長く勤めた会社を退職するとき、それは感傷的であると同時に、自分がその職場にとってどれだけの影響を与えていたかを知るための 「検査」のタイミングでもあります。
普段の社交辞令の評価ではなく、退職宣言というイベントが教えてくれた、真の自己評価と、これからのキャリアに必要な視点についてまとめます。
🚀 退職宣言がもたらす「真実の可視化」
普段の職場では見えない、自分の存在の真の価値が、退職という行動によって可視化されます。
ここにこそ、自分がその職場にとって必要な人材だったかどうかを測る、唯一の実験のタイミングがある
1. 引き留めの「軸」がすべて
本当に必要な人材であれば、引き留めの内容が 「給与(金額ベース)」 ではなく、あなたの 「存在そのもの」 や 「やりたいこと」 を尊重した会話になるはずです。
私が経験した重要なポイントは以下の通りです。
- 金額ではなく、やりたいことを尊重した会話だった
- 組織として心から残念がってくれた
- 引き留めが「形式」ではなく「本音」として伝わってきた
この反応は、日頃の関係性や信頼の積み重ねがなければ生まれません。
2. 立場を越えた「信頼のネットワーク」の可視化
退職は、普段は見えにくい 「信頼のネットワーク」 を一気に可視化します。私の実例では、以下のような反応がありました。
| 立場 | 反応が教えてくれたこと |
|---|---|
| 上司陣 | 「組織としてあなたに残ってほしい」という本音のメッセージと、プロフェッショナルとしての懐の深さ(最終的に選択を尊重し、背中を押してくれた)。 |
| 後輩 | 自分がいない会議の場で「上に挙げればよいのでは」と言ってくれていた。これは、期待と信頼の最も純粋な表れ。 |
このネットワークの中で、自分は単なる歯車ではなく、確かに一つの結節点(ハブ) としての役割を担っていたのだと実感できました。
💡 ロールモデルの有無を超えたキャリアの視点
退職の判断を下すうえで、もう一つ重要な視点は 「その職場で、自分が輝いている未来を想像できるかどうか」 です。
1. ロールモデルがいない時代のキャリア構築
AIの進化により、誰も経験したことのない仕事や役割が次々に生まれる時代です。
- 「明確なロールモデルがいない」 状況は、不自然ではなくなる。
- 過去の成功例をなぞるのではなく、未来を自ら描く力が求められる。
2. 問われるべき重要な問い
ロールモデルの有無よりも、問われるべきは以下の問いです。
- この職場で、自分が舵を取り、物事を仕切っている姿を想像できるか?
- 肩書きや役職ではなく、自分ならではの価値を発揮している未来が思い浮かぶか?
「自分自身が船長席に座っている情景を、根拠がなくても思い描けるか」が、キャリア選択の最重要基準になっていくはずです。
🌟 退職経験から得た自信
14年働いた会社を離れる決断は、以下の二つを客観的に確認できたことで、納得できるものとなりました。
- この職場に良い影響を与えられていた(上司・部下の心からの残念がる反応)
- 自分の転職の軸は「お金」ではなく「やりたいこと」であると周囲に理解されていた
必要とされていた場所を後にする痛みと、やりたいことに向かって舵を切る勇気。その価値を信じられるだけの反応と対話を職場からもらえたことが、次の航海への大きな一歩となりました。
退職の瞬間を、ぜひ自分の影響力を測る 「論理的な検査」 として活用し、次のキャリアへの自信につなげてください。
※わたしの職歴概要については、以下の記事が参考です。