位として扱う |
| データ指向 | 行指向 → 1行分のデータをまとめて保存・処理 |
列指向 → 列ごとにデータをまとめて保存・処理 |
| データ取得 | 行を1件ずつ取得 → 必要な行をピンポイントで読む |
パーティション単位で取得 → マイクロパーティションをまとめて読む |
考え方の違い
-
PostgreSQL
→ 行(タプル)を最小単位として管理し、
必要な行に正確・高速に到達することを重視する RDB -
Snowflake
→ マイクロパーティションを最小単位として管理し、
条件に合わないデータを事前に読まないことを重視する DWH
この 基本単位とデータ指向の違い が、
後述する最適化手法や実行計画の考え方の差につながります。
3. データの配置と管理責任
PostgreSQL と Snowflake では、
データをどのように配置し、誰がその管理を担うか が大きく異なります。
この違いは、設計・運用・チューニングの考え方に直結します。
データ配置と管理の違い
| 観点 | PostgreSQL | Snowflake |
|---|---|---|
| 配置の制御 | 人が設計 → 利用者がインデックスやパーティションを設計・制御 |
システムが自動 → 配置は自動化され、利用者は意識しない |
| パーティション | 明示的に定義 → 利用者が分割ルールを指定 |
自動生成 → システムが自動的に分割 |
| 再配置 | 手動(DDL) → 利用者が意図的に再配置を実行 |
自動(再クラスタリング) → システムが自動調整 |
| 運用の主体 | DBA / 開発者 → 利用者側で運用・管理 |
Snowflake 側 → サービス提供側が管理 |
考え方の違い
-
PostgreSQL
→ データ配置や構造を 人が設計・管理する前提 のデータベース
パーティションやインデックスはチューニング要素として扱われる -
Snowflake
→ データ配置は システムに任せる前提 のデータウェアハウス
利用者は論理設計やクエリに集中できる
この 管理責任の所在の違い が、
設計自由度と運用負荷の差として現れます。
4. アクセスモデルと最適化の考え方
PostgreSQL と Snowflake では、
クエリ実行時に何を最適化対象とするか が根本的に異なります。
この違いは、アクセスモデル・統計情報の役割・実行計画の見え方に表れます。
アクセスモデルと最適化対象
| 観点 | PostgreSQL | Snowflake |
|---|---|---|
| 最適化対象 | 行への到達 → 必要な行にできるだけ早く辿り着く |
読まないデータの除外 → 不要なデータを事前に除外する |
| 代表要素 | インデックス / TID → 行の物理位置を使って直接アクセス |
プルーニング → 条件に合わないマイクロパーティションを除外 |
| 統計の役割 | 行数推定 → 条件に一致する行数を見積もる |
ブロック除外判断 → 読み込む必要のないパーティションを判断 |
| 実行計画 | 行中心 → 行の取得方法や結合順序を重視 |
スキャン量中心 → 読み込むデータ量や除外数を重視 |
考え方の違い
-
PostgreSQL
→ 「どの行に、どう辿り着くか」 を最適化する
インデックスや結合順序の選択が重要になる -
Snowflake
→ 「どのデータを読まないか」 を最適化する
マイクロパーティションのメタデータを活用し、
スキャン量そのものを削減する
この違いにより、
同じ SQL であっても、実行計画の内容や評価軸は大きく異なります。
5. パーティション・インデックスの位置付け
PostgreSQL と Snowflake では、
パーティションやインデックスを「設計対象として扱うかどうか」 が大きく異なります。
この違いは、チューニングの自由度や設計時の思考プロセスに直結します。
パーティション・インデックスの位置付け
| 観点 | PostgreSQL | Snowflake |
|---|---|---|
| パーティションの役割 | 設計要素 → 利用者が用途に応じて設計・定義 |
内部実装 → システム内部で自動管理 |
| パーティション種別 | RANGE / LIST / HASH → 分割ルールを明示的に指定 |
なし → 利用者が分割ルールを定義しない |
| インデックス | 主役 → 行に素早く到達するための主要手段 |
原則使わない → 行検索を前提としない |
| 設計の焦点 | 分割ルール → どの列・条件で分割するか |
データ配置 → データがどう並び、どう分布するか |
考え方の違い
-
PostgreSQL
→ パーティションやインデックスは
性能を左右する重要な設計・チューニング要素
利用者が意図を持って設計・調整する -
Snowflake
→ パーティションやインデックスは
利用者が意識しない内部実装
システムが自動的に管理・最適化する
この違いにより、
PostgreSQL では設計力が性能に直結し、
Snowflake ではクエリ設計やデータの使い方が重要になる。
6. まとめ
PostgreSQL と Snowflake は、
同じ SQL を使ってデータを扱える点では共通していますが、
設計思想と最適化の前提が大きく異なるデータベースです。
本記事のポイント
-
立ち位置の違い
- PostgreSQL:OLTP を前提とした RDB
- Snowflake:OLAP を前提としたクラウド型 DWH
-
最適化の考え方の違い
- PostgreSQL:必要な行にどう辿り着くかを最適化
- Snowflake:どのデータを読まないかを最適化
-
設計・運用責任の違い
- PostgreSQL:人が設計し、人が運用する
(インデックス・パーティション・統計) - Snowflake:システムが自動で管理する
(マイクロパーティション・プルーニング)
- PostgreSQL:人が設計し、人が運用する
最後に
重要なのは、
「同じ SQL が速いかどうか」ではなく、
「どの用途に向いたデータベースか」を理解して使い分けることです。
それぞれの立ち位置を理解した上で選択・設計することで、
データベースの特性を最大限に活かすことができます。