身体を持つAIが投げかける倫理的・哲学的問題を整理していきましょう。
日本で有名なSF映画、SF TVシリーズなどで出てくる身体を有する24個それぞれの人工知能システムについて次の順で考えることはできますか。
- それぞれの人工知能システムについて
- 映画の中の人工知能システムを 思い出そう 。
- その人工知能システムの 機能と象徴性 。
- 投げかける 倫理的、哲学的問題 と解説。
そして各分類を参考に、現実の社会への教訓を想像してください。

Fig. GPT-4oで生成した画像「 首の後ろの回路からケーブルが出ていて、電気回路のデバッグ 」
以下のレポートでは、「身体を持つAIが投げかける倫理的・哲学的問題」を軸に、24のSF作品に登場する人工知能(以下AIやアンドロイド、ロボットと総称)の事例を掘り下げます。各作品については、(1)作品やキャラクターを思い出すための象徴的シーン、(2)AIの機能と象徴性、(3)そこから浮き彫りになる倫理的・哲学的問題、(4)問題の解説という流れで整理します。
その後、全作品にわたる「身体を持つAI」という観点での分類を試み、最終的に「現実社会への教訓」へと論を展開していきます。
【目次】
- はじめに:身体を持つAIという焦点
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各作品のAIと投げかける問題
- スター・ウォーズ:C-3PO / R2-D2
- スタートレック:データ少佐
- 『A.I.』:デイビッド
- 『ターミネーター』:T-800 / スカイネット
- 『ドラえもん』:ドラえもん
- 『エクス・マキナ』:エヴァ
- 『マトリックス』:アーキテクト
- 『鉄腕アトム』:アトム
- 『ウルトラセブン』シリーズ:第四惑星のロボット長官
- 『がんばれ!!ロボコン』:ロボコン
- 『ベイマックス』:ベイマックス
- 『アイアン・ジャイアント』:アイアン・ジャイアント
- 『マクロス』シリーズ:ゼントラーディ用AI兵器
- 『人造人間キカイダー』:キカイダー(ジロー)
- 身体を持つAIの分類
- 現実社会への教訓
1. はじめに:身体を持つAIという焦点
現代社会では、音声認識や画像認識、対話型AIが身近な存在となってきました。しかしSF作品に登場するAIは、さらに一歩進んだ「身体を持つAI」として描かれている場合が多々あります。身体を持つということは、単なる情報処理装置としての役割に加え、「自分自身で行動し、感情らしきものを表現し、人間社会に介入する」可能性をもたらします。
本レポートでは、24のSF作品から身体を有するAIキャラクターを取り上げ、物語内で示される象徴的シーンや倫理的・哲学的問題を抽出します。具体的には以下のような問いを意識しながら進めていきます。
- 「人間らしさ」とは何か?
- AIはどこまで人権あるいは道徳的配慮を受けるべきか?
- AIが自律行動をとるとき、責任は誰がどのように負うのか?
- AIと人間が共存する社会は可能なのか?
これらの問いを念頭に置きつつ、次章より作品ごとに見ていきます。
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