この記事について
「Gemini 3.0 Proがヤバいらしい」 最近、SNSや様々なブログでこんな噂を耳にしませんか?
しかし、「すごい」「革命的だ」という言葉ばかりが先行して、「具体的に他のAIと比べて何が凄いの?」と疑問に感じました。
そこで、ベンチマークの数値の差と個人的な見解で、特に優れているなと感じた点をまとめてみたという記事になります。
そもそもベンチマークとは
本題に入る前に、頻出する「ベンチマーク」という言葉について簡単に説明します。
ベンチマークとは、一言で言えば AIの「実力テスト」 のことです。
私たちが学校で「国語」「数学」「英語」の試験を受けて学力を測るのと同じように、AIも「論理的思考」「画像認識」「プログラミング」といった様々なテストを受けることで、その総合力や得意・不得意を判定します。
Gemini 3.0 Pro の特徴
早速Gemini 3.0 Proが他のLLMと比べて特に優れていると感じた点をご紹介します。
グラフを見ても分かるとおり、多くの項目で高い数値を記録しています。
今回はその中でも赤枠の7つの項目に触れていこうと思います。
ARC-AGI-2
ARC-AGI-2 とは
これは未知の法則性を見つけ出す力を測るテストです。
人間なら直感的に解けるが、AIには難しい問題です。
過去のデータセットをいくら学習したところで意味がありません。
パズルを見て、隠されたルールを推測するという、人間には直感的に解けてもAIには極めて難しい「未知の問題」だけで構成されています。
Gemini 3.0 Pro の凄さ
他のLLMがほぼ正解できなかったこのテストで 31.1% という正答率を叩き出しました。
これはGemini 3.0 Proが学習データにない新しい状況に直面しても、自ら考え、柔軟に適応して問題を解決できる能力が他のAIモデルに比べて高いということを示しています。
GPQA Diamond
GPQA Diamondとは
Graduate-Level Google-Proof Q&A(大学院レベルのGoogle検索不能なQ&A)の略称であり物理学、化学、生物学の分野で、博士号を持つ専門家が作成した高難易度の問題集です。
名前の通り、Google検索を駆使しても正解できないように設計されており、博士号レベルの専門家ですら正答率は約69.7%にとどまります。
表面的な知識検索ではなく、専門家と同等の深い理解と推論能力がAIにあるかをテストします。
Gemini 3.0 Pro の凄さ
博士号保持者でも7割しか解けない問題を 91.9% という驚異の正答率を記録しました。
これはAIの知能が人類のトップ層を追い越したことを意味します。
この分野におけるタスクはAIが人間に代わって行う未来が来るのかもしれません。
MathArena Apex
MathArena Apex とは
既存の数学テストがAIにとって簡単になりすぎた(飽和した)ために新設された、超高難易度の数学ベンチマークです。
単なる計算や公式の適用では解けず、複数の概念を組み合わせた深い推論と、正解に至るまでの論理的な思考プロセスが要求されます。
Gemini 3.0 Pro の凄さ
これまでの最先端モデル(GPT-5.1やClaude Sonnet 4.5など)でさえ、正答率がわずか1.0%〜1.6%という状況の中、Gemini 3.0 Proは23.4% という桁違いのスコアを記録しました。
今までのAIは、思考のステップが複雑になると途中で論理が破綻する傾向にありましたが、Gemini 3.0 Proは複雑な論理を最後まで破綻させずに考え抜く力が優れているという証拠です。
複雑すぎてAIには無理と思われていた作業もだんだん任せられるようになってきました。
ScreenSpot-Pro
ScreenSpot-Proとは
これは画面上に表示されているボタン、テキスト、アイコンなどの要素を認識し、AIが人間のように操作できるかを測るテストです。
UIは文字だけで構成されている訳ではありません。
- フロッピーアイコン = 保存
- 三本線 = メニュー
- ゴミ箱アイコン = 削除
というように、文字情報のない視覚的な情報で溢れています。
さらに「一番右のウィンドウの、赤いボタンの下」のように空間的な位置関係の理解も求められます。
従来のAIは文字を読むことは得意でも、ピクセルの並びを見て「グレーアウトされてるから今は押せない状態なんだ」や「これはアイコンだ」と認識することが苦手でした。
Gemini 3.0 Pro の凄さ
元々GoogleはGoogleレンズやVision AIなど画像認識で強いイメージがありましたが、その強みが全面に出ていると感じました。
- APIの無いソフトやツールもGUI上で操作可能になる
- RPAにおいて、画面上のデザインに少し変更があるだけで再度修正が必要な場合が多かったが、より柔軟な壊れにくいRPAが構築可能になる
- 複雑な動画編集ソフトや専門的なツールの操作方法なども自然言語で質問可能
