0
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

OSSの運用が面倒なのでCoolifyに乗り換えた話

Last updated at Posted at 2025-12-16

自己紹介

株式会社エイプリルナイツ 経営企画部兼ソリューション事業部のshngmswです。

この記事はエイプリルナイツ Advent Calendar 2025の17日目の記事です。

「朝の冷え込みをAIが予測。Gemini Function CallingとNature Remoで作る自動暖房制御」を書く予定でしたが間に合わなすぎたので別のこと書きます。

この記事について

OSSをセルフホスティングして運用したいけど、正直めんどくさくないですか?

  • 最新バージョンへのアップデート、毎回手動でやるの辛い
  • バックアップ取り忘れて冷や汗かいたことある
  • Docker Composeがどんどん増えて管理が無理ゲーになってきた

わかります。全部わかります。

そんな「運用めんどくさい勢」にぴったりなのが Coolify です。これを導入したらOSSの運用が爆速で楽になったので、布教させてください。

生成AI時代、OSSのセルフホスト需要がヤバい

n8nやDifyって知ってますか?生成AI活用でめちゃくちゃ有名になったOSSです。

特にn8nは生成AIがない頃からZapier/Makeの代替OSSとして弊社でも利用していたんですが、生成AIが世に出てから瞬く間にAIをワークフローに組み込むツールとしてかなり知名度が上がりましたね。

こういうOSSを「自分のサーバーで動かしたい」って需要、界隈でめちゃくちゃ高まってます。

バイブコーディングで作ったアプリ、どこで動かす問題

あと、バイブコーディングで開発したWebアプリとか、DiscordBot、SlackBotみたいな常時起動が必要なアプリケーション、どこにデプロイするか悩みません?

「作ったはいいけど、どこで動かそう...」

この問題、Coolifyが解決してくれます。


Coolifyとは

Coolifyは、OSSのセルフホスティング&自作アプリのデプロイを楽にするオープンソースのPaaSです。

公式サイトでは「Self-hosting with superpowers」って謳ってて、要するにVercel、Heroku、Netlifyみたいなことを自分のサーバーでできるようになります。

できること:

  • GitHubからの自動デプロイ
  • OSSの自動アップデート
  • バックアップの全自動化
  • SSL証明書の自動取得

これ全部Web UIでポチポチするだけ。最高。

Coolifyのアーキテクチャ

Coolifyの概念がちょっとわかりにくいので、図で説明します。

image.png

ポイント:

  • Coolifyはサーバーにインストールして使う
  • デプロイ先はCoolifyと同じサーバーでもOK
  • 別のサーバー(EC2とか他のVPSとか)にもデプロイできる
  • 1つのCoolifyから複数サーバーを一元管理できる

つまり、XserverVPSにCoolifyをインストールして、そこからAWS EC2にもデプロイできるってことです。

しかもトラフィックはCoolify本体を経由せず、各デプロイ先サーバーに直接流れるので、パフォーマンスへの影響もありません。


Coolifyの魅力ポイント

1. 280以上のワンクリックサービス

n8nをはじめ、280以上のOSSをワンクリックでデプロイできます。もうDocker Compose書かなくていい。

カテゴリ 主なサービス
AI Ollama、Open WebUI、LibreChat、Flowise
データベース PostgreSQL、MySQL、MongoDB、Redis
開発ツール Gitea、GitLab、Portainer、Jenkins
CMS WordPress、Ghost、Strapi
監視・分析 Grafana、Uptime Kuma、Metabase
ワークフロー n8n

2. 自動アップデート機能

OSSの運用で一番面倒なのがバージョンアップですよね。手動でやってたら無限に時間が溶けます。

Coolifyなら自動アップデートを設定できるので、勝手に最新バージョンを維持してくれます。神。

3. バックアップの全自動化

データベースのバックアップをS3互換ストレージに全自動で保存できます。

「バックアップ取り忘れてデータ飛んだ」みたいな事故、もう起きません。

4. SSL証明書も全自動

Let's Encryptと連携して、SSL証明書を自動で取得・更新してくれます。

証明書の期限切れでサイトが見れなくなるやつ、あれ本当に辛いので助かります。

5. GitHubから爆速デプロイ

自作アプリをGitHubリポジトリから直接デプロイできます。プッシュしたら自動デプロイも可能。

バイブコーディングで作ったアプリをそのままデプロイできるので、「作ったけど公開するの面倒」がなくなります。

6. 複数サーバーを一元管理

1つのCoolifyダッシュボードから複数サーバーを管理できます。

サーバーごとにSSH接続してdocker-compose upして...みたいな作業、もうやらなくていいです。

7. UIがわかりやすい

Web UIが直感的で使いやすいです。Docker Composeを直接触らなくても、GUIでほとんどの操作が完結します。


実際に使ってみた

インストール要件

  • OS: Ubuntu LTS(20.04、22.04、24.04)推奨
  • CPU: 2コア以上
  • メモリ: 2GB以上
  • ストレージ: 30GB以上

ローカルで試す(WSL2 / Mac)

VPSを契約しなくても、ローカル環境でCoolifyを試せます。今回はWSL2を使いますが、Macの場合はターミナルから直接実行できます。

Windowsの場合(WSL2):

  1. WSL2でUbuntuを起動
  2. 以下のコマンドを実行
curl -fsSL https://cdn.coollabs.io/coolify/install.sh | sudo bash

Coolifyインストール中

インストールが完了すると、こんな感じで表示されます。

Coolifyインストール完了

Congratulations!の前にジョークが表示されてるんですが、これがITエンジニアあるあるで良い。

Four engineers get into a car. The car won't start.
The Mechanical engineer says "It's a broken starter".
The Electrical engineer says "Dead battery".
The Chemical engineer says "Impurities in the gasoline".
The IT engineer says "Hey guys, I have an idea: How about we all get out of the car and get back in".

