3行まとめ
- 2026年10月7日、AnthropicがClaude Haiku 5.5(
claude-haiku-5-5)をリリース。100Kトークン以下のプロンプトなら入力$0.10 / 出力$0.50 per MTokで、Haiku 4.5($1/$5)の10分の1。コンテキストは1M、Haikuとして初めてeffort(思考量)設定を持つ - Terminal-Bench 4.0は0.0%→39.2%、OSWorld 2.1は15.7%→72.4%と、Haiku 4.5から別物レベルで伸びた。同日にSonnet 5.5のキャッシュ読み取りも$0.20→$0.10に半額化されている
- ただし移行は「モデルIDを書き換えるだけ」では済まない。適応的思考がデフォルトONで、
temperature(1以外)・assistant prefill・budget_tokens指定は400エラー。自作の投資分析ツールのコードを確認したら、response.content[0].textで先頭ブロックを読む書き方がそのまま壊れる箇所だった
2026年10月7日、AnthropicがClaude Haiku 5.5を公開した。Haiku系の新モデルは、2025年10月15日のHaiku 4.5以来ほぼ1年ぶり。9月22日のOpus 5.5、9月28日のSonnet 5.5に続いて、これで5.5世代の3モデルが出そろった。
公式の謳い文句は「これまでで最も安く、最も速く、最も賢い小型モデル」。この記事では価格・ベンチマークを整理したうえで、移行ガイドに書かれている破壊的変更を、実際に個人開発ツールのコードと突き合わせて確認する。
価格:100K以下なら Haiku 4.5 の10分の1
Haiku 5.5はプロンプト長で単価が2段階に分かれる。公式発表の価格表(per MTok)は以下のとおり。
| 項目 | Haiku 5.5(〜100K) | Haiku 5.5(100K超) | Haiku 4.5 | Sonnet 5.5 |
|---|---|---|---|---|
| 入力 | $0.10 | $0.50 | $1.00 | $2.00 |
| 出力 | $0.50 | $2.50 | $5.00 | $10.00 |
| キャッシュ書き込み | $0.125 | $0.625 | $1.25 | $2.50 |
| キャッシュ読み取り | $0.01 | $0.05 | $0.10 | $0.10 |
Haiku 4.5比で100K以下は90%安、100K超でも50%安。公式は「平均で約75%安い」としている。100K以下の入力単価$0.10はSonnet 5.5の20分の1で、同じ予算で桁違いの回数を回せる。
表の右端にも注目したい。Sonnet 5.5のキャッシュ読み取りが$0.20→$0.10に半額化された。Sonnet 5.5の記事を書いた時点では$0.20だったので、ここは今回の発表で変わった点になる。公式は「ほとんどのエージェント系タスクでSonnet 5.5のコストが約20%下がる」としていて、Haikuを使わない人にも効く値下げになっている。
ただし単価だけで比較すると見誤る。Haiku 5.5はSonnet 5.5・Opus 5.5と同じ新トークナイザを使っていて、移行ガイドによると同じテキストがHaiku 4.5より約30%多いトークン数になる。画像も高解像度ティアに変わり、2000×1500pxの画像はHaiku 4.5の約2.5倍のビジュアルトークンを消費する。単価10分の1でも、トークン数が1.3倍になればコスト差は少し縮む。
ベンチマーク:Haiku 4.5 からほぼ別モデル
公式発表のベンチマーク比較表(抜粋)。
| Benchmark | Haiku 5.5 | Haiku 4.5 | Sonnet 5.5 |
|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 4.0 | 39.2% | 0.0% | 70.6% |
| OSWorld 2.1(offline subset) | 72.4% | 15.7% | 83.9% |
| Humanity's Last Exam(with tools) | 57.4% | 18.7% | 64.5% |
| GDPval-AA v2.1(Elo) | 1620 | 735 | 1840 |
| FrontierCode 1.1(Main) | 46.4% | — | 52.1% |
| Chartography(no tools) | 46.4% | 6.4% | 61.6% |
Terminal-Bench 4.0が0.0%→39.2%、OSWorldが15.7%→72.4%。Haiku 4.5はターミナル操作やGUI操作のような自律タスクでは実質使い物にならなかったが、Haiku 5.5はそこそこ動くラインに乗ってきた。
