はじめに
こんにちは。今年の4月から株式会社Shizen ConnectでShizenboxというIoTデバイスの開発に携わっているエンジニアです。まだまだITやネットワークの知識は勉強中なのですが、日々の業務や身の回りの体験を通じて学んだことを発信していきたいと思います。
前回の記事では、なぜ最新のIoT家電のWi-Fiは2.4GHz帯なのかについて紹介しました。パソコンやスマホが5GHz帯へ移行する中、エアコン等のIoT家電はモジュールコストや電波の届きやすさを重視して2.4GHz帯が選ばれていることが分かりました。
通常、家庭内ではWi-Fiルーターが親機(アクセスポイント)となり、スマホ等の子機に対して電波を飛ばしています。スマホであれば画面上でSSID(Wi-Fiのネットワーク識別子)のQRコードを読み取って簡単に接続できますが、設定画面を持たないエアコンのような機器はどうやってルーターに接続するのでしょうか?
実は我が家のルーターはSSIDが1つしかなく、2.4GHz/5GHzを自動切り替えする「バンドステアリング機能」が有効だったため、エアコンをWi-Fi接続する際にかなり苦労しました。
今回はその仕組みと対処法について、調べたことを紹介したいと思います。
- 設定画面を持たないエアコンを、どうやってルーターに接続する?
- エアコンは一時的にWi-Fiの親機になる
- ルーターのバンドステアリング機能とは?
- なぜ2.4GHz専用エアコンはバンドステアリング下で接続エラーになるのか?
- スマホアプリで設定する「IoTオンボーディングモード」の仕組み
- エアコンが一度ネットワークに接続した後はどうなる?
設定画面を持たないエアコンを、どうやってルーターに接続する?
設定画面を持たない家電をWi-Fiに繋ぐ方法には、主に以下のようなアプローチがあります。
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WPS(Wi-Fi Protected Setup)ボタンを使用する
- ルーターとエアコン双方のWPSボタンを押すことで、相互に通信して自動設定します。
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スマホアプリ経由で設定情報を送信する
- 各メーカーの専用アプリを使い、スマホからエアコンへルーターのSSIDやパスワード(暗号化キー)を伝達します。
エアコンは一時的にWi-Fiの親機になる
まだWi-Fiの設定をしていないエアコンは、宅内ネットワークにあるスマホを知りませんが、なぜスマホからの情報を受け取ることができるのでしょうか?
それは、初期状態のエアコン自身が一時的にWi-Fiの親機(アクセスポイント)として動作しているからなんですね。
技術的には以下のようなプロセスで接続が行われています。
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初期状態(APモード)
- エアコンのWi-Fi設定をオンにすると、エアコン自体が一時的なアクセスポイント(SSIDを発行)になります。
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スマホから資格情報(SSID・パスワード)を送信
- スマホをエアコン独自のWi-Fiに一時接続し、アプリから「宅内ルーターのSSID」と「暗号化キー」をエアコンに送信します。
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宅内ルーターへの接続とIPアドレス取得(DHCP)
- 情報を受け取ったエアコンは自身のAPモードを終了し、指定されたルーターの2.4GHz帯SSIDへ接続を試みます。
- ルーターからIPアドレスが割り振られ、宅内ネットワークやクラウドサーバーとの通信が可能になります。
ルーターのバンドステアリング機能とは?
バンドステアリング(Band Steering) とは、最近のWi-FiルーターやメッシュWi-Fiに標準搭載されている機能です。
- 仕組み: 2.4GHz帯と5GHz帯で同一のSSID・パスワードを使用し、ルーター側が端末の接続台数や周囲の電波状況に合わせて最適な帯域(高速な5GHzなど)へ自動的に切り替えます。
- メリット: ユーザーがSSIDを意識して手動切り替えする必要がなく、家中どこでも快適に通信できます。混雑を回避し、環境によっては速度が向上も期待できます。
出典:日経xTECH Wi-Fiルーター選びのコツ
💡 メッシュWi-Fi(メッシュネットワーク)とは?
複数のWi-Fiルーターで網目(メッシュ)状に電波を張り巡らし、家のどの場所でも安定して通信できる仕組みです。
出典:日経xTECH Wi-Fiルーター選びのコツ
なぜ2.4GHz専用エアコンはバンドステアリング下で接続エラーになるのか?
便利なバンドステアリングですが、「2.4GHzしか通信できないIoT家電」のセットアップ時には思わぬ障害となることがあります。
スマホアプリは「スマホが現在接続しているWi-Fi情報」をエアコンに引き渡そうとしますが、バンドステアリング環境下ではスマホが5GHz帯に誘導されているケースが多く、以下のような問題が発生します。
- 情報の不一致: エアコンのアプリが、スマホが現在掴んでいる5GHz帯の帯域情報をもとにセットアップを試みようとしたり、初期設定通信が帯域の差で途切れてしまったりすることでエラーが発生します。
- 通信の失敗: スマホ(5GHz)とエアコン(2.4GHz)が同じ周波数帯で直接通信できず、初期の通信確立に失敗します。
スマホアプリで設定する「IoTオンボーディングモード」の仕組み
バンドステアリングをオフにできるルーターやメッシュWi-Fiであれば、2.4GHz帯と5GHz帯のSSIDを別々に発行することができますが、オフにできないルーターもあります。2.4GHz専用のIoT家電を接続する対策として、スマホの専用アプリから操作できる 「IoTオンボーディングモード」 が用意されています。
(※ルーターやメッシュWi-Fiのメーカーによっては「IoTモード」「2.4GHz専用設定」「IoT機器接続アシスト」などの名称で呼ばれていることもあります)
このモードを有効にすると、以下のような処理が一時的に行われます。
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一時的に5GHz帯の電波を停止
- ルーターが5GHz帯の送信を一定時間(例:10分〜30分間)停止します。
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スマホを強制的に2.4GHz帯へ接続させる
- 5GHz帯が消えるため、スマホは強制的に2.4GHz帯へ再接続されます。
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同じ2.4GHz帯同士で確実なセットアップ
- スマホとエアコンが完全に同じ2.4GHz帯に揃った状態でSSID/パスワードの受け渡しが行われ、設定が完了します。
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タイマー終了後に5GHz帯が自動復旧
- 設定完了後、時間が経つと自動的に通常のバンドステアリング動作に戻ります。

出典:ZAQサポート 2.4GHz対応機器との接続方法<メッシュWi-Fiアプリ>
一度ネットワークに接続した後はどうなる?
無事にエアコンのWi-Fi接続が完了した後は、ルーターの設定はそのままで問題ありません。
エアコン側には2.4GHz用の通信チップしか搭載されていないため、後からルーターが5GHzへ誘導しようとしても物理的に受信できません。そのため、一度接続してしまえば自動的に2.4GHz固定で接続され続けます。
おわりに
我が家のルーターは、バンドステアリング機能をオフにすることができなかったため、スマホの専用アプリでIoTオンボーディングモードにして2.4GHz帯に固定する必要がありました。ここに行きつくまでに時間がかかりましたが、ネットワークに関する理解が深まったのはいいことだったと、前向きにとらえたいと思います。
次回は、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)に関して書こうと思っています。
お読みいただき、ありがとうございました!
参考サイト
日立 エアコンを管理する
日経xTECH Wi-Fiルーター選びのコツ
Plume Home 2.4GHzのみのデバイスをPlume Homeに接続

