システム開発時、資料を作っていたりテストをしていると「実在しない電話番号」を使いたくなることがあります。
一般公開する資料に「入力例」として使った電話番号があったとします。もしその番号が実在して、見知らぬ誰かが使っているものだったらどうでしょうか。その資料を見た誰かがいたずら電話をかけてしまい、電話番号の持ち主に迷惑がかかってしまう恐れがあります。
テストで使う電話番号についても同様です。実在しない電話番号を使うことで、無用のトラブルを防ぐことに繋がります。
今回は、そういった「実在しない電話番号」の探し方についてお話します。
また、実在しない URL、 Email (メールアドレス)、クレジットカード番号についてもご紹介します。
実在しない電話番号(日本編)
日本国内の話になりますが、総務省の「電気通信番号指定状況」で現在割り当てられている電話番号の範囲が分かります。
総務省 – 電気通信番号指定状況 (電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)第1第4項による公表)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/number_shitei.html
残念ながら「これはテストで使ってよい架空のものである」と保証される番号は今のところありません。次善の案として、こちらで割り当てられていない番号を使うのが良いでしょう。
スマートフォンであれば「0900」で始まる電話番号は(記事執筆時点では)未割り当てとなっていることが分かります。
固定電話については「1で始まる市内局番は存在しない」という決まりになっているので、それが使えます。例えば「03-1111-2222」や「03-1234-5678」は実在しません。
「1」で始まる電話番号は「特別なサービス」のために予約済みのものです。警察への通報である「110」、時報の「117」といった限られた用途でのみ使われます。これらは『「1△△」型の電話番号』として総務省のサイトに明記されています。
総務省 – 電話番号に関するQ&A
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/q_and_a.html#q7
先ほどの「03-1111-2222」については、国内プリフィクス+市外局番の「03」を省略すると「1111-2222」となります。これは「1で始まる電話番号」と競合してしまい、使用できないのです。
1つ、わかりやすい例を挙げましょう。電話番号を「03-1101-2222」として、通話発信ボタンのない固定電話から電話をかけます。こちらの「03」を省略して「1101-2222」と電話をかけようとしたとき、「110」まで番号を入力した瞬間に警察に通報されてしまいます。
そのような事情も考慮すると「03-1101-2222」も電話番号の例としては不適切だと言えます。いたずら電話がかかる先が警察になってしまっては困ります。実在する『「1△△」型の電話番号』が含まれない値が望ましいと言えるでしょう。
実在しない電話番号(海外編)
Wikipedia に架空の電話番号について書かれた記事が存在していますので、そちらを利用するのが良いでしょう。
Wikipedia – Fictitious telephone number
https://en.wikipedia.org/wiki/Fictitious_telephone_number#:~:text=As%20these%20are%20not%20issued,this%20range%20are%20commonly%20used.
実在しない URL, Email
以下のドメインは実在しないものとして予約済みです。これらのドメインを使えば良いでしょう。
- セカンドレベルドメイン
・example.com
・example.net
・example.org
・example.edu - トップレベルドメイン
・.example (ドメイン名を例示するため)
・.test (テスト用のため)
・.invalid (明らかに無効なドメイン名として使用するため)
RFC で予約されていたり ICANN で予約されていたりと経緯は様々ですが、詳しくは Wikipedia に記載されています。
Wikipedia – example.com
https://ja.wikipedia.org/wiki/Example.com
Wikipedia – トップレベルドメイン – 予約済みのドメイン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3#%E4%BA%88%E7%B4%84%E6%B8%88%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%83%89%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3
実在しないクレジットカード番号
いくつかの決済サイトが「テスト用のクレジットカード番号」を公開しています。そちらを使えば良いでしょう。
- https://developer.paypal.com/tools/sandbox/card-testing/
- https://mp-faq.gmo-pg.com/s/article/DA044
- https://pay.jp/docs/testcard
特に「4111111111111111」辺りは覚えやすくて、お世話になった方も多いのではないでしょうか。
まとめ
ドキュメントで例示したりテストで使う際は、実在する電話番号、 URL、 Email、クレジットカード番号の使用は避けましょう。
日本の携帯電話/固定電話については今のところ「テスト専用」と明記されたものは存在しません。総務省のサイトをチェックして、現在割り当てられていない番号を使うのが次善です。
URL、 Email、クレジットカード番号についてはテストに適したものが用意されていますので、そちらを使いましょう。