はじめに
Amazon Q 拡張機能のサポート終了アナウンスがでてくるようになりました。
「Kiro に移行してね」というやつです。
わかってはいたんですが、ずっと後回しにしてました。理由は4つ。
- 新しい IDE に慣れるのが面倒くさそう
-
.amazonq/rules/にファイルが溜まってて、全部書き直しになるかと思ってた - まだ 2027 年まで時間あるからいいかな
- 拡張機能が全滅するんじゃないか
で、ぎりぎりですが 5/14 の今日、ようやく重い腰を上げてやってみたら、体感30分で終わりました。
同じ理由で後回しにしてる人に向けて書きます。
Kiro って何?(1分で理解する)
VS Code をフォークして作った AI IDE です。Cursor なんかと同じ立ち位置。
Amazon Q 拡張機能でやってたこと(インライン補完・チャット・コード生成)は全部 Kiro でもできます。
それに加えて Spec-Driven Development という機能が乗っかっています。
Vibe Coding との違い
Kiro のドキュメントにはこう書いてあります。
Developing with specs keeps the fun of vibe coding, but fixes some of its limitations
「Vibe Coding の楽しさを残しつつ、本番に出せるコードにする」というコンセプトです。
Spec セッションは requirements.md → design.md → tasks.md の3ファイルを生成して、AI が段階的に実装を進める構造化されたフロー。
Vibe セッションは従来通りの自由なチャット。
| Vibe Coding | Spec-Driven | |
|---|---|---|
| やり方 | 「これ作って」と投げる | 要件 → 設計 → タスクの順に構造化 |
| 向いてる場面 | 小さなプロトタイプ | 複雑な機能、大規模コードベース |
| リスク | 複雑なタスクで迷子になりやすい | 最初の仕様作成に時間がかかる |
もともと自分は Kiro は Spec セッションだけだと勘違いしてたんですが、両方使えるようです。
実際にやった移行手順
1. Kiro をインストールする
kiro.dev からIDEをダウンロードし、設定を進めていきます。
私の場合、誤って最初の起動時にプロファイルのインポートをスキップしてしまったので、公式の VS Code 移行ガイド に則り、作業を進めていきます。
(Amazon Q からの移行全般については こちら)
VSCodeからプロファイルをエクスポートしておきます。
Kiroでプロファイルをインポートし、アクティベートしてIDEを再起動します。
すると、各拡張機能がインストールされた状態になりました。
Open VSX 互換の拡張機能はそのまま使えます。
Microsoft Marketplace 専用の拡張機能は使えない場合があるので、必須の拡張機能があれば事前に確認しておくと安心です。
https://open-vsx.org
2. 使ってた拡張機能を確認する
「拡張機能が全滅するんじゃないか」というのも後回しにしてた理由のひとつでした。
ところが手順1で設定ファイルをインポートしたため Kiro を起動したら、拡張機能がインストールされています。
実際に使ってたものを確認してみた結果がこちらです。
AI
| 拡張機能 | Open VSX | 備考 |
|---|---|---|
| Amazon Q | ✅ 使えるけど不要 | Kiro に AI 機能が内蔵されているので不要です。拡張機能からアンインストールしましょう。 |
AWS / IaC
| 拡張機能 | Open VSX | 備考 |
|---|---|---|
| AWS CDK Snippets | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
| AWS CloudFormation Snippets | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
| CloudFormation | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
| CloudFormation Linter | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
| Draw.io Integration | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
リモート開発
| 拡張機能 | Open VSX | 備考 |
|---|---|---|
| Remote - SSH | ❌ 使えない | Microsoft 製プロプライエタリ。SSH でリモート接続したい場合は Open Remote - SSH が互換版として Open VSX にあり |
| WSL | ❌ 使えない | Microsoft 製プロプライエタリ。Windows から WSL 内のファイルを開きたい場合は Open Remote - WSL が互換版として Open VSX にあり |
Windows 上の Kiro から WSL 内のファイルを開いて編集しているだけなら、Open Remote - WSL を入れるだけで SSH の設定は不要です。
Git / CI
| 拡張機能 | Open VSX | 備考 |
|---|---|---|
| Git History | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
| GitHub Actions | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
Markdown
| 拡張機能 | Open VSX | 備考 |
|---|---|---|
