この投稿は、私が所属するKDDIテクノロジーで行っているアドベントカレンダーの12月23日分の記事となります。他の記事はこちらです。
本エントリーはGoogleが公開しているNotebookLMを用いて、60ページを超える登壇資料を作成した記録を残したものとなります。取り組みから得られた知見や、苦労した点を共有したくてエントリーさせてもらいました。
なお、本稿は嶋是一個人の見解に基づくものであり、所属団体およびその組織の総意を代表するものではありません。また本文中に引用されている自動生成されたスライドは、生成過程の説明のためのスライドサンプルファイルとして掲示しているものであり、スライド内容について保証するものではありません。
NotebookLMで原稿や登壇資料を生成
NotebookLM(ノートブック エルエム、略してNLM)はGoogleが開発したAI搭載のリサーチアシスタントツールです。
自身がアップロードしたドキュメント(PDF、Googleドキュメント、スライド、WebサイトのURLなど)をGeminiが読み込み、その内容に基づいて、要約したり、質問に答えたり、アイデア出しを手伝ったりできます。このあたりのNLM一般的な情報は多数の記事が公開されているため、参照頂けると幸いです。
ただ、私は特に原稿を書いたり、講演資料を作成する為に活用しています。しっかり自身が期待するレベルの「もの」を生成するためには、それなりの工夫が必要だと感じています。つまり、いろいろと苦労しているのですが、意外と「定番」とされる工夫やプロンプトの書き方、管理の方法などが紹介されている記事が少ないと感じています。
スライド作成機能に驚く
特に先月の11月にNLMは大幅なアップデートが行われ「スライド作成機能」が備わりました。ソースとして自身が登録した資料から、ワンボタンで美しいスライドとともに、理解しやすい図表にしたスライドを生成してくれるようになったのです。

これが、正直美しくて、うまい事を書いてくるんです(ほんとうに驚くほどです)。
ところが慣れてくると、関心こそすれど、実用にはほど遠いことに気づきます。
自分が書くべき原稿、自分が発表すべき講演資料になっていないのです。
しっかり自身の「イイタイコト」や「伝えたいこと」、そして準備した鉄板な小ネタなどを含ませて、読者や聴衆に「私の方法で共感」してもらえないと意味がないからです。
意思の込め方
その執筆の意思をどのようにNLMに込めるのか、それが本質的な活用方法だと思っています。
そのためバイブコーディングのように「スライド生成」ボタンをひたすら押してガチャを引く生成方法でなく、再現性を求めるエージェンティックコーディングのように、事前にプロンプトへ登壇のストーリーを書いておき、それに従って生成させます。これで期待通りのスライド出力が可能となります。
そしてここまでは、それなりに生成AIツールを使っている人ならば、「あたりまえ」なことであり、使わなくても想像でできる範囲の事柄だと思います。
ところがこれをNLMで実践しようとすると、意外と癖があって苦労してしまうです。という私は苦労しました。
このあたりを共有させてもらいます。
NLMの基本 期待と現実
NLMはLLMが生成する際に参照する情報を、明示的に自分で登録できる事が最大のメリットです。
まずNLMを利用するには「 https://notebooklm.google.com/ 」にアクセスして、自身のノートブックを新規で作成してみます。するとこのようになります。

左側が「ソース」エリア、真ん中が「チャット」エリア、右側が「Studio」エリアのように、3つに分かれています。必要な情報は左側の「ソースを追加」でファイルやURLを選択すると、ソースエリアにその情報が蓄積されます。
この状態で、真ん中のチャットエリアでプロンプトを入力すると、ソースにある内容を参考にした上で、応答します。つまりNLMは、ソースに入れた情報を外部知識として、自動的にRAGのように読み出してLLMで文章を作成できる仕組みとなっています。そのためソースに登録する内容により、チャット部分で生成される文章は全く変わってきます。
右側にある「Studio」は、スタジオというように様々な動作や、作成した情報の見せ場となっています。ここに11月公開された新機能「スライド資料」というボタンがあり、このボタンを押すだけで新規でスライドを作ってくれます。
まずはスライドを作ってみる

ソースのところには、これまで私が各所で執筆した原稿や、Webの記事、そして登壇のために作成した資料などを、PDFに変換して登録します。ここでは文字原稿だけで50ページ以上、登壇スライドも200シートくらいを登録しています。
ソースに登録してみたファイルの説明
- 資料1 インターロップAPPSJAPAN2024_アプリのイマミライ_20240609r3.pdf
- 資料2 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド_嶋20250611.pdf
- 資料3 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド2_嶋20250612.pdf
- 資料4 資料4.pdf
- 資料5 資料5.pdf
- 資料6 資料6.pdf
- 資料7 資料7.pdf
- 資料8 資料8.pdf
- 資料9 GAIS_嶋_HRDX_20250220rev1.pdf
- 資料10 chap10-06.pdf
【登録したファイルの説明と公開先】★
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資料1 インターロップAPPSJAPAN2024_アプリのイマミライ_20240609r3.pdf
- 資料:https://www.slideshare.net/slideshow/x-ai-interop24tokyo-apps-japan-b1-01/269668839
URL;https://forest.f2ff.jp/introduction/9177?project_id=20240601 - 昨年のQiita AdventCalendarの私の記事でも紹介させてもらった、2024年のInterop TokyoのイベントAPPS JAPANのセミナーで登壇した時の資料です
- 資料:https://www.slideshare.net/slideshow/x-ai-interop24tokyo-apps-japan-b1-01/269668839
-
資料2 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド_嶋20250611.pdf
- 生成AIで変わる開発現場:プログラマーの仕事はどう変わるのか?
