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谷山=志村予想の例

Last updated at Posted at 2015-08-22

#はじめに
まだフェルマーの最終定理を証明する流れが曖昧である。その理由として谷山=志村予想の

全ての楕円曲線はモジュラーである

がよく分からないからである。そこで,ネットで具体例を使って谷山=志村予想を説明している資料があったので,参考にしながら谷山=志村予想の理解を目指す。

このページは動画でも解説をしています。
谷山=志村予想の例

#ある楕円曲線に関しての谷山=志村予想
##素数pを法とする楕円曲線の解の個数

E:y^2=x^3-x

という楕円曲線について谷山=志村予想を考える。
まず楕円方程式 $E$ を満たす解に着目する。$E$ の全ての解を見つけるのは難しいが,素数 $p$ に対して

E_p:y^2\equiv x^3-x\mod p

を考えれば解のようなものを見つけやすくなる($E_p$ を満たす解を$p$ を法とする $E$ の解という)。ここからは,$E_p$ を満たす整数解の個数 $N_p$ に注目する。ただし, $p$を法としているので,解$(x,y)$ は $0≤x<p$,$0≤y<p$ を満たす自然数とする。
###p=2のとき
$x=0$ ならば (右辺) $=0$ より $y=0$
$x=1$ ならば (右辺) $=0\equiv 0\mod 2$ より $y=0$
となる。よって $E_2$ の解は $(0,0)$,$(1,0)$ となり $N_p=2$ となる。
###p=3のとき
$x=0$ ならば (右辺) $=0$ より $y=0$
$x=1$ ならば (右辺) $=0$ より $y=0$
$x=2$ ならば (右辺) $=6\equiv 0\mod 3$ より $y=0$
となる。よって $E_3$ の解は $(0,0)$,$(1,0)$,$(2,0)$ となり $N_p=3$ となる。
###p=5のとき
$x=0$ ならば (右辺) $=0$ より $y=0$
$x=1$ ならば (右辺) $=0$ より $y=0$
$x=2$ ならば (右辺) $=6\equiv 1\mod 5$ より $y=1$
       (右辺) $=6\equiv 16\mod 5$ より $y=4$
$x=3$ ならば (右辺) $=24\equiv 4\mod 5$ より $y=2$
       (右辺) $=24\equiv 9\mod 5$ より $y=3$
$x=4$ ならば (右辺) $=60\equiv 0\mod 5$ より $y=0$
となる。よって $E_5$ の解は $(0,0)$,$(1,0)$,$(2,1)$,$(2,4)$,$(3,2)$,$(3,3)$,$(4,0)$ となり $N_p=7$ となる。
以下地道にやっていく。。。って思ったが,プログラミングでやってみた。
http://qiita.com/simanezumi1989/items/3395b1417eb987ea769b
###結果
スクリーンショット 2015-08-22 22.56.48.png

これで楕円曲線の話は一旦終了!
##モジュラー形式

F(q)=q\prod_{n=1}^{\infty}(1-q^{4n})^2(1-q^{8n})^2

について考えます(どっからこんな式出てくるねん!)。
$F(q)$ を展開し,$q^n$の係数調べます(どうやってするんだよ!!)。ただし,係数は無限個あるので$q^{30}$までの係数を調べることにします。
###展開!展開!!展開!!!
地道に展開するしかないようで,,,地道にやりました(プログラミングで計算する方法がわかる方はアドバイスお願いします)。
$F(q)$ を展開していくと $1-q^n$ の形から $q^n$の係数は$n$の小さい順から変化しなくなっていくことがわかります。また $q^{30} $より大きい項は無視して考えます。

$\displaystyle{F(q)=q\prod_{n=1}^{\infty}(1-q^{4n})^2(1-q^{8n})^2}$
$=q(1-q^{4})^2(1-q^{8})^2(1-q^{8})^2(1-q^{16})^2(1-q^{12})^2(1-q^{24})^2(1-q^{16})^2(1-q^{32})^2$
$\times (1-q^{20})^2(1-q^{40})^2(1-q^{24})^2(1-q^{48})^2(1-q^{28})^2(1-q^{56})^2$

$=q(1-q^{4})^2(1-q^{8})^2(1-q^{8})^2(1-q^{16})^2(1-q^{12})^2(1-q^{24})^2(1-q^{16})^2$
$\times(1-q^{20})^2(1-q^{24})^2(1-q^{28})^2$
(掛け算の性質から$1-q^{30}$ より指数が大きいものは,展開しても無視されるので消しています。)
$=q ( (1-q^{4})(1-q^{8})(1-q^{8})(1-q^{16})(1-q^{12})(1-q^{24})(1-q^{16})$
$\times(1-q^{20})(1-q^{24})(1-q^{28}) ) ^2$
$=q(1-q^{4}-2q^{8}+q^{12}+2q^{20}+q^{24})^2$
($q^{30}$ より指数が大きいものは消しています。)
$=q(1-2q^4-3q^8+6q^{12}+2q^{16}-q^{24}-10q^{28})$
$=q-2q^5-3q^9+6q^{13}+2q^{17}-q^{25}-10q^{29}$

上の計算から $q^{30}$ までの係数をもとめました。ここで

a_p={q^pの係数}

と定義します。
###p,N_p,a_pの関係 そして谷山=志村予想へ
$p,N_p,a_p$を順番に書き出してみると
$p\ \ =2,3,\ \ 5,7,11,13,17,19,23,29$
$N_p=2,3,\ \ 7,7,11,\ \ 7,15,19,23,39$
$a_p=0,0,-2,0,\ \ 0,\ \ 6,\ \ 2,\ \ 0,\ 0,-10$
より

N_p+a_p=p

という関係式が出来上がる。このような対応がすべての楕円曲線について存在するというのが谷山=志村予想...らしいです。

#疑問
モジュラー形式の式

F(q)=q\prod_{n=1}^{\infty}(1-q^{4n})^2(1-q^{8n})^2

はどこから来た?

#関連サイト
僕のブログ:Hello Dream World
前の記事:「谷山=志村予想⇒フェルマーの最終定理」の流れ(未完成)
次の記事:フライ曲線が半安定である説明

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