3行まとめ
- 2026年9月28日、AnthropicがClaude Sonnet 5.5をリリース。モデルIDは
claude-sonnet-5-5。単価はSonnet 5と同じ**$2/$10 per MTokのまま、30%以上の高速化とタスクあたり最大30%のコスト減**を実現した - Terminal-Bench 4.0が10.3%→70.6%、CursorBench 4.0が34.1%→55.5%など、コーディング・エージェント系ベンチマークで大幅にスコアが伸びた。初めてスクリーンショットのみでポケモンレッドをクリアしたSonnetモデルでもある
- Claude Codeはv2.1.284でSonnet 5.5をデフォルトのSonnetモデルに設定。ただし6日前のv2.1.280でPro・Team StandardプランのデフォルトはSonnetからOpusに切り替わっており、Sonnet 5.5は「明示的にSonnetを選んだ場合」のモデルという位置づけになっている
2026年9月28日、Anthropicが Claude Sonnet 5.5 を公開した。
前回記事で書いた通り、Sonnet 5の導入価格「$2/$10 per MTok」は2026年8月10日に恒久価格として確定していた。今回のSonnet 5.5はこの単価をそのまま維持しつつ、性能面の底上げで実質的なコスト効率を上げてきたリリースになる。
単価据え置き、でも実コストは下がる
価格体系はSonnet 5と完全に同じ。
| 項目 | 価格 |
|---|---|
| 入力トークン | $2 / MTok |
| 出力トークン | $10 / MTok |
| キャッシュ読み取り | $0.20 / MTok |
| キャッシュ書き込み | $2.50 / MTok |
トークン単価は変わらないが、公式の説明では出力生成が30%以上高速化し、「同じタスクをより少ないトークンで、より速く終える」ことでタスクあたりのコストが最大30%減るとしている。Sonnet 5の記事で書いた「新トークナイザで同じテキストが約30%多くトークンを消費する」問題は解決したわけではなく、その上で処理効率を上げてトータルのコストを削った格好になる。単価表だけを見ていると変化に気づけないので、実際のワークロードでトークン消費量を測り直す価値がある。
ベンチマーク:コーディング・エージェント系が大幅上昇
公式発表のベンチマーク比較表(抜粋)。
| Benchmark | Sonnet 5.5 | Sonnet 5 |
|---|---|---|
| Terminal-Bench 4.0 | 70.6% | 10.3% |
| FrontierCode 1.1 (Main) | 46.2% | 42.4% |
| CursorBench 4.0 | 55.5% | 34.1% |
| GDPval-AA v2.1 | 1844 | 1449 |
| AA-Briefcase v1.1 | 1811 | 1359 |
| Humanity's Last Exam(with tools) | 64.5% | 54.9% |
| OSWorld 2.1(partial) | 80.1% | 57.0% |
| Chartography(no tools) | 61.6% | 15.6% |
Terminal-Bench 4.0の伸び幅(10.3%→70.6%)が突出している。ターミナル操作を伴う自律的なタスク実行の精度が、この数ヶ月のSonnet系で最も改善したポイントということになる。公式ブログでは「スクリーンショットのみを頼りにポケモンレッドをクリアした初のSonnetモデル」という定性的なアピールもしており、画像理解と長期的な計画立案の組み合わせを強調している。
安全性まわり:蒸留対策がSonnetにも降りてきた
Sonnet 5.5には、9月22日にリリースされたOpus 5.5と同系統の安全機構が入っている。
- サイバーセキュリティ: 高リスクなサイバー関連タスクはSonnet 5にフォールバックする設計。Cyber Verification Programに申請すると高度な機能にアクセスできる
- 生物学関連: Sonnet 5と同じセーフガードを維持。ルーティン業務への影響はない
- 蒸留対策: Sonnetモデルとして初めて、推論過程の抽出を防ぐ安全性分類器を搭載。「preserved thinking」機能を拡張し、思考プロセスを生成したアカウント以外からは参照できないようにした
- アライメント評価: 約1,850シナリオの自動行動監査で、Sonnet 5と同等以上の結果
「上位モデル(Opus/Fable)で先に実装したセーフガードを、時間差でSonnetティアに展開する」という流れは、Sonnet 5リリース時に書いたサイバーセキュリティ・セーフガードの導入パターンと同じで、今回は蒸留対策がその対象になった。
Claude Codeでの扱い:デフォルトはOpusに、Sonnetは「明示選択」の位置に
ここが個人開発者にとって一番実務に効く変更になりそうだ。
Claude Codeの changelog を確認すると、Sonnet 5.5自体はv2.1.284(9月28日)でデフォルトのSonnetモデルに設定された。だが、それに先立つv2.1.280(9月22日)でこういう変更が入っている。
Changed the default model on Pro and Team Standard plans from Sonnet to Opus, matching Max, Team Premium, and Enterprise
つまりPro・Team StandardプランのデフォルトモデルがSonnetからOpusに切り替わった。これまでMax/Team Premium/Enterpriseだけだった「デフォルトOpus」が、無印Proプランにまで広がったことになる。v2.1.280で同時にリリースされたOpus 5.5(claude-opus-5-5、1Mコンテキスト、$4/$20 per MTok)が、事実上すべてのプランで標準の顔になった格好だ。
Sonnet 5.5は性能・コストともに正常進化しているが、Claude Code上では「デフォルトで使われるモデル」ではなく「/modelで明示的に選んだ人が使うモデル」という位置づけに変わった点は覚えておきたい。しばらく「最近Sonnetを使っていたはずなのにOpusの挙動になっている」と感じたら、まずプランとデフォルトモデルの変更を疑うとよさそうだ。
なお新しくリリースされたモデルは、以前保存していた/effort(思考の労力レベル)の設定を引き継がない。Opus 5.5・Sonnet 5.5に切り替えた直後は、明示的に/effortを選び直す必要がある。
提供プラットフォーム
Claude.ai、Claude Platform(APIモデルID: claude-sonnet-5-5)に加えて、Amazon Web Services・Google Cloud・Microsoft Azureで同日利用可能になっている。
まとめ
Sonnet 5.5は「単価は変えずに効率を上げる」という、8月の価格恒久化記事からの流れを汲んだ順当なアップデートに見える。一方でClaude Code全体で見ると、今回の本当の主役はSonnet 5.5というよりOpus 5.5で、ProプランのデフォルトがOpusになったという変更のほうが日常的な体感に効いてくる。しばらくは、意図せずOpusで動いてコストが跳ねていないか、/modelと使用量を確認しておきたい。
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