- 資料: https://forest.f2ff.jp/introduction/10467?project_id=20250601
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資料3 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド2_嶋20250612.pdf
- Webの未来と自動化の行方:AI時代の“働く”と“つくる”を語る
- 資料:https://forest.f2ff.jp/introduction/10475?project_id=20250601
- 今年2025年のInterop Tokyoのセミナーでパネルディスカッションした際に用いたスライド2種です(こちらのセッションも大変多くの人に来場いただけました)
- 資料:https://www.slideshare.net/slideshow/ai-interop25tokyo-apps-japan-m1-07-m2-07/281319478
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資料4 資料4.pdf
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資料5 資料5.pdf
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資料6 資料6.pdf
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資料7 資料7.pdf
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資料8 資料8.pdf
* とあるテキストオンリーの自身の執筆原稿です(非公開) -
資料9 GAIS_嶋_HRDX_20250220rev1.pdf
- 今年2月に渋谷で行われました「JAPAN HR DX AWARDS FINAL」で、生成AIの人材教育に関する登壇資料です(非公開)
- https://gais.jp/japan_hr_dx_award_sfinal/
-
資料10 chap10-06.pdf
- とあるテキストオンリーの自身の執筆原稿です(非公開)
それでは、なにも考えずまずは「スライド資料」を作成してみましょう。この状態で「スライド資料」ボタンを押してみます。数分かかってスライドが生成されます。それがこれです。
できあがった資料、素晴らしいです。美しくまとまっています。もうこれで登壇してしまっても良いのではないかと思ってしまうほどです。しかしこれは冒頭に言った通り、今回任されたイベントの講演で、私が話したいことではありません。これまで私が書いて喋ってきたことから、より強く語っていた部分をたまたまピックアップして作成されたに過ぎません。
(なおこちらの資料は、生成して何も修正されていないので、間違いや意図とは異なる記載もあります。あくまでもファイルのサンプルとして扱ってください)
原稿に意思を入れる
今回登壇しに行ったのは、今月の12月5日に沖縄で開催されたOkinawa Open Days 2025(OOD2025)というイベントです。45分で基調講演を任されました。
https://www.okinawaopendays.com/post/ood2025-1205-1
このイベントは、インターネットを歴史ごと構築してきたインフラ屋さんや、クラウドネイティブな開発をされている方々が集まる歴史ある場所です。そのため、私の専門である「スマートフォンのAndroidアプリ」や「生成AIの教育」の話は、少しばかし来場者のターゲットとマッチしていません。
そこで生成AIをテーマとして、インフラやクラウドネイティブ開発にも少しかするくらいのタイトルとして「開発が変わる!ミライが変わる!生成AIのイマ 消えるアプリ、なくなるプログラマー、変わる学び~」としたうえで、ストーリーを考えさせてもらいました。そのために、次のような構成を考えました。
- インターネットの関係者が多いので、昨今インターネットは人が使うのでなく、AIエージェントを含めた生成AIが使うようになってきている話を冒頭に
- 「プログラマーは生成AIに置き換わる」という話題は開発にはキャッチーな鉄板ネタ。ただ結論はその真反対である意外性で注意を引く
- 生成AIによって開発者が変わるとともに、技術の学び方も変わっている話につなげる
この構成を次のような構成にまとめました。下記のキーワードは、ソースに入れた資料の中で主にテキストで解説がされています。
# スライド構成
* 表示
* Agenda
* はじめに
* 自己紹介
* 誰の為のインターネット
* なくなるアプリ(妄想)
** 次世代に必要な世界基盤モデル
** ポストスマートフォン時代
* なくなるプログラマー
** AI駆動開発について
** プログラマーの仕事はどう変わるのか
* 変わる学び
** 自身で生成AIで開発を学ぶ若年層の出現
** 学び方の変化
* そのほかの話題
** AI生成物の即消費文化
** 生成AIで感じる事
* 結論
この構成をベースに、全体の校正は次のような長めのプロンプトにして、全体構成図をまとめます。特にソースにあるファイルを、どの章のどの項目に紐づけて表示させるのか、を指定しています。このように、プロンプト内部に「ファイル名」や「ファイル名と紐づけた言葉(ここでは資料1など)」を記載とすると、そのファイルを参照してくれる挙動を行います。
つまり原稿に意思を入れるとは、このプロンプトファイルを作成する事に他なりません。
■プロンプト全文 (agenda.txt)
# タイトル
開発が変わる!ミライが変わる!生成AIのイマ