| Markdown All in One | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
| Paste Image | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
エディタ / 表示
| 拡張機能 | Open VSX | 備考 |
|---|---|---|
| Error Lens | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
| indent-rainbow | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり |
言語サポート
| 拡張機能 | Open VSX | 備考 |
|---|---|---|
| PowerShell | ✅ 使える | Open VSX に掲載あり(Microsoft 製とは別の互換版) |
「全滅」ではありませんでした。
特に痛いのは Remote - SSH / WSL で、VSCode用の拡張機能のため Open VSX に出てきません。
ただしどちらも Open VSX に互換版があるので代替できます。
2-1. WSL を使っている場合の追加設定
Windows 上の Kiro から WSL 内のファイルを開きたい場合、Open Remote - WSL を入れるだけでは動きません。argv.json に設定を追加する必要があります。
コマンドパレット(Ctrl+Shift+P)で Preferences: Configure Runtime Arguments を実行して argv.json を開き、以下を追加します。
{
"enable-proposed-api": [
"jeanp413.open-remote-wsl"
]
}
既存の項目の末尾にカンマを忘れると JSON のパースエラーになります。
前段の行末に , があることを確認してください。
追加後に Kiro を再起動すると、コマンドパレットから Connect to WSL が動くようになります。
拡張機能をWSLにインストールするのを忘れないようにしましょう。
3. .amazonq/ ディレクトリを移行する
ここが一番の懸念点でした。.amazonq/rules/ にルールファイルが溜まっていたので、全部書き直しになるかと思っていたんですが、コピーするだけでした。
Kiro では .amazonq/rules/ に相当する機能が Steering という名前になり、.kiro/steering/ に置きます。
mkdir -p .kiro/steering
cp -r .amazonq/rules/. .kiro/steering/
以上です。サブディレクトリがある場合も -r で一括コピーできます。
Kiro CLI(ターミナル版)であれば .amazonq/ をそのまま検出して読み続けるため、コピー不要です。
IDE 版(Kiro IDE)は .kiro/steering/ への移行が必要です。
4. Steering ファイルの適用タイミングを設定する
Amazon Q の rules/ はすべてのチャットに自動適用されていましたが、Kiro の Steering には4種類の適用モードがあります。
| モード | フロントマター | 動作 |
|---|---|---|
| Always | inclusion: always |
デフォルト設定。毎回自動で AI に渡される |
| Auto |
inclusion: auto + description:
|
description の内容に合致するリクエストのとき自動で渡される |
| fileMatch |
inclusion: fileMatch + fileMatchPattern:
|
glob パターンに一致するファイルを編集しているときだけ渡される |
| Manual | inclusion: manual |
#ファイル名 で明示的に参照したときだけ渡される |
デフォルト設定で、Amazon Q の rules/ と同じ挙動になるため、自分は特に変更せずそのままにしましたが、用途に応じて使い分けるとコンテキスト量を節約できます。
# TypeScript ファイルを編集するときだけ渡す
---
inclusion: fileMatch
fileMatchPattern: "**/*.ts"
---
# API 設計の話題のときだけ自動で渡す
---
inclusion: auto
name: api-design
description: REST API の設計・実装に関するリクエストのとき
---
まとめ
30分かかったとはいえ、内訳はこうです。
| 作業 | 時間の目安 |
|---|---|
| Kiro インストール + VSCode プロファイルインポート | 5分 |
| 拡張機能の互換性確認 | 15分 |
WSL の追加設定(argv.json 編集 + 動作確認) |
10分 |
.amazonq/rules/ の移行は cp 一発なので時間にカウントするまでもありません。
WSL を使っていない人なら実質15〜20分で終わります。拡張機能の調査も、この記事の表を参考にすれば省略できます。
後回しにしてる人はさっさとやってしまいましょう。
参考
- Migrating from Amazon Q Developer - Kiro Docs
- Migrating from VSCode - Kiro Docs
- Steering - Kiro Docs
- Vibe vs Spec sessions - Kiro Docs
- Amazon Q Developer end-of-support announcement
移行してみて、Spec-Driven Development がどこまで実用的か気になっています。
Vibe Coding との使い分けも含めて、実際に使いながら試していこうと思います。




