はじめに
2025年春のネットワークスペシャリスト試験に挑戦しました。
正直に言うと、ネットワークは苦手分野でした。普段の業務では別にインフラ担当がいるため、ネットワークをがっつり触ることはほとんどありません。AWSのVPCを見に行く程度で、「サブネット計算はできるけどそれ以上は…」というレベルからのスタートでした。
そんな私が、たった1ヶ月の勉強でネットワークスペシャリストに合格できました。この記事では、ネットワークが苦手なエンジニアの視点から、短期合格のコツや実際に効果があった勉強法、反省点などをお伝えします。
何か参考になれば幸いです!
受験前のスペック
まず、私の受験前の状況をお伝えします
保有資格
- 基本情報技術者
- 応用情報技術者
- これにより午前1が免除
- データベーススペシャリスト
午前1免除期間のうちに高度試験をもう一つ取れたらいいなという気持ちがありました。
ネットワーク経験・知識レベル
- 実務経験:ほぼなし(AWSの設定を確認する程度)
- 知識レベル:応用情報午後試験で5割取れるくらい(苦手な部類に入ると思います)
受験条件
- 午前1試験免除
- 勉強期間:1ヶ月
- 受験回数:初回
ネットワークに対して明確な苦手意識があり、「いつかは勉強しなきゃ...」と思いながらも避けてきた分野でした。
1ヶ月の勉強戦略
使用教材
マスタリングTCP/IPを読むつもりでいましたが、残り時間と分量を鑑みて断念。
平易な文章と身近な例での説明でわかりやすさに定評がある左門先生の参考書を大活用しました。
素晴らしい教材だと思います、ネットワークに苦手意識のある方にはぜひおすすめしたいです。
メイン教材
- 左門至峰の出るとこネスペ教科書 最短距離で合格できるネットワークスペシャリスト
- ネスペの基礎力 -プラス20点の午後対策 (情報処理技術者試験)
-
[左門式ネスペ塾]手を動かして理解する ネスペ「ワークブック」 (情報処理技術者試験)
- 時間が足りず、全部は解ききれませんでした
-
ネスペシリーズ
- 3年分、午後対策
サブ教材
-
情報処理教科書 ネットワークスペシャリスト 2025年版
- 部分的に参照
- ChatGPT
- 理解度確認とアウトプット練習(後述)
-
過去問道場
- IPA試験お馴染みの道場シリーズ、応用情報からずっと活用させていただいています
- 一ヶ月の集中課金で済ませます
-
[YouTube] まさるの勉強部屋
- 苦手な単語について解説してある動画をいくつか活用しましたが、かなりわかりやすかったです
勉強スケジュール
まず前半はひたすらネスペ教科書→ネスペの基礎力でインプット学習を行いました。
以降はアウトプットしつつ要所要所でインプット学習を継続していました。
平日・土日の棲み分けはざっくり以下のように行いました。
平日(1-3時間)
- 読み物中心
- 午前2過去問(過去問道場)
土日(4-8時間)
- ワークブック演習
- 午後問題の演習
合計勉強時間
80-100時間程度は勉強したのではと思います。
正直、時間捻出にかなり苦労しました。
午後問題について
過去問演習は3,4年分ほど行いましたが、1周目はまるで歯が立たなかったです。
そこで、ネスペシリーズを使ってひたすら問題の読み方を習得していきました。わからない単語もこのタイミングで潰します。ただ、知らない前提で出題される単語も一定存在するので、解説を読みながらそこは見極めます。
1周目に歯が立たないような問題は、一週間も経てばだいぶ忘れているので、解き直しのスパンも短くて済みます。時間の許す限り2周目を回しました。
思えば過去問演習前にやったインプット学習はただの暗記に過ぎず、それぞれの仕組みを理解していなかったから過去問は歯が立たなかったのだと思います。改めて高度試験は暗記では太刀打ちできないことを実感しました。
ChatGPT活用術
資格試験では初の活用となりましたが、効果的に使えました!その方法をご紹介します。
余談ですが、当時勉強期間のラストスパートという時にo3が使えるようになり、精度の高さに驚いていた記憶があります(笑)
基本的な使い方
インプットでの活用
これは割と普段からやる使い方なのではないでしょうか。
参考書や過去問の理解できないところを深掘りしたり、単語と単語の関連を確認するために使いました。
アウトプットでの活用
こちらは試験勉強ならではの使い方かもしれません。
何度も読んで勉強していても、意外と説明できなかったりするものですよね。
そこで、自信のない単語について、ひたすらChatGPTに説明します。
DHCPの仕組みについて説明します。間違っていたら指摘してください
DHCPは...(自分なりの説明)
この理解で合っていますか?不足している点はありますか?
