ABC258(AtCoder Beginner Contest 258) A~D問題の解説記事です。
灰色~茶色コーダーの方向けに解説しています。
その他のABC解説、動画などは以下です。
更新時はツイッターにて通知します。
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A - When? Dif:10
Nが60未満なら21時台、60以上なら22時台になります。
22時台ならNから60を引くことで分がわかります。例えばN=86なら86-60=26分です。
出力のときに分が一桁なら、すなわち0~9分なら前に「0」を一つつけなければなりません。
時間を出力するときはNを文字列にして"21:"か"22:"にくっつけます。
数字を文字列にするには
str(数字)
と書きます。
文字列同士をくっつけるときは「+」を使います。"21:"とNをくっつけるなら
"21:"+str(N)
となります。ここで+str(N)ではなく+Nとすると、pythonは数字を足し算しなければならないと解釈してエラーになってしまいます。
入力の受け取り、出力がわからない方は以下の記事を参考にしてください。
【提出】
# 入力の受け取り
N=int(input())
# Nが60未満なら
if N<60:
# N=0~9なら(0~9分なら)
if 0<=N<=9:
# 「21:」+「0」+(Nを文字に変換) を出力
print("21:"+"0"+str(N))
# それ以外なら(11~59分なら)
else:
# 「21:」+(Nを文字に変換) を出力
print("21:"+str(N))
# それ以外なら(Nが60以上)
else:
# 60マイナスする
N-=60
# N=0~9なら(0~9分なら)
if 0<=N<=9:
# 「22:」+「0」+(Nを文字に変換) を出力
print("22:"+"0"+str(N))
# それ以外なら(11~59分なら)
else:
# 「22:」+(Nを文字に変換) を出力
print("22:"+str(N))
B - Number Box Dif:511
入力例1を図にしてみましょう。
実装に合わせて0インデックス、すなわち最初の行、列の番号は0としています。
例えば(0,2)から右下に進むときの座標の変化を見てみましょう。
(0,2)
(1,3)
(2,0)
(3,1)
行、列ともに1ずつ増えていき、4になったら0へ戻るという挙動になっています。
これはN=4で割った余りを使うと以下のように書けます。
((0+0)%4,(2+0)%4)→(0%4,2%4)→(0,2)
((0+1)%4,(2+1)%4)→(1%4,3%4)→(1,3)
((0+2)%4,(2+2)%4)→(2%4,4%4)→(2,0)
((0+3)%4,(2+3)%4)→(3%4,5%4)→(3,1)
つまり右下にi移動したマスというのは
((スタート行+i)%N,(スタート列+i)%N)
と表せるということです。
左上ならマイナスになります。
((スタート行-i)%N,(スタート列-i)%N)
右なら列だけ増えます。
(スタート行,(スタート列+i)%N)
i移動したマスの座標をより一般に考えましょう。
上方向(-1,0):((スタート行+(-1)*i)%N,(スタート列+0*i)%N)
右上方向(-1,1):((スタート行+(-1)*i)%N,(スタート列+1*i)%N)
右方向(0,1):((スタート行+0*i)%N,(スタート列+1*i)%N)
右下方向(1,1):((スタート行+1*i)%N,(スタート列+1*i)%N)
下方向(1,0):((スタート行+1*i)%N,(スタート列+0*i)%N)
左下方向(1,-1):((スタート行+1*i)%N,(スタート列+(-1)*i)%N)
左方向(0,-1):((スタート行+0*i)%N,(スタート列+(-1)*i)%N)
左上方向(-1,-1):((スタート行+(-1)*i)%N,(スタート列+(-1)*i)%N)
(スタート行,スタート列,行方向,列方向)を引数とする関数を作ります。
各マスを通りながら数字を記録していく関数です。
行方向、列方向には-1,0,1のいずれかが入ります。
# 引数:(スタート行,スタート列,行方向,列方向) → マス目の数字を確認して値を返す
def Calc(G,R,GD,RD):
# 結果
result=""
# i=0~(N-1)
for i in range(N):
# ((G+GD*i)%N,(R+RD*i)%N)マスの数字を記録
result+=Grid[(G+GD*i)%N][(R+RD*i)%N]
# 整数へ変換
result=int(result)
# 返す
return result
Nは最大10とかなり小さいので、全てのマス、全ての方向について愚直に値を確認し、最も大きいものを出力して終わりです。
【提出】
# 入力の受け取り
N=int(input())
# マス目
Grid=[]
# N回
for i in range(N):
# 入力の受け取り
A=input()
# 一文字ずつのリストへ展開
A=list(A)
# Gridへ記録
Grid.append(A)
# 引数:(スタート行,スタート列,行方向,列方向) → マス目の数字を確認して値を返す
def Calc(G,R,GD,RD):
# 結果
result=""
# i=0~(N-1)
for i in range(N):
# ((G+GD*i)%N,(R+RD*i)%N)マスの数字を記録
result+=Grid[(G+GD*i)%N][(R+RD*i)%N]
# 整数へ変換
result=int(result)
# 返す
return result
# 答え
ans=0
# 行:G=0~(N-1)
for G in range(N):
# 列:R=0~(N-1)
for R in range(N):
# (G,R)がスタートマス
# 計算結果が今までの答えより大きければ更新
# 上方向(-1,0)
ans=max(ans,Calc(G,R,-1,0))
# 右上方向(-1,1)
ans=max(ans,Calc(G,R,-1,1))
# 右方向(0,1)
ans=max(ans,Calc(G,R,0,1))
# 右下方向(1,1)
ans=max(ans,Calc(G,R,1,1))
