技術書典で購入した天高工房さんの名刺サイズの自作キーボード
「namecard2x4」を組み立てたので、そのときのビルドログです。
公式のビルドログはこちらにあるので
組み立てる場合はそちらを利用し、本記事はあくまで参考程度に見て頂けると幸いです。
(BOOTHでの販売も始めたようです)
namecard2x4
1 工具
使った工具
・はんだごて
・はんだ
・こて台
・はんだ吸い取り線
・こて先クリーナー
・ニッパー
・逆作用ピンセット
・ドライバー
・テスター
・ジャンプワイヤ
あると良かったもの
ルーペ
ダイオードをつける
まずは基板にダイオードをつけていきます。
表面実装用のダイオードのため、細かいパーツです。
ケースに入っているのでフィルムを剥がし、丁寧に取り出します。
逆作用ピンセットの先にいる黒い小さな物体がダイオードです。
はんだやキーキャップと比べるとサイズが良く分かると思います。
こんな小さくて大丈夫!?と思いましたが小さな足が生えており、いい感じにはんだがくっついてくれます。
思ったより簡単でした。
足を切る必要がないので普通のものより早いかもしれません。
精神的には疲れますが。
基板の片方にあらかじめはんだを盛って置き、パーツを置きながらはんだを溶かすイメージです。
ダイオードが斜めになっていないか注意します。
反対側の足が浮かないように気を付けましょう。
1箇所浮いていたのに気づかず、あとで直す羽目になりました。
逆作用ピンセットじゃないと常に指に力を入れる必要があるため苦しいかもしれません。
以前crkbdという別の自作キーボードを作ったときは100均の毛抜きをピンセット代わりにしたのですが、
今回の場合毛抜きでは間違いなく無理でしょう。逆作用ピンセットほんとおすすめです。
今回一番大変だったのは向きの確認です。
片方に線が入っているとのことで、抵抗みたいに黄色や赤、白の線が入っているのかなと思いきや
黒い線が僅かに入っているだけ。
肉眼では見えにくく、光に照らして「なんとなく入ってるかな?」程度でした。
ルーペはあった方がいいと思いました。
はんだをつけるとそこから溶けたフラックスがこの線にかぶさりテカテカに。
いよいよ向きが分からなくなってしまいます。
スイッチのソケットをつける
ダイオードを8個つけたら次はスイッチのソケットです。
ホットスワップと言われている通り、このキットはスイッチを後から付け替える事ができます。
これから付けるのは自由な取り外しを可能にする為のパーツです。
向きにだけは注意します。
真中の穴に被ってしまわないようにしましょう。
次の画像は悪い例です。左上のスイッチの中央の穴をソケットが少しふさいでいますね。
リセットスイッチをつける。
リセットスイッチをつけます。
写真からもお察しの通り私は最後につけましたが、通常はこのタイミングかなーと思います。
背の低いパーツ順で付けていくのが電子工作の基準らしいです。
リセットスイッチなんてなくても、ProMicroの決められたピンをジャンプワイヤやドライバーを使ってショートさせればいいので、
正直あんまり気にしてませんでした。
デカマイクロを付ける
つける箇所
次にキット付属のデカマイクロを付けます。
crkbd等で使われるProMicroよりもワンサイズ大きく、デカマイクロと呼ばれているようです。
このキットはデカマイクロを2つ付けることが出来ます。
好きな方につけて大丈夫ですが、向きは注意です。USBが外側を向くようにします。
リセットスイッチと同じ側にデカマイクロをつけて良いのかは試していないため不明です。
不安な場合はリセットスイッチと逆側につけましょう。
リセットスイッチの項目で貼った写真も参考になるかと思われます。
ピンソケット?
