はじめに
Amazon Web Services (AWS) の ElastiCache for Redis は、高速なインメモリデータストアとして人気があります。このサービスを最大限に活用するためには、その設定方法を理解することが不可欠です。
本記事ではElastiCache for Redisの設定について説明していきます。
ElastiCache for Redisの設定
クラスターモード
クラスターモードを有効にすると、データを複数のシャードに分散して保存することができます。これにより、大量のデータを効率的に管理し、高いスループットと低レイテンシを実現することが可能になります。クラスターモードが無効の場合、すべてのデータは単一のシャードに保存されます。
シャード
シャードは、データベースのデータを分割し、異なるサーバーやクラスターに保存するための単位です。シャードを使用することで、データベースの読み書きの負荷を分散させることができ、大量のアクセスがある場合でも高速なレスポンスを維持することができます。ElastiCache for Redisの場合、シャードはRedisのノード群として実装され、各シャードは複数のレプリカを持つことができます。
ロケーションの設定
ロケーションにAWS クラウドを設定するとマルチAZと自動フェイルオーバーの設定を選ぶことができます。
マルチAZ
マルチAZは、Amazon Web Services (AWS) の高可用性ソリューションの一部として提供されています。
マルチAZを有効にすると、プライマリノードと同じデータを持つレプリカノードが異なるアベイラビリティゾーン(AZ)に自動的に作成されます。これにより、一つのAZに障害が発生した場合でも、別のAZにあるレプリカがサービスの継続をサポートします。
自動フェイルオーバー
自動フェイルオーバーは、プライマリノードに障害が発生した場合に、自動的にレプリカノードを新しいプライマリノードとして昇格させる機能です。
ElastiCache for RedisのマルチAZを有効にしている場合、この自動フェイルオーバーが行われると、異なるAZにあるレプリカが新しいプライマリノードとして動作を開始します。これにより、サービスのダウンタイムを最小限に抑えることができます。
クラスター設定
エンジンバージョン、ポート、パラメータグループ、ノードのタイプ、レプリケーション数を設定できます。
以下ではパラメータグループとレプリケーション数について述べます。
パラメータグループ
パラメータグループは、ElastiCache for Redisクラスターの動作を制御するためのパラメータの集合です。これには、Redisの設定項目(例:timeout、maxmemory-policy など)が含まれます。パラメータグループを使用することで、特定のユースケースや要件に合わせてRedisの動作をカスタマイズすることができます。新しいパラメータグループを作成したり、既存のものを変更したりすることが可能ですが、変更を反映させるためにはクラスターの再起動が必要な場合があります。
レプリケーション数
レプリケーション数は、プライマリノードのデータをコピーして保持するレプリカノードの数を指します。レプリカノードは、読み取りのスケーラビリティを向上させるためや、障害時の自動フェイルオーバーの際に新しいプライマリノードとして昇格するために使用されます。レプリケーション数を増やすことで、読み取りのスループットを向上させることができますが、コストも増加します。また、レプリケーション数を増やすことで、障害時のリスクを分散させることができます。
レプリケーション数を0にするとマルチAZの設定ができなくなります。
接続性
ネットワークタイプ(IPv4)、サブネットグループを設定します。
サブネットグループ
サブネットグループは、複数のサブネットを論理的にグループ化するものです。これは、特定のAWSサービスのデータベースやクラスターを特定のサブネット内に配置するために使用されます。
セキュリティ
暗号化について有効化するかどうかとセキュリティグループの設定ができます。
メンテナンス
メンテナンスでは期間、自動アップグレード、Amazon SNSへの通知が設定できます。
ログ
ログの形式、ログ送信先タイプ(CloudWatch Logs)、ログの送信先を設定できます。
スローログとエンジンログの設定ができます。
スローログ
スローログは、Redisの実行に時間がかかったコマンドを追跡・記録するための機能です。
パフォーマンスのボトルネックや過度に時間のかかる操作を特定するのに役立ちます。
エンジンログ
エンジンログは、Redisサーバーの動作、エラー、警告、およびその他の重要な情報をキャプチャするためのものです。
システムの動作を監視し、問題や異常が発生した場合の診断に役立ちます。エンジンログには、クライアントの接続/切断、コマンドのエラー、レプリケーションの状態、設定の変更などの情報が含まれます。
終わりに
ElastiCache for Redisは、高速なインメモリデータストアとしての強力な機能を使いこなすには、適切な設定と管理が不可欠です。本記事を通じて、ElastiCache for Redisの主要な設定項目について確認できれば幸いです。