消えるアプリ、なくなるプログラマー、変わる学び~
https://www.okinawaopendays.com/post/ood2025-1205-1
# 概要
生成AIの急激な進化は、ITの未来を、日々刻々と変えています。
今後生成AIは、世の中にある様々な活動のプラットフォームとなり、今後インターネットのトラフィックを増大させながら、現在の「あたりまえ」を変えていくと感じています。例えばUIを担うアプリの役割が変化し、AI駆動開発に見る開発とプログラマーの定義も変化し、そしてデバイスはより人に寄り添ったものに変化するでしょう。
生成AI時代の学びの手法も変わりつつあります。世の中には人から教えられることなく、ほぼ生成AIだけで開発スキルを獲得した例や、AI駆動開発を活用して素早い学習を達成できる手法もあります。
このように生成AIの影響を受けて、変わるインターネット、変わる開発スタイル、変わるアプリ、変わるUI、変わるスマートフォン、そしてこのような時代での学びの手法を、Okinawa Open Days 2025の場で共有し、ともに未来を考える取り組みを行います。
# 登壇者
嶋是一プロフィール
株式会社KDDIテクノロジー CTO 嶋是一(しま よしかず)
# 講演内容のスライド
* サイズ
16:9
* 日本語、である超
# スライド構成
* 表示
* Agenda
* はじめに
* 自己紹介
* 誰の為のインターネット
* なくなるアプリ(妄想)
** 次世代に必要な世界基盤モデル
**ポストスマートフォン時代
* なくなるプログラマー
** AI駆動開発について
** プログラマーの仕事はどう変わるのか
* 変わる学び
** 自身で生成AIで開発を学ぶ若年層の出現
** 学び方の変化
* そのほかの話題
** AI生成物の即消費文化
** 生成AIで感じる事
* 結論
# 参考資料
* 資料1 インターロップAPPSJAPAN2024_アプリのイマミライ_20240609r3.pdf
* 資料2 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド_嶋20250611.pdf
* 資料3 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド2_嶋20250612.pdf
* 資料4 資料4.pdf
* 資料5 資料5.pdf
* 資料6 資料6.pdf
* 資料7 資料7.pdf
* 資料8 資料8.pdf
* 資料9 GAIS_嶋_HRDX_20250220rev1.pdf
# 講演資料内容
## 表紙
## Agenda
## はじめに
私がメーカー時代にフィーチャーフォンのWeb機能実装を主導し、コミュニティーである日本Androidの会でスマートフォンのアプリも含めた開発の情報発信を継続し、Interop Tokypのアプリジャパンでの企画委員として把握し続ける時代の流れをベースに、近年、生成AI協会の理事として、生成AIの人材育成を中心に感じているところを、語ります。こちらは個人の意見として、会社および属しているグループの意見を代表するものではありません。
## 自己紹介
## 誰の為のインターネット
* インターネット検索の利用がAI検索に移行している
* ゼロクリック問題の簡単な説明 Googleシェアが下がって戻った事 検索の具体的な低下定量値 サイトクリック数低下による影響
* SEOの無効化。AEO、LLMOなどの重要性
* インターネットがストレージ化して、ユーザーのフロントエンドに生成AIサービスが利用される
* MCPにより複数のアプリやサービスをまたいで情報を収集することができる。これによりインターネットのストレージ化がすすむ
* もともとWebは人が見るWebだったが、いまや、生成AIボットのためのWebとなり、人が見るためのWebではなくなってしまう
* それでもGoogleは検索を諦めてでもAI検索のサービスに取り組み、シェア低下を防いだ* 資料3
* 資料4
* 資料5
* エージェントは自律的動作という意味がある
* 生成AI時代のフロントエンドは、サービスごとに分離したWebやWebアプリではなく、生成AIにより統合された入口。フロントエンド。ポータル。
## なくなるアプリ(妄想)
### 次世代に必要な世界基盤モデル
* 学習物がWFMへ進化していく
* 学習リソースの中心はつぎのように移り変わっている
LLM自身の学習と大規模パラメータ数
リーズニングモデルの動作
マルチモーダル
ワールドファンデーションモデル(WFM)
* WFMは、ワンショットの高度な分類推論の実現により、高度な現状認識、および予測が可能となる。フィジカルAI、ロボティクスの実現に活用され、現在最も激しい進化が起きている領域である。
### ポストスマートフォン時代
* 資料2
* Gemini diffusionモデルによる即時アプリの生成の可能性
* ナラティブなコンテキストに添ったアプリ
* つまり設計するのはプログラムでなくコンテキスト
* 資料6
## なくなるプログラマー
### AI駆動開発について
* バイブコーディングとエージェンティックコーディング
* バイブコーディングはガチャ
* 効率よく開発するには、開発プロセスを実現する事で、それがエージェンティックコーディング
* トークンがどれだけ少なく実現できるかが勝負
* その為の改善は、実はこれまで行っていたソフトウェアのプロセス開発と異ならない。評価
* 仕様
* 資料2
* 資料7
* 資料8
### プログラマーの仕事はどう変わるのか
* 資料2
* 責任をだれが持つか、誰が持てるかが大切
* 今後プログラマーが育ちにくくなる
* プログラムの観点から品質に責任持てる人が貴重になる
