統計学入門のお供 Julia (1) - 標準得点、偏差値得点 - Qiita
統計学入門のお供 Julia (2) - ピアソンの積率相関係数 - Qiita
統計学入門のお供 Julia (3) - 順位相関係数と自己相関係数 - Qiita
統計学入門のお供 Julia (4) - 最小二乗法と決定係数 - Qiita
統計学入門のお供 Julia (5) - ベイズの定理 - Qiita
統計学入門のお供 Julia (6) - ド・メレの問題 = Oiita
統計学を勉強するため「統計学入門」(東京大学出版会)を読み始めました。練習問題があるのですが、これも勉強中のJuliaを使って計算していきたいと思います。
(注意)今回はJuliaのプログラムは含みません。代わりに以下のリンクでごめんなさい。
急成長中のプログラミング言語「Julia」--MIT教授に聞く人気の理由と今後の展開
#1.全確率の定理
条件付確率の重要な性質である全確率の定理の証明を以下に記します。これを使ってベイズの定理を証明します。
\begin{align}
&\Omega : 全事象\\
&\{ H_i \} : \Omegaの分割 : \qquad \cup H_i = \Omega, \qquad H_i \cap H_j = \emptyset \quad if \quad i \neq j\\
\\
&条件付確率の定義より\\
&P(H_i \cap A) = P(H_i)P(A|H_i) \tag{1}\\
\\
&\{ H_i \} は\Omegaの分割だから\\
&A = A \cap \Omega = A \cap (H_1 \cup H_2 \cup ... \cup H_h)\\
&\quad = (A \cap H_1) \cup (A \cap H_2) \cup ... \cup (A \cap H_h) \\
\\
& \{ A \cap H_i \} は互いに排反だから\\
\\
&P(A) = \sum P(A \cap H_j)\\
\\
&(1)を代入すると、全確率の定理が導かれます。\\
&P(A) = \sum P(H_j) P(A|H_j) \tag{2}\\
&\qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad\\
\end{align}
#2.ベイズの定理 Bayes' theorem
ベイズの定理は結果に対する原因の確率を計算する公式です。
\begin{align}
&---------------------------\\
&【概略】\\
\\
&A : 結果\\
& \{ H_i \}:原因 \quad (\Omegaの分割)\\
&この時、A が起こったときの原因が H_i である確率 P(H_i|A) を求めたいとする。\\
&しかし、通常は原因に対する結果の確率P(A|H_i)を知ることができるのみである。\\
\\
&以下ヘイズの定理はP(A|H_i)からP(H_i|A)を求める公式である。\\
\\
&P(H_i|A) = \frac{P(H_i)P(A|H_i)}{\sum P(H_j) P(A|H_j)} \tag{3}\\
&---------------------------\\
\\
&【証明】\\
\\
&\Omega : 全事象\\
&\{ H_i \} : \Omegaの分割\\
\\
\\
&条件付確率の定義より\\
&P(H_i|A) = \frac{P(H_i \cap A)}{P(A)} \tag{4}\\
\\
&同じく条件付確率の定義(乗法定理)より\\
&P(H_i \cap A) = P(H_i)P(A|H_i)\\
\\
&故に(4)は以下のようになる\\
&P(H_i|A) = \frac{P(H_i)P(A|H_i)}{P(A)} \tag{5}\\
\\
\\
&上の全確率の定理より\\
&P(A) = \sum P(H_j) P(A|H_j)\\
\\
&これを式(5)の分母に代入すると、ベイズの定理が導かれる\\
&P(H_i|A) = \frac{P(H_i)P(A|H_i)}{\sum P(H_j) P(A|H_j)} \tag{3}\\
\\
&\qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \\
\end{align}
#3.例
P85
ベイズの定理を使った問題の例
\begin{align}
&以下のような条件(1)(2)の2つの壺があり、\\
&いずれかの壺から取り出した球が白であったときに、\\
&第1の壺を選んだ確率と第2の壺を選んだ確率を求める。\\
\\
&第1の壺 = 白玉3個 + 黒玉1個 \qquad (1)\\
&第2の壺 = 白玉1個 + 黒玉2個 \qquad (2)\\
\\
&H_1 = 第1の壺から取り出す事象\\
&H_2 = 第2の壺から取り出す事象\\
&A = 白玉を取り出す事象\\
\\
&*****************\\
&根元事象を厳密に定義する。\\
&球は色のみに注目するから、根元事象は以下の4つとなる。\\
&(壺_1,白),(壺_1,黒),(壺_2,白),(壺_2,黒)\\
\\
&この根元事象でH_1,H_2,Aを表せば以下のようになる。\\
\\
&H_1 = \{ (壺_1,白),(壺_1,黒) \}\\
&H_2 = \{ (壺_2,白),(壺_2,黒) \}\\
&A = \{ (壺_1,白), (壺_2,白) \}\\
\\
\\
&壺_1と壺_2を選ぶ事象はH_1とH_2で、P(H_1)=P(H_2)=1/2と考えられる。\\
&また以下のように、原因に対する結果の確率P(A|H_i)を知ることができる。\\
&P(A|H_1)=3/4 \qquad ∵ (1)より\\
&P(A|H_2)=1/3 \qquad ∵ (2)より\\
\\
\\
&結果 A が起こったときの原因が H_i である確率 P(H_i|A) を求めます。\\
&ベイズの定理から以下のように計算できます。\\
\\
&P(H_1|A) = \frac{P(H_1)P(A|H_1)}{P(H_1) P(A|H_1) + P(H_2) P(A|H_2)}\\
&\qquad \quad =\frac{(1/2)(3/4)}{(1/2)(3/4) + (1/2)(1/3)} = 9/13 = 0.692\\
\\
&P(H_2|A) = \frac{P(H_2)P(A|H_2)}{P(H_1) P(A|H_1) + P(H_2) P(A|H_2)}\\
&\qquad \quad =\frac{(1/2)(1/3)}{(1/2)(3/4) + (1/2)(1/3)} = 4/13 = 0.308\\
\\
&\qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \qquad \\
\end{align}