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Workatoとn8n:AIエージェント構築比較

Last updated at Posted at 2025-12-05

1. はじめに

AIエージェントを構築できる自動化プラットフォームは数多く存在しますが、それぞれに特徴があります。本記事では、n8nとWorkatoの両方でAIエージェントを構築した経験から、各プラットフォームの特徴と使い分けのポイントを解説します。

具体的には以下の内容を扱います:

  • n8nでのRAGパイプライン構築
  • n8nでのTelegramエージェント構築
  • 各プラットフォームのテスト・デバッグ機能の違い
  • エージェント構築UIの違い
  • エンタープライズ運用における考慮点

2. n8nで構築したワークフロー

2-1. RAGドキュメントパイプライン

Google Driveに追加されたファイルを自動的にベクトルデータベースに取り込むパイプラインを構築しました。

処理フロー:

  1. Google Drive Trigger:ファイル追加を検知
  2. Download file:ファイルをダウンロード
  3. Default Data Loader:ドキュメントを読み込み
  4. Recursive Character Text Splitter:テキストをチャンクに分割
  5. Embeddings(OpenAI):エンベディングを生成
  6. Pinecone Vector Store:ベクトルデータを保存

RAG1.jpeg

2-2. Telegramパーソナルアシスタント

チャットメッセージを受信し、複数のツールを活用して応答するエージェントを構築しました。

構成:

  • トリガー:When chat message received
  • AI Agent:OpenAI Chat Modelを使用
  • ツール:Pinecone Vector Store(RAG検索用)
  • エンベディング:クエリのベクトル化

TELEGRAM.jpeg


3. n8nのテスト機能:ノード単位実行とデータピニング

n8nの大きな特徴の一つは、各ノードを個別に実行できる点です。

3-1. ノード単位実行のメリット

通常、ワークフローのデバッグでは全体を実行して問題箇所を特定する必要があります。n8nでは各ノードをクリックして単独実行できるため:

✔ ワークフロー全体を実行せずに特定ステップの動作確認が可能
✔ 問題発生時に原因箇所を即座に特定できる
✔ 修正後の再テストが高速

3-2. データピニング機能

データピニングとは、サンプルデータをノードに「ピン留め」して、後続ステップのテストに使用する機能です。

活用例:

  • ドキュメントチャンクをピン留め → エンベディング生成をテスト
  • エンベディング結果をピン留め → Pineconeアップサートをテスト

これにより、毎回Google Driveにファイルをアップロードすることなく、下流の処理を繰り返しテストできます。

Executestep.png


4. WorkatoのAgent Studio:専用エージェント構築UI

Workatoでは、Agent Studioという専用UIでエージェント(Genie)を構築します。

4-1. n8nとのアプローチの違い

項目 n8n Workato Agent Studio
構築場所 ワークフローキャンバス内 専用UI
LLM設定 ノードとして配置 統合設定画面
ツール接続 ノード間の接続で定義 スキルとして追加
ナレッジベース 別ワークフローで構築 UI内で設定

4-2. Agent Studioの構成要素

Agent Studioでは以下の要素を一画面で設定できます:

  • LLMモデル選択:使用するモデルの指定
  • システムプロンプト:エージェントの振る舞いを定義
  • スキル:エージェントが使用できるツール/アクション
  • ナレッジベース:RAG用のドキュメント設定
  • チャットインターフェース:テスト用の対話画面

Screenshot 2025-12-05 at 19.07.05.png

この統合UIにより、エージェントの設定と動作確認を一箇所で完結できます。


5. エンタープライズ運用における考慮点

個人プロジェクトでは意識しにくいが、チームや組織で運用する際に重要になる要素があります。

5-1. ガバナンスと承認フロー

エージェントが外部サービス(カレンダー、メール等)にアクセスする場合:

  • 誰が接続を承認するか
  • どのデータにアクセス可能か
  • アクセスログは記録されるか

Workatoでは、これらのガバナンス機能が標準で組み込まれています。

5-2. 認証の一元管理

観点 n8n Workato
認証方式 ノードごとに個別設定 一元管理
SSO連携 コミュニティ版では限定的 標準サポート
RBAC 限定的 詳細な権限制御

5-3. コネクタの品質

n8nは約550のコネクタを提供していますが、その多くはコミュニティ貢献によるものです。Workatoのコネクタはエンタープライズ用途を想定し、エラーハンドリング、ページネーション、レート制限対応が標準で実装されています。


6. まとめ

両プラットフォームの特徴を整理すると以下のようになります:

n8nが適しているケース

✔ 迅速なプロトタイピング
✔ ノード単位でのデバッグが必要な複雑なワークフロー
✔ 個人プロジェクトや学習目的

Workatoが適しているケース

✔ エンタープライズでの本番運用
✔ ガバナンス・承認フローが必要な環境
✔ 専用UIでの効率的なエージェント構築

どちらが優れているかではなく、用途に応じた使い分けが重要です。


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