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謝らないで前に進めるエンジニアリング思考

Last updated at Posted at 2025-11-22

エンジニアリングの現場では、トラブルや仕様変更が日常的に発生する。こうした状況で最も求められるのは、感情的な反応ではなく、前進のための具体的な判断と行動である。

謝罪を起点にしない思考を軸に、論理的で再現性のある対話方法をまとめてみました。


「まず謝る」から離れる意義

謝罪は一見すると丁寧な対応に見えるが、実際には以下の負の作用を引き起こしやすい。

・問題の本質から注意が逸れる
・発言者の能力不足を印象づけやすい
・建設的議論への移行が遅れる

プロフェッショナルに求められるのは、原因の所在よりも未来への進め方を示す姿勢である。
そのため、最初の行動として謝罪を選ばないことには十分な合理性がある。


前進を生み出す三要素

謝罪を起点にせず、状況整理から始めると、対話は一気に明確になる。
本稿のフレームは以下の三つで構成される。

①状況の把握と整理

②必要な変更点の提示

③実施可能な具体策の提示

この三つを連続的に示すことで、相手は事実を理解し、次に取るべき行動を迷わず判断できる。


ケース別の対話例

以下はよくある場面において、このフレームを適用した具体例である。
いずれも謝罪を前提にせず、論理性と前進を中心に構成している。


納期が現実的でなくなった場合

従来型
「すみません、遅れてしまい申し訳ありません。間に合うように頑張ります」

改善案
「現在の進捗を踏まえると、当初の納期での完了は現実的ではありません。主要因は設計仕様変更と優先タスクの競合です。対応策として、機能Xをフェーズ2に分割し、納期内にコア要件を満たす案を提示いたします」


レビューで重大な不具合が指摘された場合

従来型
「申し訳ありません、確認が甘くバグを見逃してしまいました」

改善案
「指摘ありがとうございます。原因はY処理の依存条件変更を想定外としていた点にあります。該当条件を網羅するテストケースを追加済みで、修正とリファクタリングも完了しています。併せて仕様変更検知のプロセスを強化いたします」


スコープ外の作業を突然依頼された場合

従来型
「すみません、確認不足でした。対応できるよう調整します」

改善案
「現在のリソース配分では、本件を即時対応することは難しい状況です。代替として、既存タスクZの優先度の調整、または外部サポートの一部導入で対応可能になります。どちらの方向で進めるかご相談させてください」


論理的コミュニケーションがもたらす効果

謝罪を排除することが目的ではなく、対話の起点をより合理的な地点に置くことが目的である。
このフレームを採用することで、次の効果が得られる。

・問題の本質が明確になる
・判断と意思決定が迅速になる
・個人攻撃や感情的対立を避けられる
・チーム全体の前進速度が安定する

特にエンジニアリングのような論理的領域では、感情ではなく事実と提案を明確に示す姿勢が強い信頼を生む。


まとめ

謝罪を起点にしないという方針は、冷淡さではなく、前進を最優先とする合理的な姿勢である。

状況整理、変更点、具体策の三つを一貫して提示することで、問題解決が最速化され、チームの成果にも直結する。

ただし、時と場合、対峙する人によるのは間違いなく、何よりもスピードや熱意が重要である可能性は十分に留意したい。

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