はじめに
AWS の見積もりを作る方法はいくつかありますよね。
AWS 公式から出ている AWS Pricing MCP Server(awslabs 公式)はすごく便利ですが、AWS Pricing Calculator のURLを出してくれないから外部に正式に提示する見積もりには使えないという点がネックに感じている人が多いと思います。
AWS Pricing Calculator を使う場合は、普通に手動でサービスを選択していく方法やChromeを Claude(Cowork や Chrome DevTools MCPなど)に操作させて作らせるやり方があるかと思います。
いずれにしても、AWS Pricing Calculator で見積もりを用意するのは地味に手間がかかる作業です。(手作業でポチポチやるのキライ)
そこで紹介したいのが、「AWS Pricing Calculator MCP」(aws-samples)という AWS Pricing Calculator のURL発行まで自動化させられるMCP Serverです。
ClaudeCode から AWS Pricing Calculator MCP を使ってみたので紹介します。
AWS Pricing Calculator MCP とは
一言で
自然言語を使用してAWS料金計算ツール(calculator.aws)の見積もりをプログラムで作成、読み取り、更新するモデルコンテキストプロトコル(MCP)サーバーで、共有 URL も発行できる。
主な機能
aws-sample の公式GitHubでは以下のように紹介されています。見積もりの作成だけでなく、インポートや更新などもできるのはいいですね!
- 見積もりの作成:AWS Calculator CDNからのライブサービス定義を介してすべてのAWSサービスをサポートします
- 見積もりのインポート:既存の見積もりをURL/IDでJSON形式(AWSリージョンの入れ替えなどの変更用)またはMarkdown形式(LLM分析用)でダウンロードします。
- バッチ処理:LLMによる解析を介してExcel/CSVファイルから見積書を作成する
- AWS認証情報は不要:AWSアカウントへのアクセスがなくても動作します
他のCost関連のMCPサーバーとの違い
aws-sample の公式 GitHub に、コスト関連の他の公式 MCP サーバーとの比較表があったので、日本語にして引用します。
AWS Pricing Calculator で共有URLを発行する必要があるなら Pricing Calculator MCP、今かかっている費用の分析・最適化なら Billing & Cost Management MCP、細かい単価の調査や AWS Pricing Calculator の共有URLがいらないなら Pricing MCP、という使い分けだと思っています。
| 項目 | AWS Pricing Calculator MCP(本記事) | AWS Billing & Cost Management MCP | AWS Pricing MCP |
|---|---|---|---|
| 目的 | 新しいワークロード向けに共有できる見積もりを作る | 過去の支出を分析し、既存コストを最適化する | Price List API からリアルタイムの料金データを取得する |
| データソース | AWS Pricing Calculator(calculator.aws) | Cost Explorer、Cost Optimization Hub、Compute Optimizer、Savings Plans、Budgets、Storage Lens | AWS Price List Bulk API |
| 出力 | 見積もり一式が入った calculator.aws の共有 URL | 自然言語によるコスト分析と節約の提案 | 生の料金データ、コストレポート(Markdown / CSV) |
| ユースケース | 「この新しい構成はいくらかかる?」 | 「今どこで使いすぎている?」 | 「X の単価はいくら?」 |
| 対象範囲 | これから(将来)の見積もり | 過去・現在の支出 | 現在のカタログ料金 |
| AWS 認証情報 | 不要(公開の calculator API を利用) | 必要(請求データを読む) | 必要(pricing:* 権限) |
使ってみる
セットアップ
ClaudeCode の場合、.mcp.json に npx で登録するだけです。以下コピペで動きます。
{
"mcpServers": {