* 将来生成AIで作成したアプリが動作できないものを何とかしてほしい駆け込み寺ができると推測している
* またはバカバカ消費するトークン数を節約改善するためのコンサルなども出てきそう
* とある会で、定年で引退した方々が、このような責任を持って承認するための取り組みを始めようとしているという声も聞こえてきた。
* ロートルが生成AIで転生して、ソフトウェア開発を無双する、というアニメのような話があるかも。妄想だけど。
## 変わる学び
### 自身で生成AIで開発を学ぶ若年層の出現
* 資料9
* 大塚さんの事例と、金沢での事例
* ChatGPTとの対話を中心に学習を進めている
### 学び方の変化
* 今後の人材育成の考え方が変わる可能性がある
* 人間の能力を生成AIによって伸ばすという考え方が必要
* それをエンドースする指導者も必要(本日のパネルの佐々木さん)
* 今プログラムを仕事で習得する事は大切だし価値がある。今後生成AIでコーディングが行われるため、プログラムを書く機会が減る。強制的に書かさせれて習得できる機会が減るため、今後このスキルの習得コストが大きくなる。いま仕事でプログラムを実習できる最後の機会だと思う。特にソフトウェアの情報系の学生などは生成AIにより失望にも似た感情を持っていると思われるが、実はそれは貴重なチャンスと捉えるべき。
## そのほかの話題
### AI生成物の即消費文化
* AI生成物の消費文化が促進(バイブコーディングが一旦)
* その場で生成AI情報を生成消費
* トークンコスト最小となった生成AI業界の、生成コンテンツ即時消費文化が促進
・音楽をその場で生成してその場で視聴
・CMをその場で生成してその場で視聴
・Web画面をその場で生成してその場で利用
・アプリをその場で生成してその場で利用
・スマホ自体をその場で生成してその場で利用
・ハードウェア自体をその場で作成してその場で利用(ここはトーンで作れないのでダメ)
・すべてのメディアやコンテンツがパーソナライズに紐づいてできる
### 生成AIで感じる事
* 仲間づくりには向いていない
* 責任を取る事、方向を示す事が人間に求められること
* 生成AIの未来について
生成AIは知識の工場制機械工業
家内制手工業 工場制手工業 工場製機械工業 家内制機械工業
ソフトウェアの製造価値が低くなるとどうなるかというと、即消費文化への移行が促進されてしまう
## 結論
# 登壇諸情報
■登壇概要
名 称:Okinawa Open Days 2025(OOD2025)
会 期:2025年12月3日(水)~5日(金)
会 場:沖縄県市町村自治会館(沖縄県那覇市旭町116-37)
主 催:Okinawa Open Days 2025実行委員会
URL:
https://www.okinawaopendays.com/
登壇日時:2025年12月5日(金)13:30-14:15
■講演内容
開発が変わる!ミライが変わる!生成AIのイマ
?消えるアプリ、なくなるプログラマー、変わる学び~
https://www.okinawaopendays.com/post/ood2025-1205-1
■嶋是一コメント
生成AIの急激な進化は、ITの未来を、日々刻々と変えています。
今後生成AIは、世の中にある様々な活動のプラットフォームとなり、今後インターネットのトラフィックを増大させながら、現在の「あたりまえ」を変えていくと感じています。例えばUIを担うアプリの役割が変化し、AI駆動開発に見る開発とプログラマーの定義も変化し、そしてデバイスはより人に寄り添ったものに変化するでしょう。
生成AI時代の学びの手法も変わりつつあります。世の中には人から教えられることなく、ほぼ生成AIだけで開発スキルを獲得した例や、AI駆動開発を活用して素早い学習を達成できる手法もあります。
このように生成AIの影響を受けて、変わるインターネット、変わる開発スタイル、変わるアプリ、変わるUI、変わるスマートフォン、そしてこのような時代での学びの手法を、Okinawa Open Days 2025の場で共有し、ともに未来を考える取り組みを行います。
■嶋是一プロフィール
株式会社KDDIテクノロジー CTO 嶋是一(しま よしかず)
嶋是一
広島県出身。1969年9月4日生まれ。筑波大学大学院を修了後、国内大手電子機器メーカーに入社。ブラウザ開発領域を担当した後、2012年KDDIテクノロジーへ入社、2021年に最高技術責任者(CTO)に就任。
現在はKDDIテクノロジーの技術開発を担当する傍ら、モバイルとインターネットの技術普及と人材育成を目的に、モバイル関連の技術開発、生成AIコミュニティーやAndroidコミュニティー運営、執筆なども行う。
<著書>
「Google Android入門」 技術評論社
「EZwebホームページ制作完全マニュアル」 アスキー社
「ケータイで見るWebページの作り方」 アスキー社
「iモードかんたんHP作成」 ナツメ社
「続・5G教科書 ―NSA/SAから6Gまで」 インプレス社(共著)
課題★チャットプロンプトではスライドが作成できない
原稿を執筆している時ならば、チャット領域に前述の長いプロンプト(Agenda.txtの内容)を張り付けた上で、「原稿を作成してください」とプロンプトを入力すれば、原稿がチャット領域に生成されます。
ところが今回作成するのは「スライド資料」です。チャットエリアで「スライドを作成してください」としても、スライドのPDFファイルが出力されることはありません。かわりに「講演用スライド資料案を作成しました。」として、テキストでチャットエリアにスライドの構成案が表示されてしまいます。つまりチャットエリアからはスライド資料の作成できません。
それではどこで、LLMに対して指示すればよいのでしょうか?