それでもSonnet 5.5とは差がある。Terminal-Benchは39.2%対70.6%で、公式も「複雑なエージェント型コーディングにはSonnet 5.5・Opus 5.5のほうが優れている」と明言している。Haiku 5.5の推奨用途として挙げられているのはコンパクション(会話の要約圧縮)、要約、サブエージェントの作業など、範囲が絞られた大量処理や速度重視の用途だ。
その他の特徴は以下。
- effort設定: Low / Med / High / Xhigh / Max の5段階。Haiku系で初めて
- コンテキスト1M: Claude Code v2.1.293の changelog に「1M context」と明記されている
- 速度: 各モデルの標準速度の中では過去最速(Fast ModeのOpusよりは遅い)
- computer use / browser use: Python・TypeScript SDKでベータ対応
- 安全性: サイバー系のセーフガードはHaiku 4.5より厳しく、Sonnet 5.5よりは緩い。ペネトレーションテストのような攻撃者寄りの用途は引き続きブロックされる
提供先はClaude Platform(API)、AWS、Google Cloud、Microsoft Azure。
Claude Code ではデフォルトのHaikuに
Claude Codeは同日のv2.1.293でHaiku 5.5に対応した。
Added Claude Haiku 5.5 (
claude-haiku-5-5), now the default Haiku model on the Anthropic API — 1M context, $0.10/$0.50 per Mtok ($0.50/$2.50 for prompts over 100K)
Anthropic API経由で使っている場合、Haikuを指定していた箇所(/model haikuや、サブエージェントのmodel: haiku指定など)は自動でHaiku 5.5になる。2日後のv2.1.296では「Haiku 5.5など適応的思考(adaptive thinking)のみ受け付けるモデルのトークン数が、一部のゲートウェイで取得に失敗していた」問題が修正されている。この「適応的思考のみ」という性質が、次に書くAPI移行の落とし穴に直結する。
移行ガイドの破壊的変更
APIでHaiku 4.5を使っているコードをHaiku 5.5に移す場合、公式の移行ガイドにチェックリストがある。
Haiku 4.5から移る場合に影響が大きいものを抜き出す。
| 変更点 | Haiku 4.5 | Haiku 5.5 |
|---|---|---|
| モデルID | claude-haiku-4-5-20251001 |
claude-haiku-5-5(日付サフィックスなし・エイリアスなし) |
| 思考の指定 | {"type": "enabled", "budget_tokens": N} |
{"type": "adaptive"} + output_config.effort。budget_tokens指定は400エラー
|
| 思考のデフォルト | OFF |
ON(thinking未指定でもthinkingブロックが返りうる) |
temperature / top_p / top_k
|
使える | 省略が前提。temperatureは1、top_pは0.99以外で400エラー、top_kは指定するだけで400 |
| assistant prefill | 思考OFFなら使える | 思考OFFでも400エラー。messagesはuserターンで終える |
| トークン数 | — | 同じテキストで約30%増 |
thinking の例は移行ガイドでこう書き換えるよう示されている。
{
"model": "claude-haiku-5-5",
"max_tokens": 16000,
"thinking": { "type": "adaptive" },
"output_config": { "effort": "medium" },
"messages": [{ "role": "user", "content": "..." }]
}
細かいが効いてくる点として、思考トークンはmax_tokensに含まれる。Haiku 4.5向けにmax_tokensを小さく絞っていると、thinkingブロックを出し切ったところでstop_reason: "max_tokens"になり、本文が1文字も返らないことがある。またthinkingブロックの中身はデフォルトで空(signatureのみ)になり、要約された思考が欲しければ"display": "summarized"を明示する。
なおClaude Codeを使っているなら、同梱の Claude API スキルに移行を任せられる。
/claude-api migrate this project to claude-haiku-5-5