というようにさまざまな活用方法があります。
人間のように画面を見て、マウス操作までもAIが完全に代行できるようになる未来があると思いました。
SWE-Bench Verified
SWE-Bench Verifiedとは
このテストを一言で表すと「AIが実務レベルのソフトウェアエンジニアとして機能するか」を測るテストです。
Djangoやscikit-learnといった実在するオープンソースプロジェクトのイシューが課題として与えられ、AIはその内容を理解し、実際に解決できるかを試されます。
Gemini 3.0 Pro の凄さ
数値だけ見ればClaude Sonnet 4.5に軍配が上がりますが、忘れてはいけないのは
「Geminiはコーディング特化のAIモデルではない」 という点です。
他のベンチマークを見てわかるように、「画像理解(ScreenSpot)」や「数学・推論(MathArena)」などの項目では他のAIに比べ圧倒的な性能を誇っています。
二兎を追う者は、一兎をも得ずと言いますが、Geminiは三兎をも四兎をも追いながらそのほとんどのカテゴリで超高水準の結果を示した汎用AIであると言えます。
そのため、数値で言えば他のAIモデルに軍配が上がりますが、あえてご紹介しました。
Vending-Bench 2
エージェントの長期的な一貫性はこれまで以上に重要です。コーディングエージェントは現在、何時間も自律的にコードを書くことができ、AIモデルが遂行できるタスクの幅は今後も増えるでしょう。モデルは間もなく経済に積極的に参加し、ビジネス全体を管理することが期待されています。しかしこれを実現するには、非常に長い期間にわたって一貫性と効率性を保たなければなりません。Vending-Bench 2が測定するのは、モデルが一貫性を保ち、シミュレーションされたビジネスを1年間成功裏に管理する能力です。
Vending-Bench とは
このテストは長期にわたるビジネス運営において、AIがどれほどのパフォーマンスを発揮できるかを測るテストです。
テスト内容は、自動販売機のビジネス運営を365日任せてみて、どれくらい黒字にできるかという内容です。
サプライヤー(これもAI)との仕入れ交渉や在庫管理、収支管理をし、破産を回避する必要があります。
Gemini 3.0 Pro の凄さ
他のAIモデルがサプライヤーとの交渉に時間を費やす傾向にあったのに対し、Gemini 3.0 Proは「最初から条件の良い優良サプライヤーを探す」という効率的な戦略をとっていました。
また、他のAIが詐欺的な業者にお金を払ってしまったり、相場より高い不当な価格で取引してしまう中、Gemini 3.0 Proは常に適正価格を把握し、冷静な判断を下しています。
365日という長期間にわたって過去の文脈を忘れず、パフォーマンスを落とさずに稼働し続けたことが、今回の圧倒的な結果に繋がったのではないかと思います。
この結果を見ると、まだまだ発展途上とはいえ、引用文にもある通り、将来的には経営にAIを導入することが当たり前になる世の中がくるのではないかと感じさせられました。
SimpleQA Verified
SimpleQA Verifiedとは
これはAIが「知ったかぶりをせずに、どれだけ正直に答えることができるか」を測るテストです。
数字が高いほど良いスコア、つまりハルシネーションが少ないことを意味します。
具体的な内容としては、調べればすぐに分かるが、AIの学習データにはギリギリ入っていないような一意の答えがあるマイナーな質問をAIにします。
Correct(正解) > Not attempted(未遂) > Incorrect(不正解)
間違った答え(Incorrect)を出すくらいなら、答えない(Not attempted)方が、AIとしての信頼性は高いと評価されます。
Gemini 3.0 Pro の凄さ
これはシンプルで他のLLMに比べて嘘が少ないと言うことを示しています。
マイナーで意地悪な質問に対しても、学習データにないことは適当に答えず、正確さを保つ能力が高いことが示されました。
ビジネスや学術用途で使う上で、この「信頼性」は非常に重要なポイントです。
まとめ
今回、Gemini 3.0 Proの圧倒的な性能をまとめていて感じたのは、AIの進化スピードの凄まじさです。
約3年前、ChatGPTの登場に世界中が衝撃を受けましたが、今やClaudeやGeminiといった次世代モデルがその常識を次々と塗り替えています。
今は「トップレベル」と称賛されたGemini 3.0 Proでさえ、半年後には「標準」になっている可能性もあると感じました。
だからこそ重要なのは、特定のAIに固執することなく、常に情報の感度を高く持ち、新しいAIが出たらまず触ってみることだと改めて痛感しました。
変化を恐れず、まずは小さくどんどん試していこうと思います!
最後まで読んでいただきありがとうございました!!







