0
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

ITSSは「立場の基準」になる

Posted at

はじめに

エンジニアとしてキャリアを積んでいくと、
「次に何を学べばいいか」「自分はどのレベルにいるのか」
そんな悩みに直面する瞬間があります。

資格を取ることは一つの目標ですが、
それだけでは“自分の立場”や“責任範囲”までは可視化できません。
そこで役立つのが、経済産業省が策定した ITSS(ITスキル標準) です。

ITSSとは?

ITSS(IT Skill Standard)は、IT人材のスキルや役割を
レベル1〜7 に分けて整理した国家的なスキルフレームワークです。

レベル 概要
Lv1 新人・アシスタントレベル
Lv2 一部業務を独力で担当できる
Lv3 一人前のエンジニアとして責任を持てる
Lv4 チームリーダー・上級技術者
Lv5 プロジェクトマネージャ・専門職上級層
Lv6 部門マネージャ・ストラテジスト
Lv7 経営層・CxOレベル

多くの企業がこの指標をもとに、評価制度や研修体系を設計しています。
つまりITSSは「何ができれば次のステップに進めるか」を定義したキャリアの地図です。

資格が「知識の証明」なら、ITSSは「立場の証明」

資格試験は非常にわかりやすい成果物です。
AWS SAAを取れば「クラウドの基礎を理解している」、
応用情報を取れば「IT全般の体系的知識がある」と示せます。

しかし、実務ではそれだけでは足りません。
「その知識をどんな規模・責任の中で活かせるか」──
ここを可視化できるのがITSSの強みです。

たとえばこんな対比です。

観点 資格 ITSS
証明するもの 知識・技術 立場・責任
評価軸 理解度 実践力・影響範囲
活用場面 試験・認定 組織内評価・転職・面談
AWS SAA, 応用情報 ITSS Lv3〜Lv5, PM職定義

つまり、資格=能力の証明書、ITSS=立場の証明書。
「自分がどの範囲の責任を果たせるか」を語れることが、
これからのキャリアにおいて大きな武器になります。

ITSSが「立場の証明」になる理由

ITSSの最大の特徴は、“何ができるか”ではなく、
“どんな役割を担えるか” に焦点を当てている点です。

Lv3:仕様通りに開発・実装ができる
Lv4:チームをまとめ、レビューや設計方針を決められる
Lv5:プロジェクト全体のリスク管理・品質保証を行える
Lv6〜:組織や事業の戦略を描ける

このように、レベルが上がるほど 責任の範囲・視座の高さ・意思決定力 が求められます。
たとえば転職面接で「私はITSSでいうLv4相当の業務経験があります」と説明できれば、
具体的に“どんな立場の仕事をしてきたか”を一言で伝えられます。

スキルの棚卸を「ITSSレベル」で語れるようになると、
技術者としての立ち位置が明確になり、評価・報酬・次の目標がブレません。

資格とITSSを組み合わせると最強

実際のキャリア設計では、資格とITSSを組み合わせるのが効果的です。

Lv1〜2:基本情報・Oracle Bronze・CCNA

Lv3〜4:応用情報・AWS SAA・Oracle Gold

Lv5〜6:PM・ITストラテジスト・中小企業診断士

資格が「知識を証明」し、ITSSが「立場を補完」する。
この2軸でキャリアを描くことで、
「どの領域を伸ばせば昇格・転職・独立に近づくか」が明確になります。

ITSSで自分のキャリアを“見える化”する

まずは、自分の業務内容をITSSのレベル表に照らしてみましょう。

「自分はLv3(担当者)として十分動ける」
「次はLv4(リーダー)としてチームを導く力をつけたい」
「将来的にはLv5(プロマネ)としてプロジェクト全体を見たい」

このように 「現状 → 目標 → ギャップ」 を整理することで、
漫然と資格を取るよりも、戦略的な学習計画を立てられます。
Notionやスプレッドシートで「ITSSスキルマップ」を作るのもおすすめです。

まとめ

資格は知識の証明。
ITSSは立場の証明。

キャリアを積み上げるとは、「自分がどのレベルの責任を担えるか」を増やすことです。
その指標を持っているだけで、面談・転職・副業・独立──あらゆる場面で説得力が増します。

ITSSはキャリアの地図であり、あなたの“立場の証明書”でもある。
これを手に、次のステップへ進むための道筋を描いていきましょう

0
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?