“頑張る前に考える”仕事術
仕事をしていると、
- 一生懸命調査したのに使われない
- 丁寧に実装したのに評価されない
- 頑張っているのに成果につながらない
こんな経験ありますよね?
自分自身、未経験からSE転職して働く中で、
「1日作業してたのに、今日の成果これだけ?」
と感じる日も多かったです。
そんな悩みに対する一つのアンサーが、
安宅和人氏の『イシューからはじめよ』です。
この本のメッセージを一言で言うなら、
「解くべき問題を間違えるな」
ということ。
今回は、この本から学んだ生産性向上の秘訣を整理していきます☝️
前提となる考え
まずはこの本の冒頭に書かれている前提となる考えを頭に入れておきましょう。
悩まない、悩んでいるヒマがあるなら考える
「悩む」と「考える」の違いを認識することが大事だということです。
「悩む」 = 「答えが出ない」という前提のもと、「考えるフリ」をすること
「考える」 = 「答えが出る」という前提のもと、建設的な考えを組み立てること
生産性を求める上では「答えが出ない」問題の解決に
いくら時間を割いても意味がありません。
つまり、今やっていることは本当に 「考える」 に該当するか?
という視点を持つことが前提となります。
イシューとは何か?
次は、「イシュー」という言葉の定義について。
この本において「イシュー」とは、
- 2つ以上の集団の間で決着がついていない問題
- 根本に関わる、または白黒がはっきりしていない問題
この二つを満たすものと定義されています。
自分なりに噛み砕いて一言で表すとするなら、
前に進むために決着をつけるべき論点
といったところでしょうか。
仕事を進める上では、
「まずはイシューを立て、イシューに沿って作業を進めましょう」
というのがイシュードリブンということです。
仕事の価値は「イシュー度」 × 「解の質」で決まる
生産性を上げるためには、
「価値のある仕事とは何か」を理解するところから始まります。
価値のある仕事か否かは
- イシュー度
- 解の質
の2軸で考えられます。
イシュー度と解の質、両者が高い仕事こそ「価値のある仕事」といえます。
イシュー度とは
今答えを出すべき必要性の高さ
解の質とは
そのイシューに対してどの程度答えが出せているか
を指します。
つまり、価値の高い仕事とは
今答えを出すべき論点にどれだけ答えを出せているか
で測ることができます。
世の中で本当に解決すべき問題は限られている
危険なのが、
「とにかく仕事を大量にこなして価値のある仕事を生み出そう💪」
とか
「目の前の気になることすべてをとことん解明しないと前に進みません😤」
というパワー系の考え方。
マッキンゼーにて多くのコンサルに携わってきた安宅氏曰く、
世の中で「問題かもしれない」と考えられている事柄の総数を100とすると
本当に解決しなければならない問題は2つか3つしかないとのこと。
どれだけ質の高い解が導き出せていたとしても、
それが今解決すべき問題を解決できていなければ仕事としての価値が高いとは言えません。
イシューを見極めずにとりあえず目の前の仕事の解の質ばかり磨こうとするアプローチは
本書では「犬の道」と呼ばれています。
時間も労力もイタズラに消費してしまうだけなので、「犬の道」を歩むことは厳禁です!
生産性を上げるために採るべきアプローチ
価値のある仕事が「イシュー度」 × 「解の質」で決まる
かつ
「イシュー度」の高い仕事がごくわずかである
と理解できれば自ずと採るべきアプローチが見えてきますよね?
① まずは、「イシューの見極め」
「取り組もうとしている問題が今本当に解決すべき問題なのか?」
という視点を持って問題の分析から始めることが重要です。
② 次に「解」の徹底的な磨き込み
イシューの見極めが正しくできればあとは解の質を上げていくだけ。
①がしっかりできていれば、解の質を極めることで自ずと価値のあるアウトプットが生み出せるというわけです。
よいイシューの3条件
では、よいイシューとは何なのか?