この学習方法がかなり効いたと思います。
注意点として、ハルシネーションも一定あるため、怪しいところは突っ込んだり参考書を確認するようにしていました。
アウトプットでの活用が効果的だった理由
- アウトプット重視:「わかったつもり」を防げる
- 即座にフィードバック:間違いをすぐに修正できる
- 自分の言葉で説明:暗記ではなく理解につながる
午後試験は記述問題なので、 「問題が解けること = 自分の言葉で仕組みを説明できること」 が重要だと考えていました。
本番での感想
午前2
終わった瞬間、ギリギリだと察しましたが、午後試験のため気持ちを切り替えることにしました。
正直午前2の対策は甘かったと思います。
午後1, 2
「全くわからない」という感じではなく、思ったより解答欄を埋めることができました。
ただ、わからない単語もかなりあり、全て埋められたがどうだろう…といった手応えでした。
過去問よりは手応えを感じました。
選択問題
- 午後1: 問1, 3
- 午後2: 問2
結果
全て60点台でギリギリ合格できました。
決して胸を張れる結果ではありませんが、スタート地点を考えるとかなり健闘したと思います。
加えて、後述の変化が得られたものとしては大きかったと思っています。
勉強後の変化
苦手意識の払拭
以前は「ネットワークは難しい」と思い込んでいましたが、体系的に学習することで「理解できる分野」に変わりました。
実務での理解度向上
- AWSなどのネットワーク関連の各設定項目確認時の理解度が向上
- SREとの会話でも、より具体的な質問ができるようになった
学習に対する自信
「苦手分野でも、正しいアプローチで学習すれば克服できる」という自信がつきました。
試験から2ヶ月以上経った今、細かい内容は忘れてしまった部分もありますが、一度脳内にインデックスを張れたことが大きな成果だったと思います。
ネットワーク苦手な人へ
そんな人にこそおすすめしたい資格です。
なぜ苦手な人にこそおすすめか
避けて通れない分野
- いずれネットワークの知識は必要になる
資格勉強の効果
- 体系的にカバーできる
- 明確な目標があるので集中して取り組みやすい
- 合格という成功体験で自信がつく
実務への影響
- インフラ理解が深まる
- ネットワーク周りの障害対応ハードル低下
もう一度受けるなら
まず、二ヶ月以上は勉強時間を確保します。ここまで綺麗な書き方をしてきましたが、ワークブック・過去問演習は時間が足りず決めた量をやりきれていません。一ヶ月は短すぎました。
その上で、著者に偏らない参考書選定を行います。今回は時間制約もあり、平易な文章構成で学習を進めていける左門先生の本を中心に学習しましたが、本来はさまざまな参考書で学習する方が定着度は上がると思うためです。ただ、もう一度受けるとしても初手は左門先生の教材を使いたいです、それくらいわかりやすかったです。
また、Packet TracerやWiresharkなどのツールを利用してより実践的なアプローチを行うことも効果的だと思います。
まとめ
本記事ではネットワークスペシャリストの合格体験記と勉強方法についてご紹介しました。
試験にはなんとか合格したものの、スペシャリストへの道のりは無論まだまだ険しいです。引き続き学習していくことで、知識の定着を図りたいです。
ネットワークに苦手意識を持つエンジニアの皆さんの参考になれば嬉しいです!