モデルIDの置換に加えて、上記のパラメータ変更やprefillの置き換えを行い、手動確認が必要な項目をチェックリストで出してくれる。
自作ツールのコードで確認したら、そのまま壊れる書き方だった
ここからは個人開発の実例。自分用の株スクリーニングツール「RakuScan」では、毎日のスクリーニング結果をClaudeに渡して統合レポート(要約)を作らせる処理にHaiku 4.5を使っている。モデルIDは環境変数で切り替えられるようにしてあった。
def claude_model_daily() -> str:
return get("CLAUDE_MODEL_DAILY", "claude-haiku-4-5-20251001") or "claude-haiku-4-5-20251001"
設計上はCLAUDE_MODEL_DAILY=claude-haiku-5-5と書き換えれば移行完了、のつもりだった。ところが呼び出し側のコードを移行ガイドと突き合わせると、こうなっている。
response = client.messages.create(
model=cfg.claude_model_daily(),
max_tokens=8192,
system=[
{
"type": "text",
"text": skill_content,
"cache_control": {"type": "ephemeral"},
}
],
messages=[{"role": "user", "content": slim_json}],
)
analysis = response.content[0].text.strip() if response.content else ""
temperatureもprefillも使っていないので400エラーにはならない。問題は最後の行で、response.content[0]を回答本文だと決め打ちしている。Haiku 4.5は思考がデフォルトOFFだったので先頭は必ずtextブロックだったが、Haiku 5.5はthinkingを指定しなくても適応的思考が動き、先頭にthinkingブロックが来うる。Python SDKのThinkingBlockには.text属性がないので、ここでAttributeErrorになる。
しかもこの関数のexcept節はanthropic.APIConnectionErrorやanthropic.APIStatusErrorなどSDKの例外しか拾っていない。AttributeErrorは素通りする。さらに呼び出し元の日次バッチ側も、この関数の呼び出しをtryで囲んでいない。Claudeの分析が失敗(None)したときは従来形式の通知にフォールバックする作りにしてあったのに、例外で抜けるとそのフォールバックも、後続の処理も走らない。環境変数を差し替えた翌朝に、通知が来ないことで初めて気づくパターンだ。
移行ガイドのチェックリスト4番目がまさにこれで、「先頭のcontentブロックを回答として読んでいるなら、typeで選ぶように変える」と書かれている。直すならこうなる。
analysis = "".join(
block.text for block in response.content if block.type == "text"
).strip()
あわせて、要約タスクに深い思考は不要なので、output_config={"effort": "low"}を付けて思考トークンを抑えるのが筋がよさそうだ。effortを下げると、単純なリクエストでは思考自体をスキップすることもあると移行ガイドに書かれている。
「モデルIDを設定値に逃がしておけば移行は楽」というのは、レスポンスの形が変わらない前提での話だった。Haiku 4.5→5.5は、思考のデフォルトが変わったことでレスポンスの形が実質的に変わる移行になっている。
まとめ
- Haiku 5.5は100K以下のプロンプトで入力$0.10 / 出力$0.50 per MTok。Haiku 4.5の10分の1、Sonnet 5.5の20分の1で、ベンチマークはHaiku 4.5から大幅に伸びた
- 同日にSonnet 5.5のキャッシュ読み取りも$0.10に半額化。Haikuを使わない人にも効く
- 新トークナイザで同じテキストが約30%多いトークンになるので、単価だけでコストを見積もらない
- API移行の本丸は適応的思考がデフォルトONになったこと。
content[0].textで先頭ブロックを読んでいるコードは、400エラーすら出ずに後段で落ちる。移行前にtypeでブロックを選ぶ書き方になっているか確認したい
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https://sakutto-panda.com
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