(訳:4人のエンジニアが車に乗り込んだがエンジンがかからない。機械エンジニアは「スターターが壊れてる」、電気エンジニアは「バッテリー切れだ」、化学エンジニアは「ガソリンに不純物が混じってる」と言う中、ITエンジニアだけ「なあ、いいアイデアがあるんだけど、全員一回車から降りてもう一回乗り直してみない?」)

再起動はすべてを解決する

ちなみに何回かCoolifyのインストールをやり直してたんですが毎回違いました、違うのが出たら教えてください!

Macの場合:

ターミナルで同じコマンドを実行するだけでOKです。

curl -fsSL https://cdn.coollabs.io/coolify/install.sh | sudo bash

終わったらブラウザで http://localhost:8000 にアクセスして初期設定するだけ。簡単すぎる。

Coolifyの初期セットアップ

ブラウザで http://localhost:8000 にアクセスすると、アカウント作成画面が表示されます。

アカウント作成画面

名前、メールアドレス、パスワードを入力して「Create Account」をクリック。

次にサーバータイプを選択します。今回は「This Machine」を選択。

サーバータイプ選択

これでセットアップ完了!

セットアップ完了

本番運用にはVPSがおすすめ

ローカルで試してみて良さそうだったら、本番運用にはVPSを使いましょう。

XserverVPSには無料プランがありますが、以下のスペックです。

スペック 無料プラン
メモリ 2GB
vCPU 2コア
NVMe SSD 30GB

Coolify本体のインストールだけでかなり容量を使うのでこの無料プランだと容量不足でした。

無料VPSを活用するなら: Coolify本体はローカル(WSL2など)にインストールして、デプロイ先として無料VPSを登録する構成はアリです。ただし、何もせずに放置すると4日が期限でサーバー停止されます。
Coolifyは別サーバーへのSSHデプロイに対応しているので、この構成なら無料枠でもOSSを動かせます。とりあえず試したいっていうときはいいかもしれません。

n8nをデプロイしてみた

さて、ここからが本番。ワークフロー自動化ツールのn8nをデプロイしてみます。

「Deploy Your First Resource」をクリックするとリソース選択画面が現れます。

リソース追加

リソースタイプを選択する画面で、検索バーに「n8n」と入力して選択します。

n8nを選択

Configuration画面が表示されます。

n8n設定画面

ローカル環境の場合、デフォルトで生成されるドメイン(sslip.io)ではアクセスできません。
ServicesのSettingsをクリックして、設定画面を表示します。

ドメイン設定(変更前)

Domainsを http://localhost:5678 に変更します。

ドメイン設定(変更後)

設定を保存して「Deploy」をクリック!

デプロイログ

デプロイが完了したら、http://localhost にアクセス。

n8nセットアップ画面

n8nのセットアップ画面が表示されました!アカウントを作成すれば使い始められます。

n8n概要画面

テンプレートからワークフローをインポートして動かしてみたら問題なく動いてますね。

n8nワークフロー

Grafanaもデプロイしてみた

せっかくなので、可視化ツールのGrafanaもデプロイしてみました。

n8nと同じ手順で、リソース追加から「Grafana」を選択してデプロイするだけ。

Grafana設定画面

Domainsを http://localhost:3000 に変更してデプロイ。

Grafanaセットアップ

http://localhost:3000 にアクセスすると、Grafanaのログイン画面が表示されます。

Grafana概要画面

これで監視環境もサクッと構築できました。


ローカル環境での注意点

今回ローカル(WSL2)で試してみて気づいた注意点をまとめておきます。

  1. デフォルトのドメインは使えない: Coolifyが自動生成するドメイン(sslip.io)はローカルからアクセスできません。http://localhost:ポート番号 に変更が必要です。

  2. ポートの競合に注意: 複数のサービスをデプロイする場合、ポートが被らないように設定してください。

  3. 複雑なサービスはハマりやすい: 複数コンテナで構成されるサービス(Penpotなど)はローカルだと設定が複雑になることがあります。

本番環境(VPS)ではドメインを設定すればこれらの問題は発生しないので、ローカルはあくまで「お試し」として使うのがおすすめです。


実際に業務で使ってみて

この記事ではワンクリックデプロイできるサービスのみを紹介しましたが、弊社のVPSにも最近Coolifyを導入しました。

GitHubのPrivateリポジトリからデプロイして、mainブランチへのpushで自動デプロイする構成が簡単に実現できています。SlackBotもDockerfileとdocker-compose.yamlをリポジトリに置いておくだけで、サクッとデプロイできました。

ワンクリックサービスだけじゃなく、自作アプリのCI/CD環境としても普通に使えるので、個人開発から業務利用まで幅広くおすすめできます。


まとめ

Coolifyはこんな人におすすめ

  • OSSを自分で運用したいけど面倒は嫌な人: アップデートもバックアップも全自動
  • バイブコーディングで作ったアプリを動かしたい人: GitHubから爆速デプロイ
  • DiscordBotとかの置き場所を探してる人: 常時起動アプリのホスティングに最適
  • 複数サーバーの管理がカオスになってる人: 1つのダッシュボードで一元管理

始め方

運用の面倒くささから解放されたい人、ぜひCoolify試してみてください。控えめに言って優勝です。

0
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?