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LifeKeeper for Windows を導入したインスタンスを別リージョンにリストアする

Last updated at Posted at 2023-07-14

AWS環境はリージョン内をAvailability Zone(AZ)で仕切られているため、障害が発生してもAZを跨いでクラスターを組んでいれば殆どの障害を回避可能と考えられます。しかし中には念には念を入れて、別のリージョンで復元できるようにしたいという要望をいただきます。今回は、別リージョンへバックアップデータのSnapshotを展開することが可能なVeeam Backup for AWS を使用して、LifeKeeper for Windows でクラスター構成を構築したシステムのリストア手順を紹介します。
*今回のリストア③は、事前に①,②で取得したバックアップデータを使用します。
2023-07-14 09_27_26-20230428Veeamバックアップ構成図.pptx - PowerPoint.png

【Veeam Backup】Amazon S3 オブジェクトロックと Veeam Backup for AWS による LifeKeeper ランサムウェア対策
https://lkdkuserportal.sios.jp/hc/ja/articles/900005840923

大阪リージョンへのリストア

今回のバックアップ・リストアのシナリオは下記の通りです。

シナリオとしては、東京リージョン全体の障害が発生したため、東京リージョンで運用しているシステムのバックアップ(スナップショット)を予め大阪リージョンに複製しておき、大阪リージョンのバックアップデータから大阪リージョンにシステムを復旧する内容です。
大まかな手順は下記のとおりです。

  1. 東京リージョンでVeeam Backup for AWSでバックアップ(スナップショット)を取ります。取ったバックアップは東京リージョンのS3に格納されます。
  2. 東京リージョンのS3から大阪リージョンのS3にバックアップデータを複製します。複製はVeeam Backupの機能で行われます。
  3. 大阪リージョンのS3から大阪リージョン内にスナップショットをリストアします。
  4. 別リージョンにリストアした場合、IPアドレスなど一部設定に変更が出てしまうため、設定変更を行います。

VPCのリストア

大阪リージョンにリストアを行う前に大阪リージョンに東京リージョンと同じネットワーク環境を作るためVPC設定のリストアを行います。

  1. Protected DataからVPCを選択します。
    2023-07-06 16_03_25-Veeam Backup for AWS.png
  2. ソースVPCを選択してRestoreメニューから"Entire VPC"を選択します。
    2023-07-06 14_35_48-Veeam Backup for AWS.png
  3. 大阪リージョンにリストアするVPCを選択します。
    2023-07-06 14_36_30-Veeam Backup for AWS.png
  4. 実行するIAMロールを選択します。
    2023-07-06 14_36_41-Veeam Backup for AWS.png
  5. リストア先となるリージョンを選択します。
    2023-07-06 14_36_58-Veeam Backup for AWS.png
  6. リストア元のAvailability Zone(AZ)に紐づくリストア先のAZを設定します。
    2023-07-06 14_37_40-Veeam Backup for AWS.png
  7. 今回のリストアの理由などを記載します。
    2023-07-06 14_38_15-Veeam Backup for AWS.png
  8. リストア内容が表示されます。Finish を押すとリストアが開始されます。
    2023-07-06 14_38_22-Veeam Backup for AWS.png
    9.リストアが完了します。前述の通り、EIP情報やENI情報が一致しなくなりWarningがでるため、ルートテーブルの設定やエンドポイント、Public IPは再設定が必要になります。
    2023-07-06 16_01_52-Veeam Backup for AWS.png
    2023-07-06 16_02_04-Veeam Backup for AWS.png
    2023-07-06 16_02_15-Veeam Backup for AWS.png

