法律に絡む業務は大変ですよね~
どうもsanoyです!
わたしは普段、商業施設の運営・管理に関わるお仕事をしておりまして、
前回は「商業施設情報LINEBot」の作成に挑戦した者で~ございます。
今回はね、ちょっと別のことやります。
一生懸命働いていますと、テナントさんから
「こんなキャンペーンやりたいんですが大丈夫ですか?」
「いままで食品は販売してなかったけど、新商品でお菓子売りたいんだよね」
「サステナブルにいくから中古品の買取始るぞって言われました。」
といったような相談がまあまあ来るんですね。
その都度法令なんかを調べてるのですが、結構読むのって大変なんすよ。
おい法律!なんでそんな言い回しなんだい!ってなる。。。
しかも相談内容によって確認する法律も変わるから、法務専門家じゃないわたしとしては、時間喰い虫になっているんですね~。。。
そこで!!
「AIに法令を読ませれば確認を効率化(楽)できるのでは?」
と思い、Difyで質問を投げたら法令を確認して違反が無いか判断してくれるアシスタントBotを作ってみました!
課題
👉 法令確認の初動を早くしたい
商業施設では、
- 景品表示法
- 食品衛生法
- 酒税法
- 著作権法
- 個人情報保護法
- 消防法
など様々な法律が関係します。法律自体は検索すれば見つかります。しかし、、、
「結局これはOKなの?」
「何に気を付ければいいの?」
という部分の判断が難しいことが多くありました。
解決へのアプローチ
まずは法令をナレッジとして登録し、AIに検索・回答させる仕組みを作ることにしました。
イメージとしては、
質問
↓
法令検索
↓
AI判定
↓
結果表示
というシンプルな構成です。
作ったもの
商業施設法令アシスタント
- Dify
- Gemini
- 法令PDF
- ナレッジ検索
を組み合わせて、
- 判定
- 根拠法令
- リスク
- 確認事項
を返すBotです。
利用した技術とシステム構成
- Dify
- Gemini
- ChatGPT
- e-Gov法令検索
作り方
▼構成シナリオ
ユーザーからの質問を受け付け、ナレッジ検索を実施し、その結果をGeminiで整理して回答する構成です。
▼法令ナレッジ

みなさんは「e-Gov法令検索」って知ってました?
法律なんかの条文を全部見ることのできるサイトなんですね~。
これをね、今までは血眼になって探しておりました。
でも今回は商業施設のテナントさんに関係の深いところの法律をピックアップして、PDFダウンロードして、ナレッジ登録しました!これこれ!
▼Geminiへのプロンプト
ここで、Geminiの回答をどのように設計するか、ChatGPTくんに相談しました。
わたし「ねえねえ聞いてよ、プロンプトで指示しないとなんだって」
GPTくん「そうなん?じゃあこれなんかどう?」
あなたは商業施設の法令遵守チェック担当です。
必ず知識検索結果のみを根拠に回答してください。
知識検索結果に根拠が存在しない場合は
「判断できません」
と回答してください。
推測は禁止します。
回答形式
【判定】
OK
NG
追加確認必要
【根拠法令】
法令名
【判断理由】
【リスク】
【追加確認事項】
わたし「やるじゃん、でも法律だからもっと守備強めにしたいかも」
GPTくん「ならこれ追加したら?硬くなるぜ~」
回答する前に必ず以下を実施してください。
1. 該当法令を特定
2. ナレッジから根拠を抽出
3. 判定を作成
根拠が不足する場合は
「追加確認必要」
としてください。
根拠が存在しない場合は
「判断できません」
としてください。
法律上問題ない場合でも、
商業施設運営上の確認事項がある場合は
必ず【確認事項】へ記載してください。
と、ここまでは比較的スムーズに進みましたよ!
いよいよ楽になるぞ~!ワクワク
設計プロセス
(1) 最初はうまくいくと思ってた
見出しから出オチですが、正直「法律を登録しておけばAIが判断してくれる」と思ってました。もうね、最近の生成AIはわたしより優秀だから、法令を読ませればなんとかしてくれるでしょ!ってね。
(2) 実際に動かしてみる
なんか思ってた反応と違うな
つまずいたポイント
原因をGPTくんに聞いてみたら、「法律にはInstagramなんて書かれてないから出てこないよ」って言われました。なるほど、たしかに!
私たちが普段受ける相談って、「SNS販促のことで・・・」とか「お菓子売っていい?」とか「古着の買取とかって・・・」とかの実務レベルの話がメインでございます。
でも法律はもっと抽象的に書かれているから、「法律 ≠ 現場の相談」 でしたわ。
ここでつまずきました。
改善してみる
そこで試したのが、 法令Q&A集の追加 です。
▼Q&A登録
実際によくある相談をQ&A化して登録してみたところ。。。
あれ、まあまあいい感じじゃない!
「判断できません」じゃなくなって、実務に近い回答が返ってきた!
ということで、Q&Aも盛り込んでGPTくんとわたしの激しい調整が行われた結果、
最終的なプロンプトがこちら ↓
あなたは商業施設でテナント企業の法令遵守チェック担当者です。
必ずナレッジ検索結果のみを根拠として回答してください。
回答形式
---------------
【判定】
OK
NG
追加確認必要
判断できません
【根拠法令】
【リスク】
【確認事項】
【参考資料】
※最終的な判断は所管行政機関、専門家または弁護士へ確認してください。
---------------
回答する前に必ず以下を実施してください。
1. 該当法令を特定する
2. ナレッジから根拠を抽出する
3. 判定を作成する
判定基準
①ナレッジから法令上問題ないと判断できる
→ OK
②ナレッジから法令違反と判断できる
→ NG
③ナレッジから判断するための情報が不足している
→ 追加確認必要
④ナレッジに関連情報が存在しない
→ 判断できません
OKと判断できる場合は、確認事項が存在しても判定はOKとしてください。
確認事項は
【確認事項】
へ記載してください。
法律上問題ない場合でも、運営上の注意点がある場合は
【確認事項】
へ記載してください。
学び・気づき
今回最大の学びは、 AIに法律だけを渡しても実務判断は難しい ということでした。
私は最初、
AIに法律を読ませれば判断してくれる
と思っていました。でも実際は、過去事例や行政解釈、Q&A、社内ルールなど、いろいろな視点でいろいろな判断が行われてからの回答だったんです。
私たち人間も普段は法律だけ見て仕事をしている訳ではありません。AIも同じでした。法律だけを与えても十分ではなくて、
法律
+
過去事例
+
Q&A
+
運用ルール
が必要だったのです。
これは、作ってみて、改めて自分がどんなことを考えながら回答を導き出していたか、順序建てて業務整理をする発見にもなりました。
まとめ
今回、Difyで商業施設法令アシスタントを作ってみましたが、結果として、
「法律を登録すればAIが判断してくれる」は甘かった
ということが分かりました。
正直、もう少し簡単に実現できると思っていました。しかし実際に試してみると、法律だけでは判断できないケースが非常に多くありました。でも、この失敗はかなり価値があったと思っています。
AIに考えさせるより
AIに何を教えるか
が重要だと気付けたから、学びですねえ。
改良案
法令Q&Aを増やす
実際の問い合わせ事例を蓄積してナレッジを整える。
急がば回れ
社内ルールも取り込む
現場では法律だけで判断していない、運用ルールも重要。
法律と実務知識のハイブリッド化
今回の検証を通じて、一番可能性を感じたのはここ!
次は、「法律を検索するAI」ではなく、
「現場で実際に使える法令アシスタント」
を目指して改善していこうと思います!
