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CML2を使いこなす。(その8:WAN Emulator)

Last updated at Posted at 2021-06-20

はじめに

ローカル環境やCMLを使用した試験では、あまり遅延が無い状態で行うこととなりますが、実際のネットワークは距離や回線品質によりパケットが欠けたり、遅延があったり様々となります。

CML2ではそのような回線遅延を再現できるWAN Emulatorがデフォルトで実装されているので、今回はWAN Emulatorを試してみようと思います。

WAN Emulatorの設定

WAN Emulatorは機器間の通信で疑似的に遅延を発生させる機器であるため、機器の間に配置して使用します。

WAN Emulatorを操作するためには、ルータ等の操作と同様、コンソールでログインして操作を行います。

設定方法としては簡単で、ログインすると以下の様なプロファイル選択画面が表示されるため、テストしようとしている環境に近いプロファイルを選択して、通信を発生させるだけになります。

capture_11062021_074805.jpg

画面左下に表示されている値は左からLatency(遅延時間)、Bandwidth(帯域幅)、Loss(パケットロス率)となっており、プロファイルの値を任意の値に変更することも可能です。

また、画面左下の値には表示されていませんが、Main Menu画面の以下Port SettingsよりJitter(ゆらぎ)も設定することができ、デフォルトではすべて0ms(ゆらぎ無し)となっております。

capture_12062021_120640.jpg

以下各プロファイルのデフォルト設定。

No. プロファイル名 Latency Bandwidth Loss Jitter
0 GPRS (good) 500ms 50kbit 2% 0ms
1 EDGE (good) 300ms 250kbit 1.5% 0ms
2 3G/HSDPA (good) 250ms 750kbit 1.5% 0ms
3 Dial-up (good) 185ms 40kbit 2% 0ms
4 DSL (poor) 70ms 2000kbit 2% 0ms
5 DSL (good) 40ms 8000kbit 0.5% 0ms
6 WIFI (good) 40ms 30000kbit 0.2% 0ms
7 Satellite 1500ms 1mbit 0.2% 0ms
8 WAN (limited) 80ms 256kbit 0% 0ms
9 WAN (unlimited) 80ms 100mbit 0% 0ms

WAN Emulatorのメニュー構成

コンソールから操作できるWAN Emulatorのメニュー画面は以下の様な画面構成となっております。

capture_12062021_120532.jpg

No. メニュー 説明
1 Select Profile 上述のプロファイル選択画面
2 Port Settings プロファイルの各種値を変更する
3 Current Settings 現在の設定をtcコマンドの形式で確認できる
4 iptraf iptrafによるトラフィック表示
5 Shell WAN EmulatorのOS操作

WAN EmulatorAlpine Linuxtrコマンドによるトラフィック制御とiptrafコマンドによるトラフィック表示機能を実装したノードとなっています。

そのため、trコマンド、iptrafコマンドの扱いを知っていれば、メニュー画面から設定できること以上の設定なども可能です。

例えば、メニュー画面からだとiptrafは基本の統計情報しか表示できませんが、Shellからシェルを起動し、以下の様にコマンドを実行すれば各インタフェースの詳細な統計情報も表示させることが可能となっています。

個別にiptrafを実行
iptraf-ng

WAN Emulatorを使用した遅延確認

WAN Emulatorによる遅延を確認するため、以下の様にルータ2台を接続し、一方はルータ間直接、もう一方は間にWAN Emulatorを挟んだ構成としてみます。

capture_12062021_123428.jpg

WAN Emulatorの設定プロファイルはGPRSにしてルータ間でそれぞれPingを実行してみた結果が以下となります。

ルータ間直結の構成の場合
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.0.2, timeout is 2 seconds:
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 2/2/3 ms
間にWAN_Emulatorを挟んだ構成の場合
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 10.0.0.2, timeout is 2 seconds:
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 1003/1003/1004 ms

WAN Emulatorを挟んだ構成のほうが明らかに応答時間がかかっているのが確認できるかと思います。

また、GPRSLatencyは500msなのに1000ms程度で表示されているのはパケットの往復分となるので、遅延を設定する際には注意しましょう。

おわりに

中々WAN Emulatorを使う機会は少ないかもしれませんが、数千キロ離れた拠点間や全国からの通信を想定したネットワークをテストする際に役立つものとなります。

WAN Emulatorの操作自体は簡単なので、何かの機会に使えるよう頭の片隅にしまっておけばどこかで役に立つかもしれません。

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