公式のビルドログには
「ピンソケットのPCBへの取り付け」と書いてありますがこれはピンヘッダの誤植かと思われます。
ピンソケットは次の写真のパーツです。(crkbd作ったときの余りが家にありました)
キットには付属しておらず、内容的にもビルドログと矛盾してしまいます。
と言いつつ、自分はピンソケットを実装しました。
Firmwareを焼く回数が多く、そのうちミスって壊してしまうと思ったからです。
ピンヘッダを直接基板に取り付けるとデカマイクロを外せなくなりますが、ピンソケットに差す形なら取り外せるためです。
デカマイクロにピンヘッダを付けた後、ガッっとピンソケットに差し込みます。
足が飛び出てしまっていますね。余分なところはきってしまいましょう。
ただし注意が必要です。
足は意外に固く、力を籠めて切った瞬間勢いで発射されます。
目に入ったら大変なことになりますし、踏んでしまうと痛いです。
いくら気を付けても飛ぶものは飛ぶので、袋の中で切ったり布をかぶせましょう。私は布団の中で行いました。
また、使っていたニッパーがプラスチック用だった為刃こぼれし、うまく切れませんでした。
鉄用のニッパーを用意しましょう。
ファームウェアを焼いて動作チェック
この時点でいったん動作チェックを行います。
公式のビルドログではQMKtoolbox推奨のようですが、
qmk_firmwareを使いました。
他の自作キーボードで環境があったためです。
make namecard2x4:default:avrdude
で焼けます。
このあたりは他の自作キーボードと大体同じです。
焼き終わったらスイッチを差して正しく入力されるかチェックします。
1~8までの数字が入力されるはずです。
4と8だけ反応が悪いかもしれません。一瞬押した場合は大丈夫ですが、長押しだと反応しません。
接触不良でしょうか?
コードを見ると、キーマップは次のようになっています。
[DF] = LAYOUT(
KC_1,KC_2,KC_3,LT(LW,KC_4),
KC_5,KC_6,KC_7,LT(RS,KC_8)
),
4と8だけなんだか様子が違いますね。
一瞬だけ押すと4が、長押しすると別のキー(レイヤー切り替えキー)として振る舞うようになっています。
ようするに正常な動作です。気にする必要はありません。
大丈夫そうなら今つけたスイッチを外します。
はんだごてはもう使いません。電源を切ってしまいましょう。
ダメそうなら、スイッチを使わずジャンプワイヤ等で直接スイッチソケットの左右をつないで入力されるかチェックします。
スイッチをハメる過程で足が曲がってしまい、実は正しくハマってないかもしれません。
自分は1箇所ありました。
ボトムプレートをつける
とりあえずトッププレートとボトムプレートのシールをビリビリ剥がします。
袋からスペーサー4つとネジを8つ取り出し、基板とボトムプレートを繋げます。
自分はデカマイクロにピンソケットをつけたため予想通りスペーサーのサイズが合わず悲しみ。
長いスペーサーやネジでなんとかします。
ネジの太さには規格があり、自分の場合はM2でしたが公式のビルドログによるとM3のものもあるようです。
近所のビーバープロでM2の長いスペーサーを探しましたが見つからず、長いネジを購入して妥協。
基板はネジとナットで挟みます。そうしないとぐらぐらしてしまいます。
トッププレートをつける
難しいところは終わりました。
次はトッププレートにスイッチをハメて基板に装着、と行きたいところですが、1つ忘れている事があります。
namecard2x4 はおしゃれアクセサリーとして装着できるようチェーンが付属しています。
「銀色の玉が数珠つなぎになっていて、末端には結合金具がついているアレ」の事です。チェーンは多分正式名称じゃないと思うので一応。
一番最後にチェーンをつけようとしましたがうまく行かず、せっかく付けたスイッチとキャップをすべて取り外す羽目になりました。
トッププレートと基板にチェーンを通したら、今度こそスイッチです。
基板に押し込んだ時にスイッチの足がスイッチソケットに入るよう向きを合わせながら、トッププレートにスイッチをつけます。
キーキャップをつけてフィニッシュ
キーキャップをつけます。
キットに付属しているのもおしゃれですが、自分は全く使っていなかったセットがあったのでそれを使いました。
感想
キー数が少なく簡単に作れますが、自作キーボードの制作に必要な物が濃縮されています。
パーツや手順が最小限なため、動かなかった時にもどこに問題があったのか分かりやすいです。
表面実装ダイオードやホットスワップ等、次作ろうとしているcrkbd cherryの良い練習になりました。
「自作キーボードをのキットを買ったけど怖くて手をつけていない」、なんて方にはおすすめのキットだと思います。
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技術書典5にてありがたく完売した
「四⼈の知らなかった⾃作キーボードの世界」
の取り扱いがboothで開始されました。
タイミング的にnamecard2x4は掲載出来ませんでしたが
「自作キーボードに興味はあるけど勇気がない」という方の背中を押す1冊になればと思っております。
興味のある方はこちらもよろしくお願いいたします