その解決方法の一つは、プロンプトをテキストファイルにして保存し(外部のテキストエディターなどで作業します)、そのファイルをソースに追加に追加してしまうのです。
先ほどの長いプロンプトを、例えば「Agenda.txt」というファイルに保管し(ダウンロード)、それを「ソースへ追加」からソースに登録してしまいます。
この状態で、スライド資料ボタンを押して、生成してみたら次のような内容が出来上がりました。
さきほどの生成ファイルと異なり、ちゃんとスライドのタイトルが、Agenda.txtファイルで指定した講演タイトル「開発が変わる!ミライが変わる!生成AIのイマ」と同じになっています。しっかりとAgenda.txtが参照されていることが分かります。
しかし良くスライドのなかを読み進めてみると、プロンプトの指示は無視された構成となっており出鱈目です。どうも、Agenda.txtをソース(参照する情報の一つ)としか認識しておらず、作業指示のプロンプトだと認識されていないようです。
これを解決するためには、Agenda.txtを作業指示(プロンプトでの指示)として、より明示的にNLMへ読み込ませる必要がありそうです。
実は、私がNLMを使って原稿(文章)を生成するときには、もっと明示的に指示プロンプトを含むAgenda.txtを読み込ませています。ソースに追加するだけでなく、チャット欄からこのAgenda.txtを明示的に指定して生成します。
例えば次のようにチャット欄に記載します。
原稿を、Agendt.txt の構成に従って作成しなさい
プロンプトの中に、ファイル名があるの事に不思議を感じるかもしれません。しかしソースに登録されているAgendt.txtの内容が、あたかもこのプロンプト中に展開されたような挙動を示してくれます(たまに展開の効き目が悪く失敗することもあります)。この方法ならば、NLMもAgenda.txtを無視して勝手な動作することはできなくなるようです。
これと同じことをスライド作成に適応させたいと考えました。ところが、先にも述べた通りStudioの「スライド資料」ボタンで生成する際は、チャット欄にある文字は一切参照してくれない仕様なのです。つまりスライド作成の際のプロンプトは、チャット欄に書いても参照されないので意味がないのです。
それではどこで指示するべきでしょうか?
解決★スライド作成のプロンプトは鉛筆マーク
スライド資料作成用のプロンプトを入力する場所があるんです。

この「スライド資料」ボタンに「鉛筆マーク」が重なって表示されています。
この鉛筆マークを押すと次の画面が出てきます。

そのダイアログに「作成するスライドについて説明してください」というテキストボックスがあります。まさにその場所こそが、スライド資料作成の「プロンプト指示テキストボックス」だったのです!! ここに次のプロンプトを入力してみましょう。
Agenda.txtに従ってスライドを作成してください。
すると次のようなスライドが生成されました。
ようやく、ようやくです!
Agenda.txtで記載した構成(ストーリー)に準じたスライドが生成されるようになりました。やはりプロンプトとして指定する事で、しっかりAgenda.txtが指示プロンプトとして認識されたようです。
しかし、ここで作成されたシートはほんの15シートだけです。今回の講演は45分なので、これだと時間が余りまくってしまいます。また、Agenda.txtに記載した内容も全てスライドに起こせていないようです。できれば60シートくらい生成してもらって内容を整理したいと思います。
課題★20シートの限界について
それでは、先ほどの鉛筆マークのプロンプト入力エリアに次のように指定してみます
Agenda.txtに従ってスライドを60ページ作成してください。
これで生成されたのが次のシートです。
ん?・・・
やはり15シートしか生成してもらえていません。
実はいろいろとプロンプトを変更して試してみるのですが、どうしても15~20シート以上を生成してくれません。工夫が足りないのかもしれませんが、時間ばかり浪費してしまうので、私が契約しているNLM proプランでは、20シード以上の資料は作成できない仕様なんだと認識して、ここは一度断念する事にします。
ただ、これで諦めません。一気に60シート作成は無理でも分割して行えばできるはず。
というわけで、次のように分割させました。(すいません合計すると70シートですが)
10シート「表紙、Agenda、初めに、および自己紹介」
20シート「誰の為のインターネット」「なくなるアプリ(妄想)」
20シート「なくなるプログラマー」
20シート「変わる学び」
これを順次生成させる方針にして試してみます。
それではまず初めに、表紙、Agenda、初めに、および自己紹介を、10スライド程度で生成させてみます。
この場合は、鉛筆マークのプロンプト入力エリアに、明示的に次のようなプロンプトの記載を行います。また、先ほどのようなAgenda.txtでなくて、今回はベタ打ち(直接記述)します。この「作成するスライドについて説明してください」エリアは小さいテキストボックスですが、ここに遠慮せず、大きいプロンプトをコピペして流し込んでいきます。やはり直接記述したほうが、強制力が効くのか、より指示に忠実に動いてくれます。
Agenda.txtの内容に従った講演資料のうち、下記の範囲のスライドを10ページで生成してください。
###
# スライド構成
* 表示
* Agenda
* はじめに
* 自己紹介
# 講演資料内容
## 表紙
## Agenda
## はじめに
私がメーカー時代にフィーチャーフォンのWeb機能実装を主導し、コミュニティーである日本Androidの会でスマートフォンのアプリも含めた開発の情報発信を継続し、Interop Tokypのアプリジャパンでの企画委員として把握し続ける時代の流れをベースに、近年、生成AI協会の理事として、生成AIの人材育成を中心に感じているところを、語ります。こちらは個人の意見として、会社および属しているグループの意見を代表するものではありません。
## 自己紹介
これによって生成された内容は次のようなものが出来上がりました!
