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なぜPostgreSQLは世界一選ばれるDBになったのか? 「Oracleじゃないから」だけじゃない話

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はじめに

Stack Overflowの2025年調査によると、PostgreSQLは世界で最も使われているデータベースになっています。

「え、MySQLじゃないの?」と思ったそこのあなた、気持ちはわかります。筆者も少し前まで「OSSのDBといえばMySQL」派でした。でも世界はいつの間にか変わっていたのです。

「機能が豊富だから」説、本当に?

PostgreSQL推しの記事を読むと、だいたいこんな機能が紹介されています。

  • JSONB型でドキュメントDBっぽいことができる
  • PostGISで空間・地理データを扱える
  • pgvectorで生成AI/RAGのベクトル検索ができる
  • Extensionで何でも拡張できる

「すごい!完璧!PostgreSQL最高!」

……でもちょっと待ってください。ベクトル検索が必要なシステム、みなさんの職場にどれだけありますか?

普通のWebアプリは今日も元気にINSERT、SELECT、UPDATE、DELETEしているだけです。PostGISもpgvectorも使わず、地球の裏側の座標も気にせず、ただひたすらユーザーテーブルとつき合っています。

機能の豊富さは確かに魅力ですが、「全員がその恩恵を受けているか」というと、正直そうでもない気がします。

本当の理由は「Oracleへの恨み」……ではなく「ライセンスへの不信感」

冗談はさておき、ここ数年でOSSのライセンス問題が現実の脅威として認識されるようになりました。

  • MySQLはOracleに買収され、「これMySQLじゃなくてOracleじゃん」という空気が漂い始めた
  • 危機感を感じた人たちがMariaDBへフォーク
  • RedisもTerraformも突然「やっぱり商用ライセンスにします」と言い出した

「今日タダで使えるOSSが、明日もタダとは限らない」

この教訓が、エンジニアや企業の技術選定に静かに影響を与えています。

その点、PostgreSQLは中立コミュニティ運営+BSD風ライセンスという盤石の体制です。Oracleに買収される心配もなく、突然「エンタープライズ版以外は機能制限します」と言い出すこともない。地味ですが、これは相当な安心感です。

「毎年バージョンアップ」という地味すぎる強み

PostgreSQLは毎年1回、律儀にメジャーバージョンをリリースします。

派手な発表もなく、プレスリリースで株価が動くわけでもなく、ただ静かに、着実に、バージョン番号が増えていきます。そしてそのたびに、処理性能がじわじわ上がっていきます。

「石の上にも三年」を毎年繰り返している感じ、とでも言いましょうか。

これが長期プロジェクトを抱えるエンジニアや企業には刺さります。「来年もサポートされているか不安」「バージョンアップで急に挙動が変わるんじゃ」という心配が少ないのは、地味に強い。

日本だけ別世界

ここで衝撃のデータをどうぞ。

順位 世界(Stack Overflow 2025) 国内(日本PostgreSQLユーザ会 2025)
1位 PostgreSQL SQL Server
2位 MySQL Oracle
3位 SQLite MySQL
4位 PostgreSQL

国内4位。

世界1位が国内4位。これはもう別の競技をしているレベルです。

国内でSQL ServerとOracleが上位なのは、「技術的に優れているから」というより「ベンダーのサポートが手厚い」「上司が安心する」「前任者もそれを使っていた」といった理由が大きそうです。

誰も責めません。「動いているものを変えるな」は偉大な格言ですから。

ただ、世界のエンジニアがコミュニティの信頼性や技術的な将来性でDBを選び始めている中、日本だけが「実績と顔なじみ」で選んでいるとしたら、じわじわ気になる差ではあります。

まとめ

PostgreSQLが世界で選ばれている理由を一言でまとめると、

「裏切らないから」

ではないでしょうか。

ライセンスで裏切らない。開発が止まって裏切らない。バージョンアップのたびに遅くなって裏切らない。地味だけど誠実、それがPostgreSQLです。

機能の豊富さはボーナスポイントに過ぎず、本質は「長く、安心して使い続けられる」という信頼感なのかもしれません。


本記事は『Software Design 2026年4月号』のPostgreSQL 18特集の編集後記をもとに、考察を加えてまとめたものです。

筆者は特定のDBの回し者ではありません。MySQLにも長年お世話になっています。

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