1. はじめに
ネイティブアプリを開発したら、いよいよユーザーの手元に届ける「公開」のフェーズに入ります。
しかし、多くのエンジニアがそこで最初にぶつかるのが「アプリストアの審査」という壁です。
特に個人開発者やスタートアップにとって、審査に通るかどうかはスケジュールやモチベーションにも大きな影響を与えます。
今回は、iOSアプリを公開する「App Store(Apple)」と、Androidアプリを公開する「Google Play(Google)」の審査プロセスや基準の違いについて、実体験や公式ドキュメントを交えて比較してみます。
2. 公開までの流れをざっくり比較
項目 | App Store (iOS) | Google Play (Android) |
---|---|---|
デベロッパー登録費用 | 年間 99ドル | 買い切り 25ドル |
公開までのフロー | 手動審査(人が見る) | 自動+手動の混在 |
審査時間の目安 | 数時間~最大3日程度 | 数分~1日以内が多い |
通知手段 | メール + Xcode通知 | メール + コンソール通知 |
審査ガイドライン | 非常に詳細で厳格 | やや緩く、機械的な印象 |
参考リンク:
- Apple Developer Program: https://developer.apple.com/programs/
- Google Play Console: https://play.google.com/console/about/
App Storeでは提出後に人の目によるレビューが入り、Google Playは基本的に機械審査+場合に応じて人間の審査です。そのため、Googleの方が速くリリースできる傾向にあります。
3. よくあるリジェクト理由まとめ
App Store でのよくあるリジェクト理由
-
UIがAppleのHuman Interface Guidelinesに沿っていない
→ 例:iOSらしくないナビゲーション、独自の戻るボタンなど
→ Apple HIG公式 -
プライバシー関連の記載不足
→ 位置情報、カメラ、マイクなどの使用理由が説明不足/設定ミス -
クラッシュやバグの検出
→ 実機での挙動が不安定、未完成の画面やリンクが残っている -
メタデータの不備
→ 説明文、スクリーンショット、プライバシーポリシーURLの不足やミス
Google Play でのよくあるリジェクト理由
-
スパム的と判断されるUIや機能
→ 他アプリの模倣・不自然な広告導線・低品質なUX -
Target API Level の問題
→ Androidは古いAPIバージョンを許容しない傾向が強い
→ API要件ガイド -
ポリシー違反(アダルト・賭博・誤解を招く表現など)
→ 自動検知に引っかかりやすい。表現は慎重に -
アプリの安全性データの未記入・不備
→ データ収集・転送に関する項目をPlay Console上で入力する必要あり
4. リジェクトされたときの対応策
App Storeの場合
-
詳細なメッセージが届くので、読み込むことが重要
ほとんどのケースで、審査担当者からのリジェクト理由が記載されています。 -
「申請時コメント」が効果的なこともある
Appleに事前説明を加えておくと、リジェクトを避けられることがあります。 - 再提出は可能。場合によっては異議申し立ても可
公式:
App Store Review Guidelines
Appeal a rejection
Google Playの場合
-
自動審査ゆえ、誤検知の可能性もある
特に広告SDKやサードパーティAPI周りが原因になりやすい。 -
Google Play Consoleからフィードバックを確認し、修正→再アップロード
速いと数十分で再審査が完了します。 - 異議申し立ても可能。ただし機械的な対応で納得感は薄め
5. 結局どっちが厳しいの?まとめと所感
観点 | App Store | Google Play |
---|---|---|
審査の厳しさ | 厳しい(人間の目) | 比較的緩い(自動) |
審査時間 | 長め(最大3日) | 速い(数分~数時間) |
柔軟性 | 説明すれば融通が効く | 自動判定なので柔軟性に欠ける |
デベロッパー登録 | 年額99ドルで高め | 買い切り25ドルで安価 |
筆者としては、初心者が手早くリリース体験をしたいならGoogle Playの方が安心だと感じます。一方で、Appleの審査は厳しいぶん安心感もあるので、ビジネス用途や品質重視のアプリにはApp Storeもおすすめです。
どちらのストアも、目的に合わせて適切に準備すれば怖くありません。
6. おわりに
ネイティブアプリ開発は「審査を通してこそ初めてユーザーに届く」という現実があります。
開発だけでなく、公開までを見据えた計画がとても重要です。
この記事が、これからアプリを公開しようとしている方の助けになれば幸いです。
もしあなたのアプリが審査に通らず悩んでいるなら、コメント等で共有ください。きっと同じような体験をしている人がいます。
参考リンクまとめ
- Apple Developer Program: https://developer.apple.com/programs/
- App Store Review Guidelines: https://developer.apple.com/app-store/review/guidelines/
- Google Play Console: https://play.google.com/console/about/
- Google Play 開発者ポリシー: https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/113469
- Firebase Crashlytics: https://firebase.google.com/products/crashlytics