表紙から始めにの部分が10シートで生成できました。うんうん。これならば使えそうです。
この流れで、次の「誰の為のインターネット」について、20スライド程度で生成させてみます。次のようなプロンプトを入力してみます。
「Agenda.txtの内容に従った講演資料のうち、下記の範囲のスライドを20ページで生成してください。
###
# スライド構成
* 誰の為のインターネット
* なくなるアプリ(妄想)
** 次世代に必要な世界基盤モデル
**ポストスマートフォン時代
# 参考資料
* 資料1 インターロップAPPSJAPAN2024_アプリのイマミライ_20240609r3.pdf
* 資料2 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド_嶋20250611.pdf
* 資料3 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド2_嶋20250612.pdf
* 資料4 資料4.pdf
* 資料5 資料5.pdf
* 資料6 資料6.pdf
* 資料7 資料7.pdf
* 資料8 資料8.pdf
* 資料9 GAIS_嶋_HRDX_20250220rev1.pdf
# 講演資料内容
## 誰の為のインターネット
* インターネット検索の利用がAI検索に移行している
* ゼロクリック問題の簡単な説明 Googleシェアが下がって戻った事 検索の具体的な低下定量値 サイトクリック数低下による影響
* SEOの無効化。AEO、LLMOなどの重要性
* インターネットがストレージ化して、ユーザーのフロントエンドに生成AIサービスが利用される
* MCPにより複数のアプリやサービスをまたいで情報を収集することができる。これによりインターネットのストレージ化がすすむ
* もともとWebは人が見るWebだったが、いまや、生成AIボットのためのWebとなり、人が見るためのWebではなくなってしまう
* それでもGoogleは検索を諦めてでもAI検索のサービスに取り組み、シェア低下を防いだ* 資料3
* 資料4
* 資料5
* エージェントは自律的動作という意味がある
* 生成AI時代のフロントエンドは、サービスごとに分離したWebやWebアプリではなく、生成AIにより統合された入口。フロントエンド。ポータル。
## なくなるアプリ(妄想)
### 次世代に必要な世界基盤モデル
* 学習物がWFMへ進化していく
* 学習リソースの中心はつぎのように移り変わっている
LLM自身の学習と大規模パラメータ数
リーズニングモデルの動作
マルチモーダル
ワールドファンデーションモデル(WFM)
* WFMは、ワンショットの高度な分類推論の実現により、高度な現状認識、および予測が可能となる。フィジカルAI、ロボティクスの実現に活用され、現在最も激しい進化が起きている領域である。
### ポストスマートフォン時代
* 資料2
* Gemini diffusionモデルによる即時アプリの生成の可能性
* ナラティブなコンテキストに添ったアプリ
* つまり設計するのはプログラムでなくコンテキスト
* 資料6
これは結構10分以上の長考になりました。待たされた上でできあがった内容は次のようなもの。
素晴らしい。2ページ目のアイコンがスマホの画面上で消えていく画像なんて、自身が想像すらしていなかったイラスト画像です。そして生成されたのはぴったり20シート上限です。
ここまでくればあとは手順通りに実行していきます。
次の「なくなるプログラマー」のスライドを作成してもらいます。
Agenda.txtの内容に従った講演資料のうち、下記の範囲のスライドを20ページで生成してください。
###
# スライド構成
* なくなるプログラマー
** AI駆動開発について
** プログラマーの仕事はどう変わるのか
# 参考資料
* 資料1 インターロップAPPSJAPAN2024_アプリのイマミライ_20240609r3.pdf
* 資料2 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド_嶋20250611.pdf
* 資料3 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド2_嶋20250612.pdf
* 資料4 資料4.pdf
* 資料5 資料5.pdf
* 資料6 資料6.pdf
* 資料7 資料7.pdf
* 資料8 資料8.pdf
* 資料9 GAIS_嶋_HRDX_20250220rev1.pdf
# 講演資料内容
## なくなるプログラマー
### AI駆動開発について
* バイブコーディングとエージェンティックコーディング
* バイブコーディングはガチャ
* 効率よく開発するには、開発プロセスを実現する事で、それがエージェンティックコーディング
* トークンがどれだけ少なく実現できるかが勝負
* その為の改善は、実はこれまで行っていたソフトウェアのプロセス開発と異ならない。評価
* 仕様
* 資料2
* 資料7
* 資料8
### プログラマーの仕事はどう変わるのか
* 資料2
* 責任をだれが持つか、誰が持てるかが大切
* 今後プログラマーが育ちにくくなる