"aws-pricing-calculator": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "sample-aws-pricing-calculator-mcp@latest"]
}
}
}
実際に使ってみる
WordPress 構成(EC2 / RDS / ALB / S3、東京リージョン)を題材に見積もり作成を依頼してみます。
ClaudeCodeへの指示文
AWS Pricing Calculator MCP で、WordPress 環境の月額見積もりを作ってください。構成は以下の4つです。
- EC2: t3.large 2台、Linux、オンデマンド、EBS gp3 30GB
- RDS for MySQL: db.t3.large、Multi-AZ、gp3 100GB
- ALB: 1台(中規模トラフィック想定)
- S3 標準: 100GB 保存
- 東京リージョン
AWS Pricing Calculator MCP を使って見積もりを作成してくれます。
やることは、作りたい構成を自然言語で伝えるだけです。あとは MCP が見積もりを組み立てて、calculator.aws の共有 URL を発行してくれました。Claude Code がまとめてくれた結果がこちらです。
発行された共有 URL を開くと、calculator.aws 上で月額 545.33 USD(前払い 0、12 か月で 6,543.96 USD)と表示されました。
ちなみに内部の動きとしては、search_services でサービスのキーを探し、get_service_fields で入力項目を取得、create_estimate で空の見積もりを作成、add_service で4サービスをまとめて追加、export_estimate で共有 URL を発行、という順でツールを呼んでいるようです。
使ってみた感想
セットアップが手軽なのは良かったです。.mcp.json に数行書くだけで動きました。
指示した構成をすべて見積もりに反映して算出してくれたのも良かったです。
これまでは Chrome DevTools MCP などを使って見積もりを作っていましたが、ブラウザ操作に時間がかかっていました。
その点はこの AWS Pricing Calculator MCP だとそこまで時間をかけずに作れるのが結構良いなと感じました。
気になった点と改善ポイント
使っていて気になったのは、どのツールをどう使えばいいのかをClaude側がたまにうまく認識してくれないことがある点です。
対応としては、Skillやワークフローを用意して進め方を事前に用意してあげるのが必要だと感じました。
あと、詳細な要件まで指定しないとClaude 側が「たぶんこういう設定だろう」と推測で値を埋めてしまうこともありました(これはCLAUDE.mdなどで制御可能かとは思いますが)。たとえば ALB のトラフィック量(LCU の前提になる数値)などは、指定がないとClaude側で自動で決められてしまいました。ここも、事前に「こういう設定にする」「指定がなければこのデフォルトで作る」といったルールを定義しておくと安心だと感じました。
その他には、最終的な合計金額が URL を開かないと見られない点です。AWS Pricing Calculator MCP では金額までは取れず、どのような構成で見積もりを作成したかまでしか返ってきません。そこだけは少し面倒で、今後の改善ポイントだと感じました。金額まで確認したい場合は、Claude に Chrome 操作系のツールを渡してブラウザを開いてもらうか、人間が目で見る、といった対応が必要です。
ただ、便利なMCPであることに変わりはないのでこれからどんどん使っていきたいと感じました!
スキルを用意して使ってみる
気になった点で挙げた対策として、AWS Pricing Calculator の見積もり作成用のSkillを作って使ってみました。「曖昧な値は推測で埋めず、必ず AskUserQuestion で確認してから作る」「ツールの呼び出し順」などをSkillに定義してあります。
実際に使った SKILL.md(クリックで展開)
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name: aws-pricing-calculator-estimates
description: Use when building, editing, or exporting an AWS cost estimate through the AWS Pricing Calculator MCP (sample-aws-pricing-calculator-mcp, calculator.aws shareable URLs).