# 下方向(1,0)
ans=max(ans,Calc(G,R,1,0))
# 左下方向(1,-1)
ans=max(ans,Calc(G,R,1,-1))
# 左方向(0,-1)
ans=max(ans,Calc(G,R,0,-1))
# 左上方向(-1,-1)
ans=max(ans,Calc(G,R,-1,-1))
# 答えの出力
print(ans)
C - Rotation Dif:419
t=1のクエリをクエリ1
t=2のクエリをクエリ2
と呼びます
クエリ1のたび問題文の指示通りに操作を行うと間に合いません。
例えばS=abcdefのとき、クエリ1でx=3だとどうなるか考えましょう。
S:abcdef
1回目:fabcde
2回目:efabcd
3回目:defabc
よってSの最初の文字(0文字目)が3文字目「d」に移ったということがわかります。
このスタートの文字位置だけ管理することを考えましょう。赤い矢印がスタート位置です。
より一般にはスタート位置は以下のように変化します。
(新しいスタート位置)=(前のスタート位置-x)%N
Nで割った余りを取っているのはマイナスになった時0へ戻すためです。
例えばS=abcdef(N=6)の時、前のスタート位置が0でx=4ならば
(新しいスタート位置)=(前のスタート位置-x)%N
⇔(新しいスタート位置)=(0-4)%6
⇔(新しいスタート位置)=(-4)%6
⇔(新しいスタート位置)=2
と計算できるわけです。
次はクエリ2について考えます。
こちらは簡単で、(スタート位置+(x-1))%N)番目の文字を出力するだけです。
※pythonは0インデックスのため(x-1)と一個ずれることに注意してください
例としてx=2の時を考えましょう。同じようにS=abcdefで、スタート位置は3番目になっているとします。
(スタート位置+(x-1))%6)=(3+(2-1))%6=4%6=4ですから、4番目の文字「e」を出力すればよいです。
(実際にはSは3番目の文字「d」から始まる、すなわちS=defabcになっているためです)
Nで余りを取っているのはNを超えたときに0に戻すためです。
例えばx=5なら
(スタート位置+(x-1))%6
=(3+(5-1))%6
=7%6
=1
となって1番目の文字「b」を出力します。
【提出】
# 入力の受け取り
N,Q=map(int,input().split())
S=input()
# スタート位置
Start=0
# Q回
for i in range(Q):
# 入力の受け取り
t,x=map(int,input().split())
# クエリ1
if t==1:
# (新しいスタート位置)=(前のスタート位置-x)%N
Start=(Start-x)%N
# クエリ2
else:
# (スタート位置+(x-1))%N)番目の文字を出力
print(S[(Start+(x-1))%N])
D - Trophy Dif:687
基本的にはできるだけプレイ時間(=B)が少ないゲームをやり続けたほうが良いです。
プレイ時間が少ないステージができるところまでクリアしたら、その前のステージをもう一度クリアする必要はありません。
よって
ステージ1までクリアし、ステージ1をクリアし続ける
ステージ2までクリアし、ステージ2をクリアし続ける
ステージ3までクリアし、ステージ3をクリアし続ける
...
と全パターンを試し、一番時間が短いものを探します。
例えば以下の例で考えましょう。
N X:3 10
A1 B1:7 8
A1 B1:10 3
A1 B1:9 4
「ステージ1までクリアし、ステージ1をクリアし続ける」
ステージ1のクリアにかかる時間はA1+B1=7+8=15分です。
この時点で1回クリアしているので残り必要な回数はX-1=10-1=9回です。
9*B1=9*8=72分なので合計15+72=87分かかります。
「ステージ2までクリアし、ステージ2をクリアし続ける」
ステージ2に到達するまでにステージ1を1回クリアしなければなりません。
ステージ1のクリアには先程計算した通り15分かかります。
ステージ2のクリアにかかる時間はA2+B2=10+3=13分です。
すなわちステージ1,2両方のクリアに15+13=28分かかります。
この時点でステージ1,2合わせて2回クリアしているので残り必要な回数はX-2=10-2=8回です。
8*B2=8*3=24分なので合計28+24=52分かかります。
「ステージ3までクリアし、ステージ3をクリアし続ける」
ステージ3に到達するまでにステージ1,2を1回クリアしなければなりません。
ステージ1,2のクリアには先程計算した通り28分かかります。
ステージ3のクリアにかかる時間はA3+B3=9+4=13分です。
すなわちステージ1,2,3全てのクリアに28+13=41分かかります。
この時点でステージ1,2,3合わせて3回クリアしているので残り必要な回数はX-3=10-3=7回です。
7*B3=7*4=28分なので合計41+28=69分かかります。
最も短いのは「ステージ2までクリアし、ステージ2をクリアし続ける」パターンで、52分となります。
X<Nの場合、(X+1)~N番目のステージは使えないということに注意してください。
【提出】
# 入力の受け取り
N,X=map(int,input().split())
# 答え
ans=10**20
# ステージiまでをクリアするのにかかる時間
time=0
# i=1~(X,Nのうち小さい方)
for i in range(1,min(X,N)+1):
# 入力の受け取り
A,B=map(int,input().split())
# 「ステージiまでクリアし、ステージiをクリアし続ける」のにかかる時間
tmpans=0
# ステージiまでをクリアするのにかかる時間
# (i-1)番目までをクリアするのにかかる時間+ステージiをクリアするのにかかる時間
time+=A+B
# (ステージiまでをクリアするのにかかる時間)を足す
tmpans+=time
# ステージiまではクリアしている
# ⇔i回はクリアしているので残り(X-i)回ステージiをクリアする
tmpans+=(X-i)*B
# 答えが小さければ更新
ans=min(ans,tmpans)
# 答えの出力
print(ans)
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