* プログラムの観点から品質に責任持てる人が貴重になる
* 将来生成AIで作成したアプリが動作できないものを何とかしてほしい駆け込み寺ができると推測している
* またはバカバカ消費するトークン数を節約改善するためのコンサルなども出てきそう
* とある会で、定年で引退した方々が、このような責任を持って承認するための取り組みを始めようとしているという声も聞こえてきた。
* ロートルが生成AIで転生して、ソフトウェア開発を無双する、というアニメのような話があるかも。妄想だけど。
こちらも長考。そのため、この次の「変わる学び」の章も同時に作成ボタンを押して考えさせます。
同時に二つの歯車が回るようになります。時短になります(きっと)。
Agenda.txtの内容に従った講演資料のうち、下記の範囲のスライドを20ページで生成してください。
###
# スライド構成
* 変わる学び
** 自身で生成AIで開発を学ぶ若年層の出現
** 学び方の変化
* そのほかの話題
** AI生成物の即消費文化
** 生成AIで感じる事
* 結論
# 参考資料
* 資料1 インターロップAPPSJAPAN2024_アプリのイマミライ_20240609r3.pdf
* 資料2 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド_嶋20250611.pdf
* 資料3 APPSJAPAN2025_パネルディスカッションスライド2_嶋20250612.pdf
* 資料4 資料4.pdf
* 資料5 資料5.pdf
* 資料6 資料6.pdf
* 資料7 資料7.pdf
* 資料8 資料8.pdf
* 資料9 GAIS_嶋_HRDX_20250220rev1.pdf
# 講演資料内容
## 変わる学び
### 自身で生成AIで開発を学ぶ若年層の出現
* 資料9
* 大塚さんの事例と、金沢での事例
* ChatGPTとの対話を中心に学習を進めている
### 学び方の変化
* 今後の人材育成の考え方が変わる可能性がある
* 人間の能力を生成AIによって伸ばすという考え方が必要
* それをエンドースする指導者も必要(本日のパネルの佐々木さん)
* 今プログラムを仕事で習得する事は大切だし価値がある。今後生成AIでコーディングが行われるため、プログラムを書く機会が減る。強制的に書かさせれて習得できる機会が減るため、今後このスキルの習得コストが大きくなる。いま仕事でプログラムを実習できる最後の機会だと思う。特にソフトウェアの情報系の学生などは生成AIにより失望にも似た感情を持っていると思われるが、実はそれは貴重なチャンスと捉えるべき。
## そのほかの話題
### AI生成物の即消費文化
* AI生成物の消費文化が促進(バイブコーディングが一旦)
* その場で生成AI情報を生成消費
* トークンコスト最小となった生成AI業界の、生成コンテンツ即時消費文化が促進
・音楽をその場で生成してその場で視聴
・CMをその場で生成してその場で視聴
・Web画面をその場で生成してその場で利用
・アプリをその場で生成してその場で利用
・スマホ自体をその場で生成してその場で利用
・ハードウェア自体をその場で作成してその場で利用(ここはトーンで作れないのでダメ)
・すべてのメディアやコンテンツがパーソナライズに紐づいてできる
### 生成AIで感じる事
* 仲間づくりには向いていない
* 責任を取る事、方向を示す事が人間に求められること
* 生成AIの未来について
生成AIは知識の工場制機械工業
家内制手工業 工場制手工業 工場製機械工業 家内制機械工業
ソフトウェアの製造価値が低くなるとどうなるかというと、即消費文化への移行が促進されてしまう
## 結論
これでできあがったスライドが次のふたつ。各々20ページです。
仕上げ工程
生成したファイル単純に連結したものが次の完成した70ページのPDFです。
ここまでで完成でもよいのですが、実際にはこれではまだ発表資料に用いる事はできません。不適切な内容やハルシネーションなどが含まれているからです。スライドを生成する際に、プロンプトを修正して生成する画像を変更しても良いのですが、スライド作成速度を考えると時間が溶けていきそうだったため、この正攻法は諦めました。
NLMで生成されるスライドは全てPDFで出力されます。しかも文字の情報などは無く、画像ファイルがPDFとなっているため編集はできません。PDFを編集するAcrobatなどを持っていれば直接画像ベースで修正することもできますが、私は原始的な方法を取りました。
ここで採った手法は、まさかの画面をチャプチャーして、pptxのページに貼り付けていくという手法です。お恥ずかしい限りですが、この段階で確か登壇まで12時間を切っていたので、もう待ったなしだったので、このような確実な手順で乗り切りました。
ページに張り付けたスライドに対して、pptxの矩形を貼り付けて表示を消したり、タイトルを追加したり、不要なスライドを削除したりして、自身の原稿として愛相応しい状態まで作り上げます。(ここの行程は超泥臭いので省略)
それで作り上げたのがOkinawa Open Daysでの登壇資料となります。