インスタンスイメージのリストア

作成したVPCを使用してインスタンスイメージをリストアします。

  1. Producted Data 項目から”EC2”を選択します。
    2023-07-06 16_43_38-Veeam Backup for AWS.png
  2. 事前にVeeam Backup for AWS で取得したバックアップデータを使用します。バックアップデータを選択してRestore Pointsをクリックします。
    2023-07-05 16_28_42-Veeam Backup for AWS.png
  3. Restore Pointsからリストアするイメージを選択します。
    2023-07-05 16_28_58-Veeam Backup for AWS.png
  4. リストア方法を選択します。大阪リージョンに新規で展開するため "Instance Restore" を選択します。
    2023-07-05 16_44_43-Veeam Backup for AWS.png
  5. インスタンスを選択します。既に選択済みなのでこのまま次に進めます。
    2023-07-05 16_45_55-Veeam Backup for AWS.png
  6. バックアップ時にも使用したIAM Role を選択します。
    2023-07-05 16_46_22-Veeam Backup for AWS.png
  7. 展開するリージョンを選択します。大阪リージョンを選択します。
    2023-07-05 16_46_38-Veeam Backup for AWS.png
  8. 暗号化の設定ではオリジナルを選択します。
    2023-07-05 16_47_20-Veeam Backup for AWS.png
  9. インスタンスの設定を見直します。大阪リージョンに展開するため、大阪リージョンに存在するインスタンスタイプ(t3.large)に変更する必要があります。
    2023-07-06 13_24_45-Veeam Backup for AWS.png
  10. ネットワークの設定を行います。
    2023-07-06 13_28_08-Veeam Backup for AWS.png
  11. リストア時に使用するVPC, Subnet,Securityグループを選択し、Public IPの割り当てを無効にします。
    2023-07-06 13_28_29-Veeam Backup for AWS.png
    2023-07-06 13_28_40-Veeam Backup for AWS.png
  12. 今回のバックアップの理由、メモなどを記載します。
    2023-07-05 16_52_11-Veeam Backup for AWS.png
  13. インスタンスリストアの設定内容を確認します。Finishをクリックするとリストアが開始されます。
    2023-07-05 16_52_51-Veeam Backup for AWS.png
  14. 上記の手順で全てのクラスターノードをリストアすることが可能です。

IPアドレス変更による設定変更

東京リージョンで取得したバックアップを大阪リージョンにリストアした場合、VPCやサブネットを同じ設定でリストアしてもリストア元と同じIPアドレスにはなりません。IPアドレスやデバイス情報、リージョンが変更となるため、以下の設定変更が必要です。

  • コミュニケーションパスの設定変更
  • DataKeeper のレプリケーション経路情報の変更
  • 名前解決の設定(DNSサーバーやhostsファイル)
  • aws configure設定の変更(リージョン情報の更新)
  • IPリソース、EC2リソースの再作成

以下の手順では一通りの動作を確認していますが、製品として公式に発表している手順ではありません。試される場合は、自己責任でお願いします。

コミュニケーションパスの設定変更

リストア前とリストア後のIPアドレスを確認します。

ホスト名 東京リージョン 大阪リージョン
LK84 10.224.141.84 10.224.136.163
LK125 10.224.157.125 10.224.158.54

リストア後のインスタンスにログインして、コミュニケーションパスの設定情報を確認します。

powershell
> C:\LK\Bin\net_list.exe -f" "
LK125 TCPIP:1500 TLI 0 0 0 DEAD 1 6 5 0 0 0 0 0 0 0 0 10.224.157.125 10.224.141.84

リストア前のIPアドレスの設定のため”DEAD”ステータスになります。以下のようにlk_chg_value コマンドを実行してIPアドレス情報を変換します。変換前にLifeKeeper を停止するためlkstopコマンドを実行します。

powershell
c:\LK\Bin\lkstop.exe

LifeKeeper停止後にlk_chg_value.ksh で LifeKeeperのデータベースに対して-o の値を検索して -n の値に置き換えます。

powershell
c:\LK\Bin\ksh.exe C:\LK\Bin\lk_chg_value.ksh -o 10.224.141.84 -n 10.224.136.163
c:\LK\Bin\ksh.exe C:\LK\Bin\lk_chg_value.ksh -o 10.224.157.125 -n 10.224.158.54

LifeKeeperを起動します。

powershell
c:\LK\Bin\lkstart.exe

lk_chg_value コマンドは全てのノードで実行する必要があります。上記の手順を他のノードでも実行します。

全てのノードのLifeKeeper を起動した後、コミュニケーションパスを確認します。”Alive”となっていれば正常に変更されています。

powershell
> C:\LK\Bin\net_list.exe -f" "
LK125 TCPIP:1500 TLI 0 0 0 ALIVE 1 6 5 0 0 0 0 0 0 0 0 10.224.158.54 10.224.136.163

