課題の構造
日程調整のメールは、件数が多く、1通ずつの作業としては軽い。だからこそ「AIに渡したい」候補の筆頭に挙がる業務でもある。ただし丸投げすると、返信待ちの相手を長く放置する、忙しい曜日だけ候補から外れる、確定した日付の記録が残らない、といったズレが出る。AIに任せる前に、決めておくべき項目が3つある。
先に決めておく3つ
1. 「動けない日」の表記
AIは、入力に含まれていない予定は知らない。「だいたい火曜は厳しい」のような表現は、候補の絞り込みに使えない。曜日か日付のどちらの単位で固定するかを決め、空欄を作らない。表記が揺れていると、AIは曖昧な日を候補に入れてしまう。
2. 候補を出す幅
何日先まで出すか、平日だけか、朝晳を含むか。幅を決めておかないと、AIは「最も空いていそうな日」を遠くに取ることがある。調整の相手が困るのは、候補が遠いことより「候補の意味が分からない」ことである。
3. 確定の記録先
AIは案文を作るまでで、確定は人が行う。確定した日付をどこに書くか(共有カレンダーか、台帳か)を決めておく。案文と確定が同じ場所に残らないと、後から「いつ決まったのか」を追えなくなる。
現場の模式例(拠点間の定例会議)
ここでは模式例として、3拠点の担当者が集まる月次の定例会議の日程調整を考える。
月初に開催日を決める。各拠点の担当者から動けない日を1行の定型で集め、AIには「重なりを探して、候補を3日と案文1通を作る」までを任せる。確定は幹事が行い、共有カレンダーに1行で書く。この切り分けにより、AIに期待する範囲は「重なりの抽出と文面化」に限定され、失敗してもやり直しは案文1通で済む。
注意すべきは「動けない日」の集め方である。口頭の申告を幹事が転記すると、曜日の取り違えが起きる。1行の定型で集める運びにしてから、AIに渡す。
陥りやすい誤り
- 返信待ちの管理をAIに任せようとする。返事は人に届く。AIが勝手に催促文を出すと事故になる
- 候補日を1日だけ出させて決め打ちする。重なりの見落としがあると、特定の拠点だけが毎月外れる
- 「だいたい」の表記をそのまま渡す。曖昧な制約は、AIにとって制約にならない
チェックリスト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 動けない日の表記 | 曜日か日付の単位で空欄なく集める |
| 候補の幅 | 期間・曜日・時間帯を1行で固定する |
| 確定の記録先 | 共有カレンダーか台帳かを先に決める |
| AIの役割の区切り | 案文作成まで、確定は人 |
| 催促の扱い | AIから催促文を出さない |
まとめ
日程調整は、件数が多いが失敗時の影響が小さい。AIを試す業務の入口として向いている。決めておくのは「動けない日の表記」「候補の幅」「確定の記録先」の3つと、AIに確定と催促を任せないことである。この区切りを守れば、AIが入っても日程の信用は保たれる。