この記事はGLOBIS Advent Calendar 2025 23日目の記事です。
はじめに - なぜAIに「問いかけてもらう」のか
グロービスでプロダクトマネージャーをしている白濵です。
みなさん、AIはもう普段の仕事に溶け込んでいますよね。資料作成や要約、アイデア出しなどAIにやってもらうことで、私たちの仕事はとても効率的になりました。しかし、ふと立ち止まるとこんな感覚はないでしょうか。
「なぜこのような内容になったのかうまく説明できない」「振り返る前に次のタスクへ進んでしまう」
効率的になっている一方で、自分の思考が置き去りになっているような感覚です。そこでこんな漠然とした課題に対して、AIを単なる「効率化ツール」として使うのではなく、私に対して「問いを投げてくる思考促進ツール」として使いながら、日々の振り返りを行うようになりました。
AIであるがゆえに、時間を選ばず自分の好きなタイミングで実施できますし、正直なところ向き合うのが少し面倒なテーマは無視してしまっても問題ありません。人間が相手だと、この気軽さと柔軟さはなかなか得られない価値だと感じています。
日次の振り返り - AIに問いを投げてもらう
やっていることはシンプルです。1日の終わりにその日の振り返りとして、ミーティングの議事録や完了したタスクの一覧をAIに渡します。特別な整理はせず、その日のログをそのまま渡すくらいです。
その上で、AIに対して「この内容をもとに、いくつかの観点から問いを投げてほしい」と依頼しています1。自分で問いを立てるのではなく、問いを投げてもらうことで自然と考えやすくなります。
問いかけの観点
最初から明確な観点を設定していたわけではありません。振り返りを続ける中で、「こんな問いを投げてもらえると考えやすい」「この視点が抜けがちだな」と感じたことをAIにフィードバックしてきました2。その結果として、現時点では4つに落ち着いています。もちろん人によって最適な観点は異なりますし、私自身も今後アップデートしていく予定です。
実際に私が設定している問いかけの観点は以下の4つです。
1. 決定事項の深掘り
- なぜその決定に至ったのか?
- 実現するために最も重要なことは何か?
- 潜在的なリスクは何か?
2. 新規タスク・施策の戦略的価値
- この取り組みの本質的な価値は何か?
- 他にどのようなアプローチが考えられるか?
- 成功の鍵は何か?
3. 不確実性への対処
- 決まっていない状況で、どう動くべきか?
- どのような準備が必要か?
- リスクヘッジの方法は何か?
4. 視点の転換・気づき
- 今日のフィードバックから何を学んだか?
- 新しい視点をどう活かせそうか?
これらの観点からAIに2〜3個のテーマを選んでもらい、各テーマについて2ラリーほど対話します。短文でもいいので少しでも言語化してみると、自分一人では辿り着けなかった思考の深掘りができます。
週次の振り返り - 思考を抽象化する
週末には1週間分の日次振り返りをAIにまとめて渡します。AIには「この1週間で繰り返し出てきた論点」「意思決定の傾向」「得られた学び」を整理・可視化してもらいます3。
日々の振り返りはどうしても点になりがちですが、週次で俯瞰することで、「なぜその判断を良しとしたのか」「自分はどんな基準で選択しているのか」など線や面として見えてきます。これは自分一人で振り返るよりも、AIの力を借りることで効果的に実現できるようになりました。
効果と気づき
この日次と週次の振り返りを続けることで、以下の効果を実感しています。
1. 言語化が促進される
問いに答える形で考えるため、「なんとなく感じていたこと」が言葉になります。言語化されることで、別々に行った意思決定が、実は同じような判断軸に基づいていたことに後から気づくこともあります。
2. 成長が可視化される
振り返りを続けると、「以前はこんなことに迷っていたけど、今は問題なく進められているな」といった変化に気づきます。成長は主観的になりがちですが、ログがあることで客観的に捉えられます。
運用のコツ
運用のコツは気負わないことです。「しっかり振り返ろう」と構えずに、1日のまとめの延長として行うことでハードルを下げています。
また、完璧は目指しません。問いに対して1つだけ答える日もありますし、1ラリーで終わらせる日もあります。それでも続けることの方が、重要だと感じています。
おわりに
AIに問いかけてもらう振り返りは、自分の思考を深めるための一つの手段です。
私自身もまだ完成形を作れているわけではありませんが、徐々に自分に合った形で問いを投げてくれるAIを育てていくつもりです。
みなさんもAIを「答えを出す存在」ではなく、「問いを投げてくれる存在」として使ってみてはいかがでしょうか。