DataKeeper のレプリケーション経路情報の変更

DataKeeperの設定情報はDataKeeperで別途持っています。そのため、変更となったレプリケーション経路のIPアドレス情報を変更する必要があります。アクティブノード(lk84)にログインして以下の操作を行ってください。

現在、以下のようなステータスです。Mirror state は同期中断(RESYNC REPDING)、IPアドレス情報は古くなっています。

powershell
> .\EMCmd.exe . getvolumeinfo S 3

------------------------------------------- LEVEL 1 INFO ---
Volume Root     = S:
Last Modified   = Fri Jul  7 00:02:09 2023
Mirror Role     = SOURCE
Label           = FileSystem      = NTFS
Total Space     = 10718539776
Num Targets     = 1
Attributes      : 20h

------------------------------------------- LEVEL 2 INFO ---
>> Remote[0]    = 10.224.157.125, S:
                Mirror State    = RESYNC PENDING
                Mirror Type     = SYNCHRONOUS

------------------------------------------- LEVEL 3 INFO ---
>> Remote[0]    = 10.224.157.125, S:  
No Resync or CompVol Statistics to report

以下のコマンドを実行して、レプリケーション経路情報を更新します。

powershell
cd 'C:\Program Files (x86)\SIOS\DataKeeper\'
.\EMCmd.exe 10.224.136.163 CHANGEMIRRORENDPOINTS S 10.224.157.125 10.224.136.163 10.224.158.54

情報がアップデートされました。Mirror state も同期状態(MIRROR)に変更されました。

powershell
> .\EMCmd.exe . getvolumeinfo S 3

------------------------------------------- LEVEL 1 INFO ---
Volume Root     = S:
Last Modified   = Fri Jul  7 09:13:01 2023
Mirror Role     = SOURCE
Label           = FileSystem      = NTFS
Total Space     = 10718539776
Num Targets     = 1
Attributes      : 20h

------------------------------------------- LEVEL 2 INFO ---
>> Remote[0]    = 10.224.158.54, S:
                Mirror State    = MIRROR
                Mirror Type     = SYNCHRONOUS

------------------------------------------- LEVEL 3 INFO ---
>> Remote[0]    = 10.224.158.54, S:
No Resync or CompVol Statistics to report

名前解決の設定(DNSサーバーやhostsファイル)

LifeKeeper はホスト名を使用して通信を行います。そのため変更となったIPアドレスにホスト名を紐づけるよう設定変更してください。今回はhostsファイルを使用しているため、以下のファイルの更新を行います。
更新前

C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts
10.224.141.84	lk84
10.224.157.125	lk125

更新後

C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts
10.224.136.163	lk84
10.224.158.54	lk125

aws configure設定の変更(リージョン情報の更新)

リージョンを変更したため、リージョン情報を更新します。以下のコマンドで現在のリージョン情報を取得します。

powershell
> aws configure get region
ap-northeast-1

リージョン情報を大阪リージョン(ap-northeast-3)へアップデートします。

powershell
aws configure set region ap-northeast-3

リージョン情報が更新されたことを確認します。

powershell
> aws configure get region
ap-northeast-3

IPリソース、EC2リソースの再作成

IPリソース、EC2リソースは環境固有の情報を保持しています。以下がLifeKeeperのデータベース情報であり、IPアドレスのようにlk_chg_value コマンドで変更可能ですが、変更先の値が不明な環境固有の情報が含まれるためこの2つについてはリソースの再作成で対応します。

powershell
> C:\LK\Bin\ins_list.exe -f" " -t 10.1.0.1IPリソース)
LK84 comm ip 10.1.0.1 10.1.0.1 {A9060DD9-4C32-46DF-A4C0-62A3D0BD960D}255.255.240.0NNULL10.1.0.1 OSU depends on resource "ecc-10.1.0.1" in "OSF" state AUTORES_ISP  0 0  180 300 0 INTELLIGENT

