過去の品質勉強会
本セクションの目的
品質の種類を理解する。
品質のイメージ
品質/クオリティ
と聞いたときに、どのようなことをイメージしますか?
どのような項目が対象か考えてみてください。
例えば
-
品質
と聞くと、不具合・バグ
のイメージを強く感じる。 -
クオリティ
と聞くと、機能性・使用性
のイメージを強く感じる。
品質の種類
- プロダクト品質
- 当たり前品質
- 一元的品質
- 魅力的品質
- プロセス品質
- 作業手順
- 企業倫理
プロダクト品質
プロダクトに対する品質です。
先ほどの例の、不具合・バグ
機能性・使用性
は、プロダクト品質になります。
- 当たり前品質
- できて当たり前の品質。
- ユーザが「この製品は最低限この品質を満たしているはずだ。」「この製品はこの品質を持っていて当たり前だ。」と思っている品質のことです。
- 例えば、自動車であれば、「安全に走行することができる」といった品質となります。当たり前品質が満たされていても、お客様は特に満足を感じることはありません。ただし、満たされていないと不満を感じる要因となります。
- 一元的品質
- ないと不満で、あるとウレシイ品質です。
- 例えば、ショートカットキーなどの操作を楽にする機能などがこれに相当します。
- 魅力的品質
- なくても不満にならないが、使ってみて充足感が高いと手放せなくなるような品質です。
- ユーザによって、何に魅力を感じるかは異なります。市場分析やユーザ分析を常に行って磨いていく必要があります。
プロセス品質
製品やサービスを生み出すのに関与する全ての要素
- 作業手順
- 申込〜利用、サポートなどのサービス提供手順や、プロダクト品質を作り込む手順の品質のことです。
- 企業倫理
- 企業自らが社会の一員として活動し、価値のある一員として認められる為の基本的な行動範囲。
品質特性
「品質要素を客観的に評価するための性質」を定義した物が、品質特性です。
品質特性には、機能性、信頼性、使用性、効率性、保守性、移植性があり、この6つの特性から、外部品質、内部品質を評価していきます。
- 機能性(functionality)
- ソフトウェアがユーザからの機能的な要求(明示的機能と暗示的機能)を満たす度合い。
ユーザ目的に合った正確な動作を満たすか。外部IFや規格、セキュリティ基準を満たすか。 - 副特性
- 合目的性(suitability)
- 正確性(accuracy)
- 相互運用性(interoperability)
- 機密性(security)
- 標準適合性(compliance)
- ソフトウェアがユーザからの機能的な要求(明示的機能と暗示的機能)を満たす度合い。
- 信頼性(Reliability)
- 様々な使用条件のもとで、ソフトウェアの機能が正常に稼働し続ける度合い。
必要な期間、正常に動作を続け、イレギュラーに対する耐久力を持ち、障害時に速やかに回復できるか。 - 副特性
- 成熟性(maturity)
- 障害許容性(fault tolerance)
- 回復性(recoverability)
- 標準適合性(compliance)
- 様々な使用条件のもとで、ソフトウェアの機能が正常に稼働し続ける度合い。
- 使用性(Usability)
- 分かりやすく使いやすいソフトウェアであるかどうかの度合い。
簡単に理解でき使いこなすことができるか。再び使用したくなるか。
インストール作業や運用時が容易か。 - 副特性
- 理解性(understandability)
- 習得性(learnability)
- 運用性(operability)
- 魅力性(attractiveness)
- 標準適合性(compliance)
- 分かりやすく使いやすいソフトウェアであるかどうかの度合い。
- 効率性(Efficiency)
- アプリケーションのレスポンスや、ハードウェア資源(メモリ/CPU使用率/ハードディスク等)に対して適切な性能を提供する度合い。
- 副特性
- 時間効率性(time behaviour)
- 資源効率性(resource behaviour)
- 標準適合性(compliance)
- 保守性(Maintainability)
- ソフトウェアに対する機能追加、改修、環境変化等に対する対応の容易性の度合い。
障害等の問題の把握、切り分けなどの解析のしやすさ、変更作業の容易さ、
保守作業が必要な頻度の少なさ、保守によるテスト作業の行いやすさ等。 - 副特性
- 解析性(analyzability)
- 変更性(changeability)
- 安定性(stability)
- 試験性(testability)
- 標準適合性(compliance)
- ソフトウェアに対する機能追加、改修、環境変化等に対する対応の容易性の度合い。
- 移植性(Portability)
- ソフトウェアを ある環境から他の環境に移すための容易性の度合い。
OSやハードウェア等の環境変更に対してスムーズに移植できるか、どの程度の作業量にて移植できるか。 - 副特性
- 環境適応性(adaptability)
- 設置性(installability)
- 共存性(co-existence)
- 置換性(replaceability)
- 標準適合性(compliance)
- ソフトウェアを ある環境から他の環境に移すための容易性の度合い。
関係性
「プロセス」の結果が「プロダクト」であり、「プロダクト」の良し悪しを評価する物が、「品質特性・フィードバック」となる。
よって、「プロダクト品質」を高めるためには、「プロセス品質」を高めることが必要不可欠と言える。「プロセス品質」の最低ラインは、「当たり前品質(品質6特性)」の確保である。
次回予告
今回は、「品質の種類」について学びました。
次回は、「プロセス品質」について、考えていきましょう。