(実際にソースに入っている情報や、入力しているプロンプトが異なりますので、今回生成したスライドと異なっています。本エントリーは手順を紹介しているものであり、同じ方法で作成しています)
NotebookLM(NLM)の幻滅とTIPS
今回NLMに取り組んで経験したなかで、課題と感じて(取り組んでいる間は幻滅と感じて)いた事を、つらつらと書かせてもらいます。
第一の幻滅 ソースはファイル置き場でない
複数の人とプロジェクトを行っていると、特定のフォルダにファイルをおいて、複数の人で互いに参照しながら作業すると、作業効率が良くなります。新しいファイルはフォルダに追加し、古いものは削除し、必要な物は更新をかけます。このようなファイル管理を行える場所として「NLMのソース」を使うと良さそうに感じます。
たけどそれ、だめなんです。
ソースに入れたファイルは、入力したファイルフォーマットのまま閲覧する事や、ダウンロードすることができません。テキストやPDFだと文字列だけ抽出して表示することはできますが、オリジナルのファイルとしては取り出せなくなっているのです。
そのため、ソースに登録するファイルは、ローカルPCにて改めてフォルダを作成してバックアップを取っておく必要があります。
第二の幻滅 ソース上でファイルの編集ができない
ソース上のファイルを修正することができません。本当はソースに登録したAgenda.txtのようなプロンプトのファイルを修正しながら、アウトプットを変更していきたいのですが、NLMはソースのファイルは閲覧しかできません。そのため、編集したい場合は、元のファイルを削除して(またはチェックボックスを外して)、改めて編集済みのファイルを再度ソースに新規登録させることで実現させます。そのためにもローカルPCのフォルダにファイルをバックアップしておく必要があります。
第三の幻滅 ソースに入るフォーマットは意外に少ない
ソースにMicrosoftのOffice製品である、word、powerpoint、excelなどのファイルは、そのまま登録できません。テキストファイルもUTF8でないと文字化けします。テキスト、画像またはPDFに変換して追加する事となるのが、編集して入れなおす場合に意外と面倒です。
第四の幻滅 チャットの結果は消えてしまう事がある
チャットの履歴は、次の文字生成の元データとなっています。チャットは時々消えてしまう事があるので、良い出力については「Studio」にある「メモを追加」のボタンでStudio領域にメモとして保存できる機能があります。
ところが、このメモはチャット領域の文字生成や、スライド資料を生成するときには、参照されません。困るのことに、Geminiに質問した際に「メモに保管して次の生成の情報として参照させることができます」と誤った回答することが度々ありました。これはハルシネーションであり、多くの場合、誤りを指摘するとGemini自体で修正してくれます。
そのため、チャットで良い出力があった場合は「メモを追加」でStudioへ保管します。その上で、次の生成のソースにいるならば、メモをダウンロードしてテキストファイルとした上で、「ソースを追加」から、ソースの一つとして保管します。これで、参照されるようになります。
第五の幻滅 ページ数で指定するな
PDFの「特定のページ」に書いてあることを、ページ数で指定して、参照させたいケースはよくあります。例えば「〇×.pdfファイルの3ページ目から執筆して下さい」と言うような感じにです。しかし、現状のNLMではPDFのページ番号は絶望的に認識できません。つまり、ページ番号を認識できないんです。
それもそのはず、PDFのファイルをソース領域で開くと下記のように、ページの概念が無く、テキストと画像がつらつらと連続しているだけだからです。
そのため、PDFのページを指定したい場合は、そのページのタイトルなどで指定する必要があります。このあたりもTIPSです。

第六の幻滅 スライド作成のプロンプト入力は賽の河原方式
Studioエリアの「スライド資料」にあるプロンプト入力エリアである「作成するスライドについて説明してください」については、一度「生成」ボタンを押してを開始してしまうと、入力した文字列が消えてしまいます。必ずローカルのテキストエディターなどにコピペしながら作業する必要があります。
そうでないとプロンプトを改善して良い生成をしようと思った時に、前回入力したプロンプトがなくなっていて、またゼロか作成しなくてはなりません。つまり、自身でバックアップしておかないと、賽の河原の如くまたゼロからくみ上げないとならないのです。
結論
ここで紹介した「幻滅」については現環境で感じたことを列挙しています(GWSのドライブを利用すれば解決できるものもあります)。
しかし、これらの幻滅があったとしても、あまりあるNLMの御利益は素晴らしいものと感じています。今回これだけのスライドが短時間で生成できたのは、これまで書き溜めていたテキスト原稿が相当数含まれていたことも好材料になったと感じています。自身の意図が、十分NLMに伝わっていたから実現したのではないかと推測しています。
*スライド中の私の写真がハルシネーションを起こしてしまっております。修正します。
現在の取り組み
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