ブロックチェーンを用いた環境価値取引の業務から離れていたので、最近の動向を調査してみました。
ブロックチェーンの簡単な特徴(環境価値取引向けに要点整理)
まず、環境価値取引でブロックチェーンが注目される理由を整理します。
- 改ざんが極めて困難:証書や取引履歴の信頼性を担保できる
- 分散型で停止しにくい:長期的な価値管理に向く
- 透明性が高い:グリーンウォッシュ防止に寄与
- スマートコントラクトで自動化:計測〜取引までの一気通貫処理が可能
- 用途に応じてチェーンを選択可能:ハイブリッド構成にも対応
環境価値取引は「大量データ × 高い透明性 × 長期保存」が求められるため、ブロックチェーンとの相性が非常に良い領域です。
最新動向
最新動向の核心は、三菱電機 × 東京科学大学(Science Tokyo)が開発した“世界初の環境価値取引向けハイブリッドブロックチェーン”で、環境価値の可視化・一元管理・高速処理を同時に実現した点にあります。
プライベート型(トレーサビリティ)+パブリック型(価値取引)を統合し、以下を実現:
- 電気、熱、水素、CO2、合成燃料などの環境価値を正確に記録
- 変換プロセス(水素→電気など)の履歴を透明化
- 膨大な計測データを高速処理
- 改ざん困難な形で保存し、取引の信頼性を担保
これは、非化石証書、J-クレジット、I-REC など既存制度の課題(基準不統一、情報管理の分断、タイムラグ、グリーンウォッシュ問題)を解決する方向性として注目されています。
また、プライベート型、パブリック型の両者を組み合わせることで、「信頼性 × 実用性 × スケーラビリティ」 を同時に満たすアーキテクチャが実現した。
発表記事:https://www.mitsubishielectric.co.jp/ja/pr/2026/pdf/0316.pdf
その他のブロックチェーンプラットフォーム
1. J-クレジット取引市場(ezzmo:イツモ)
環境省が構想した、ブロックチェーンを活用した J-クレジット取引市場
- 申請手続の電子化
- モニタリングやクレジット認証手続の簡素化・自動化
- 民間が主体となるブロックチェーンを活用した取引市場の創出支援
ezzmo は 制度(Jクレ)とデジタル取引基盤(ブロックチェーン)をつなぐ存在。
特に、IoT データを用いた自動クレジット生成の実証が進んでいる。
参考資料:https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/MoEJ_201110.pdf
2. IHI「環境価値管理プラットフォーム」
IHI が既に設備で展開している IoT 基盤 ILIPS (IHI group Lifecyle Partner System) に、環境価値管理機能を追加。
- CO₂排出量・削減量を自動計算
- ブロックチェーンにて記録・見える化
- スマートコントラクトにより環境価値としてトークン(デジタル証明書)化
- 外部市場(ezzmo など)と連携する機能を実装
- 既存の設備データ活用で導入ハードルが低い
IoT → データ分析 → ブロックチェーン → トークン化 → 市場連携までを 一気通貫で実現
実証済みで、実運用に近いレベルまで成熟
発表記事:https://www.ihi.co.jp/all_news/2021/other/1197649_3355.html
実証ベースでは多くの企業から発表されていますが、製品・サービスとして公開はまだ少ないようだ。