#はじめに
フェルマーの最終定理を証明するためには谷山=志村予想が正しいことを証明すればよい。この流れと理解するための知識を細かく書く。
このページは動画でも解説をしています。
谷山=志村予想とフェルマーの最終定理
注意:変更を加えているので動画と違うところがあります
#必要な知識
##フェルマーの最終定理
自然数$n≥3$に対して
a^n+b^n=c^n
を満たす自然数$a,b,c$は存在しない
##楕円曲線(正確でない)
>曲線が楕円曲線であるとは,$y^2=x^3+ax+b$ と表され,有理数の点を通り,その点は尖ったり交差したりすることのない点である。
※グラフに描くと尖ったり交差したりすることのない点を非特異点と呼ぶ
※右辺=0のとき,重根を持たなければ非特異点しかもたない
別表現(9/8 フライ曲線に合わせるために変更した)
>曲線が楕円曲線であるとは,$y^2=x^3+ax^2+bx+c$ と表され,(右辺)=0が重根を持たない。
##上半平面上の重み 2 レベルNの保型形式(正確でない)
>$f(z)$ が上半平面上の重み $2$ レベル $N$(自然数)の保型形式であるとは
(1) $f$ :複素平面の上半平面{ $z ∈ C: Im(z) > 0$ }で定義された関数
(2) $f$ :正則(微分可能のようなもの)
(3)
>```math
\left(
\begin{array}{cc}
a & b\\
c & d
\end{array}
\right)
\in\Gamma_{0}(N)
に対して \quad
f\left(\frac{az+b}{c z+d}\right) =(cz+d)^2f(z)
という変換が成り立つ。ただし
\Gamma_{0}(N)=\left{
\left(
\begin{array}{cc}
a & b\
c & d
\end{array}
\right)
:
\ a,b,c,d\in Z,\ \ c\equiv 0\mod N \ かつ\ ad-bc=1\right}
##谷山=志村予想
>有理数体上の導手 $N$ の楕円曲線に対して,あるレベル $N$ のモジュラー形式 $f(z)$ が存在して, すべての素数 $p$ で $a_p(f) = a_p(E)$ となる.
>※ 導手N:楕円曲線Eの判別式と素数から得られる定数
※ $a_p(f)$:fの導手Nから得られる定数
別表現
>全ての楕円曲線はモジュラーにより一意化できる
>※一意化の例:円 $x^2+y^2=1$ は $x=\cos t,y=\sin t$ により三角関数に一意化される
#志村=谷山予想が正しければフェルマーも正しいことの流れ
(9/8 本:[ガロア理論と表現論](http://www.amazon.co.jp/gp/product/4535785899/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4535785899&linkCode=as2&tag=simanezumi104-22)を参考に変更した)
##フェルマーの最終定理が成り立たないと仮定する
ある自然数$n≥3$に対して
```math
a^n+b^n=c^n
を満たす自然数$a,b,c$が存在すると仮定する。
(このとき $a,b,c$ が互いに素であることが示せる⇒証明)
##a,b,cを使って楕円曲線を作る
曲線
E:y^2=x(x-a^n)(x+b^n)
を考える。この曲線が楕円曲線であること(重根をもたないこと)を確かめる($a,b$ が互いに素なのでok)。
この楕円曲線をフライ曲線という。
このフライ曲線は面白い特徴をもつらしい
・半安定 (定義 証明)
・判別式が2n乗
##谷山=志村予想の一部(ワイルズの定理)
すべての半安定な楕円曲線は、モジュラーである。これはフライ曲線 $E$ に対してある保型形式 $F$ が存在して
$L_E(s)$(フライ曲線のゼータ関数)= $L_F(s)$(保型形式のゼータ関数)
を満たすことを意味する。このとき
レベルを下げる操作をすると $F$ はレベル2となる(ガロア表現の分岐からレベルがわかるらしい)。
しかし,そのような保形形式は $0$ しかないので矛盾する。
#関連サイト
次の記事:谷山=志村予想の例
#参考文献
おすすめ記事:Ribetによるフェルマーの最終定理の証明の流れ
ワイルズの証明
ガロア理論と表現論
リベットの証明
リベットのまとめ
Frey曲線やε予想
Freyの論文
谷山=志村予想
定義