次の3つの条件を満たすイシューがよいイシューとされます。
① 本質的な選択肢である
答えを出したことによって、
今後の方向性に大きな影響を与えるものでなければいけません。
例えば、技術選定のタスクにイシューを立てるとき。
悪いイシュー
- 「Flutterを使うべきか?」
良いイシュー
- 「開発速度を優先するか?」
- 「ネイティブ性能を優先するか?」
「Flutterを使うべきか?」という問いが解決したところで、
- 開発速度
- 採用戦略
- 組織構成
- 保守コスト
- ユーザー体験
等の観点から本当に適切な技術選定ができたとは言えません。
意思決定の核心を捉えているかという点に着目する必要があります。
② 深い仮説がある
イシューは、
ただ「気になること」を問いにしただけでは成立しません。
ある程度、
「こういうことではないか?」という仮説が含まれている必要があります。
例えば、パフォーマンス改善のタスクにイシューを立てるとき。
悪いイシュー
- 「なぜアプリが遅いのか?」
良いイシュー
- 「初回表示の遅さは、APIレスポンスではなく描画処理に原因があるのではないか?」
- 「体感速度低下の原因は通信ではなく不要なWidget再構築ではないか?」
「なぜ遅いのか?」という問いは広すぎて、
- 何を調べればいいか
- どこまで調査すれば十分か
- 何が不要な調査か
が見えません。
一方で仮説があると、
- 検証すべきポイント
- 必要なログ
- 比較すべきデータ
が明確になります。
思いつきの疑問ではなく、
思考を前に進めるための仮説になっているかが重要です。
③ 答えを出せる
どれだけ重要な問いでも、
現実的に答えを出せなければイシューにはなりません。
例えば、アーキテクチャ改善のタスクにイシューを立てるとき。
悪いイシュー
- 「この設計は将来ずっと最適か?」
良いイシュー
- 「今後2年間の開発速度を維持するには責務分離を見直すべきか?」
- 「今の設計は、次の機能追加コストをどれだけ増やしているか?」
「将来ずっと最適か?」という問いは、
- 検証期間が曖昧
- 判断基準が曖昧
- 必要なデータが定義しづらい
ため、結論を出しにくい問いです。
一方で、
- 期間
- 評価指標
- 比較対象
が明確であれば、
現実的に答えを導けます。
重要なのは、
「良い論点か?」だけではなく、
「今この環境で答えを出せるか?」
という視点です。
運用のコツは仮説を立てること
イシュードリブンを実践する上で大事なのは、
仮説を立てて自分のスタンスを明確にすることです。
「まだ情報が足りないから判断できない」
「もう少し調べてから決めたい」
と仮説を立てることを後回しにしてしまいがちですが、
これでは前述の「犬の道」に足を踏み入れてしまいます。
たとえ仮の答えであっても、
現時点で自分はどう考えているのかを言語化することが重要です。
なぜスタンスを明確にすべきか
スタンスを明確にすることで、
- 何を検証すればよいかが定まる
- 必要な情報と不要な情報の取捨選択ができる
- 議論の論点がブレなくなる
- 周囲からのフィードバックが得やすくなる
といったメリットがあります。
逆にスタンスが曖昧なまま動くと、
「とりあえず情報を集める」→「集めた情報を眺める」→「結局判断できない」
という負のループに陥ります。
SE業務での例
例えば、本番環境で発生したバグの調査を任されたとき。
スタンスが曖昧な進め方
- とりあえずログを全部見る
- 関連しそうなコードを片っ端から読む
- いつまで経っても原因が特定できない
スタンスを明確にした進め方
- 「直近のリリースで追加された◯◯処理が原因ではないか?」と仮説を立てる
- その仮説を検証するために必要なログ・コードに絞って調査する
- 仮説が外れたら、新たな仮説を立てて再検証する
スタンスの正当性はさほど重要ではありません。
スタンスを明確にすることで、
調査の効率が圧倒的に上がるわけです。
仮説は更新していくもの
仮説は一度立てたら終わりではありません。
検証の過程で新しい情報が見つかれば、
そのたびに仮説をアップデートしていきましょう。
重要なのは、
「スタンスの正当性を求めること」ではなく、「常に今のスタンスを明確にしておくこと」
です。
このサイクルを回し続けることが、
イシュードリブンを運用する上での最大のコツといえます。
まとめ
『イシューからはじめよ』で特に重要なポイントをおさらいします。
内容難しくてよくわからないよって人
これだけ覚えて帰ってください!
① 頑張る前に疑う
「今取り組んでいることは本当に今やらなくてはいけないこと?」の視点を大事に。
努力不足より間違った方向に全速力で突っ走るミスの方が怖い。
② 仕事の価値は「イシュー度 × 解の質」で決まる
解の質ばかり追っても、イシュー度が低ければバリューは生まれない。
イシューの分析が最も重要。
③ よいイシューの条件を意識する
- 本質的な選択肢になっているか
- 深い仮説があるか
- 現実的に答えを出せるか
④ スタンスを明確にして動く
「まだわからない」で止まらず、現時点での仮説をハッキリ言語化する。
スタンスがあるからこそ検証する対象が定まり、議論も前に進む。
最後に
AIがほとんどの仕事を肩代わりしてくれる今の時代、
人間が大事にしていきたいのは
ゴールまで走る馬力よりゴールまでの道のりを考える力。
そんな現代だからこそイシュードリブンは
かけるべき労力を誤らないためにも重要な考え方になるでしょう☝️
頑張っているのに結果が出ない、、、
とお悩みの方にはおすすめの一冊です!


