はじめに
こんにちは。推薦基盤の関口です。
本記事では、ZOZOTOWN HOME面のパーソナライズ枠から検索結果面に遷移を可能にした取り組みについてまとめたいと思います。
一般的に、ECサイトにおいて回遊率の向上は、ユーザーの購買意欲を高め、最終的な購入率の向上につながると言われています。今回の改善を通じてどのような結果になったのかをご紹介します。
パーソナライズ枠とは
ZOZOTOWNのHOME画面は、「モジュール」と呼ばれる単位で商品が表示されるようになっています。
モジュールは以下の4つに大別されます。
モジュール名 | 説明 |
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導線モジュール | 閲覧した商品を軸としたリターゲティング系モジュール |
企画モジュール | トレンド商品や企画商品など企画チームが考案したモジュール |
広告モジュール | 広告商品用モジュール |
レコメンドモジュール | ユーザーごとにパーソナライズされたモジュール |
今回は、これらのモジュールの中でも特にユーザーの購買行動に大きな影響を与えるレコメンドモジュールの改善についてお話しします。レコメンドモジュールは、ユーザーの閲覧履歴や購買履歴に基づいて、一人ひとりに最適化された商品を提案するもので、HOME面の中でも特に重要な役割を担っています。
この記事では、複数種類あるレコメンドモジュールをまとめてパーソナライズ枠と呼称します。パーソナライズ枠はHOME面でも売上影響の大きい部分になるため、以下の施策を実施する運びとなりました。
施策
レコメンドモジュール以外の商品訴求するモジュールでは基本的に「すべて見る」リンクが設置されており検索結果面に遷移することができます。これにより、より多くの商品を閲覧することができ、サイト内回遊を促すことができます。
しかし、システム上の都合により、これまでレコメンドモジュールには「すべて見る」リンクを設置することができない状態でした。そこで今回、この課題を解決し、レコメンドモジュールにも検索結果面への遷移リンクを実装する運びとなりました。
導入後の結果
様々な開発チームに助けられ、まずはWEB版に先行して遷移リンクの設置をリリースしました。この変更による効果検証のため、ABテストを実施しました。今回の指標は、日頃から定常的にモニタリングしている指標を活用しています。
指標 | t/c比率 |
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HOME面訪問者1人あたり受注金額(KGI) | 101.2% |
モジュール閲覧者1人あたりモジュール閲覧コンテンツ数(KPI) | 97.9% |
モジュール閲覧者1人あたりモジュールクリック数(ヘッダー+コンテンツ)(KPI) | 100.3% |
結果の考察
上記のABテストの結果から、以下のことが読み取れます。
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HOME面訪問者1人あたり受注金額
101.2%と有意差ありで向上しており、施策が売上にポジティブな影響を与えたことが示唆されます。(ただし、集計の都合上、施策とは無関係に偶然生じたアップリフトが含まれている可能性もある点に注意しなければなりません。) -
モジュール閲覧者1人あたりモジュール閲覧コンテンツ数
97.9%と低下しました。これは、ユーザーがパーソナライズ枠から直接検索結果面へ遷移するようになった結果、モジュール内の商品を閲覧する回数が減少したことによるものです。この現象は施策の意図に沿ったものであり、問題ないと判断しています。 -
モジュール閲覧者1人あたりモジュールクリック数
100.3%とほぼ変化がなく、モジュール内のクリック数には施策前後で大きな変化が見られませんでした。これは、施策による影響が限定的であったと考えています。
総じて、今回の施策は売上に対するポジティブな影響が確認された一方で、ユーザー行動の変化が施策の意図に沿ったものであることが裏付けられました。
まとめと今後
この結果から、今回の施策ではサイト全体の回遊性の向上にはさらなる課題が残るものの、ユーザーが効率的に商品を見つけられるようになり、売上の向上に寄与した可能性が高いと考えられます。今後は、影響が大きいAPPへのリリースも完了したため、引き続き効果検証を進めていきます。ZOZOTOWN HOME面の改善を通して愛されるZOZOTOWNを目指します。
最後に
みなさま良いお年を。ZOZOTOWNの初売りセールが楽しみ!!