> C:\LK\Bin\ins_list.exe -f" " -t ecc-10.1.0.1EC2リソース)
LK84 comm ecc ecc-10.1.0.1 ECC-10.1.0.1 ap-northeast-1RouteTable{A9060DD9-4C32-46DF-A4C0-62A3D0BD960D}255.255.240.0NNULL10.1.0.1 OSF restore action has failed AUTORES_ISP  0 0  180 0 1 INTELLIGENT
既存リソースの削除
  1. LifeKeeper GUIを起動してログインします。ec2リソースは情報がエラーになっています。
    2023-07-07 10_40_10-15.152.229.96 - リモート デスクトップ接続.png
  2. 19.1.0.1 リソースとSQL Server リソースの依存関係を削除します。依存関係の削除は、リソース上で右クリックすることで開くメニューから選択可能です。
    2023-07-07 10_51_04-15.152.229.96 - リモート デスクトップ接続.png
    2023-07-07 10_40_36-15.152.229.96 - リモート デスクトップ接続.png
  3. 依存関係を削除後は、10.1.0.1リソースの上で右クリックをして"リソース階層の削除"を選択します。
    2023-07-07 10_49_07-15.152.229.96 - リモート デスクトップ接続.png
  4. オープンするウィザード画面を進めてリソースを削除します。以下のよう依存関係のあったにec2リソースも一緒に削除されます。
    2023-07-07 10_57_38-15.152.229.96 - リモート デスクトップ接続.png
IPリソースの作成
  1. IPリソースを作成します。LifeKeeper GUIから 編集(E) ->サーバー(S)->リソース階層の作成(C) を選択します。
    2023-07-07 10_59_46-15.152.229.96 - リモート デスクトップ接続.png
  2. 以下の値を参考にIPリソースを作成します。

リソースの作成

項目 設定値
プライマリサーバ LK84
バックアップサーバ LK125
保護するアプリケーション IPアドレス
IPアドレス 10.1.0.1
サブネットマスク 255.255.240.0
IPリソースタグ 10.1.0.1
ネットワーク接続 イーサネット3
ローカル・リカバリー いいえ

リソースの拡張

項目 設定値
サブネット・マスク 255.255.240.0
ネットワーク接続 イーサネット3
ターゲット・リストアモード 有効
ターゲット・ローカルリカバリー いいえ
バックアップの優先順位 10

3. 以下のようにIPリソースが作成されます。
2023-07-07 11_15_55-15.152.229.96 - リモート デスクトップ接続.png

EC2リソースの作成

EC2リソースを作成します。LifeKeeper GUIから 編集(E) ->サーバー(S)->リソース階層の作成(C) を選択します。
2023-07-07 11_22_35-15.152.229.96 - リモート デスクトップ接続.png
以下の値を参考にEC2リソースを作成します。

リソースの作成

項目 設定値
プライマリサーバ LK84
バックアップサーバ LK125
保護するアプリケーション AWS EC2
ECCリソースタイプ ルートテーブル(バックエンドクラスター)
ECCリソースタグ ecc-10.1.0.1

リソースの拡張

項目 設定値
拡張するリソース階層 10.1.0.1
ECCリソースタグ ecc-10.1.0.1
バックアップの優先順位 20

EC2リソースが作成されました。
2023-07-10 16_33_10-15.152.150.80 - リモート デスクトップ接続.png

SQL Server リソース(SQL Server)の下に IPリソース(10.1.0.1)の依存関係を再度設定します。
2023-07-10 16_35_10-15.152.150.80 - リモート デスクトップ接続.png
2023-07-10 16_35_28-15.152.150.80 - リモート デスクトップ接続.png
2023-07-10 16_35_37-15.152.150.80 - リモート デスクトップ接続.png

東京リージョンで展開していた状態に戻りました。
2023-07-10 16_35_45-15.152.150.80 - リモート デスクトップ接続.png

参考資料

技術マニュアル(製品ガイド)のダウンロード‐Veeam Software
https://www.veeam.com/jp/documentation-guides-datasheets.html?productId=62&version=product%3A62%2F244&localeCode=en

LifeKeeper for Windows テクニカルドキュメンテーション
https://docs.us.sios.com/sps/8.9.2/ja/topic/sios-protection-suite-for-windows-technical-documentation

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