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# AWS Pricing Calculator MCP で見積もりを作る
## 概要
AWS Pricing Calculator MCP(aws-samples / calculator.aws)で見積もりを組み、共有 URL を発行するための手順。**不明・曖昧な入力値は推測で埋めず、必ず確認してから**見積もりを作るのが最重要ルール。
## 鉄則:曖昧な値は推測で埋めない
構成の指定に不足や曖昧さがあるときは、見積もりを作る前に必ずユーザーに確認して確定させる。「たぶんこうだろう」やデフォルトで勝手に埋めない。値が確定するまで create_estimate 以降に進まない。
確認するときは AskUserQuestion ツールを使い、候補を選択肢として提示して選んでもらう(自由入力も受け付ける)。複数の不明点はまとめて確認してよい。回答が出そろってから作成に進む。
指定がなければ確認すべき値の例:
- リージョン
- EC2 — OS、テナンシー、料金モデル(オンデマンド / RI / Savings Plans)、台数、EBS の種別・容量
- RDS — デプロイ(Single-AZ / Multi-AZ)、インスタンスクラス、ストレージ種別・容量、料金モデル、稼働率
- ALB — トラフィック前提(新規接続数/秒、平均接続時間、リクエスト数/秒、処理データ量、ルール評価数)。これらが LCU を左右し金額が大きく変わるため、特に勝手に決めない
- S3 — ストレージ量、リクエスト数、データ転送を計上するか
- データ転送(egress)やバックアップなどを見積もりに含めるか
## ツールの呼び出し順
1. search_services — サービスのキーを探す。完全一致ではなく関連語で広めに返るので、複合語で1回投げるより、単語をカンマ区切りで複数渡すほうが目的のサービスを拾いやすい
2. get_service_fields — 各サービスの入力フィールド定義を取得(バージョン付きの重複フィールドは常に最高バージョンを使う)
3. create_estimate — 空の見積もりを作成(estimate ID が返る)
4. add_service — 複数サービスを1回でまとめて追加(services は JSON 配列)。既定ではグループ分けしない(group を付けず、フラットな見積もりにする)。グループ分けはユーザーが明示的に求めたときだけ行う
5. export_estimate — calculator.aws の共有 URL を発行
既存の見積もりを読むときは import_estimate(json / markdown)。複合フィールドの中身まで確認したいときは json を使う(理由は「よくある間違い」を参照)。
## 値の渡し方(add_service)
- numericInput: 文字列(例 "100")
- fileSize: {value, unit}、unit は "gb|NA" などの "{size}|{frequency}" 形式
- dropdown: get_service_fields が返すオプション ID の文字列
- frequency / durationInput: {value, unit}
- EC2 は quantity / instanceType / selectedOS / tenancy / pricingStrategy / storageType / storageAmount を config に直接書く
## 金額の扱い(重要)
export_estimate / import_estimate が返すのは構成だけで、計算済みの合計金額は返らない。金額は共有 URL を開いて calculator.aws の画面で確認する。なお、開いた直後はサービス行が 0.00 USD と表示されることがあるが、これは per-row の計算が描画されきっていない読み込み遅延。リロードすると正しい行の値が出る(例: ELB 46.94、S3 2.50)。合計(Estimate summary)は最初から正しい。
## よくある間違い
- 曖昧な指定のまま ALB の LCU などを勝手に決めて作る → 必ず AskUserQuestion で前提を確認してから作る
- サービス行が 0.00 でも「無料」と誤解しない → 多くは読み込み遅延。リロードすれば正しい行の値が出る(合計は最初から正しい)
- import_estimate の戻り値に金額が無いのを「失敗」と誤解する → 仕様。金額は URL を開いて確認する
- import_estimate を markdown で見たとき、複合フィールドが pricingStrategy (undefined) や columnFormIPM ([object Object]) と崩れて表示される → 表示が崩れているだけで保存は失敗していない。本当の中身は json 形式で確認する
大枠だけ伝えて見積もりを依頼すると、まずスキルを読み込み、足りない前提を AskUserQuestion で順番に確認してくれました。リージョンや構成、インスタンスタイプ、RDS のデプロイ、料金モデル、そして勝手に決められがちだった ALB のトラフィック量まで、ひとつずつ聞いてから進めてくれます。
前提が出そろってから最終構成を整理して、見積もりの作成に進んでくれました。推測で埋めずに確認してくれるので、結構いい感じに作成してくれました。
今後やってみたいこと
Amazon Bedrock AgentCore を使ってエンジニア以外のメンバーでも簡単に見積もりを作れるような環境を作りたいです。
まとめ
AWS Pricing Calculator MCP を使うと、構成を伝えるだけで calculator.aws の見積もり URL まで自動で作れました。セットアップも簡単で、手作業のポチポチや Chrome 操作より手早く、提案用のたたき台づくりには十分使えます。
注意点は、合計金額が MCP のレスポンスには含まれず URL を開いて確認する必要があること、そして指定が曖昧だと値を推測で埋められがちなことです。後者は専用の Skill を用意して「曖昧なら必ず確認してから作る」と決めておくと、かなり安定しました。
見積もり作成に時間を取られている人は、一度試してみる価値があると思います。ぜひ使ってみてください!





