この記事は100%人力で書いています。
忘れもしない、しばらく前のこと。
とあるITコミュニティに、同僚の営業職が参加した。
私は営業職ながら、そのコミュニティや、コミュニティにいる方々を良く知っている。
そのため、善意で色んな人を繋ごうと、紹介しようとした。
「この方はAIに詳しいですよ」
「この方は地方のコミュニティを盛り上げている凄い方ですよ」
ただ、どうもその営業職の様子がおかしい。
「どうしたんですか?」
「…」
「この方々って決裁権ないですよね」
私は言葉を失った。
驚き、恥ずかしさ、怒り、呆れ。
それ以来、この人にコミュニティの話をしたことはない。
「No sell」とは?
そもそも「No sell」とは何なのか。
「No sell」とは、コミュニティにおいて露骨な営業活動をしてはいけないというコンセプトである。
「露骨なリクルーティングはやめようね」の「no job」と併せて語られることが多い。
AWSのユーザーグループであるJAWS-UGにも、その旨が明記されている。
おそらく、(明文化されているかはさておき)他の多くのITコミュニティでも同様の文化を持っていると感じている。
そして、かの決裁権の質問をした営業は、この点を理解していなかったものだと推察する。
なぜ「No sell」が大事なのか
それでは、なぜ「No sell」が大事なのか。
これは、コミュニティそのものが成り立たなくリスクにあると、私は考える。
- 参加者が安心して話せなくなる
- 参加者の不満足に繋がる
- 中立性が崩れる
もちろん、スポンサー枠は存在する場合があり、自社の紹介や事例紹介を行うことは多々ある。
ただ、売り込みが主な目的になってしまうと、立場や組織を越えてフラットに学び合うコミュニティの前提が崩れ、人が来なくなり、衰退することに繋がってしまう。
営業職こそ「No sell」を徹底しよう
営業職である私だから言えることだが、コミュニティにおける営業職は比較的少ない。
少ないが故に、ヘンなことをすると目立つ。
ヘンなことをすると、営業職そのものの評判にまで影響が及ぶかも知れない。
「営業職の参加はご遠慮ください」
冗談抜きに、こうなってしまうリスクすら考えられる。
マイノリティであるからこそ、信頼を勝ち得るため、他の営業職が気持ちよくコミュニティで活動できるよう、襟を正して「No sell」を徹底するのが大切だ。
では営業職にとってのメリットは何か?
「では、営業職が参加するメリットはないのでは?」
こう書くと、果たしてメリットは何かと問う声が飛ぶであろう。
正直に言うと、私は人によりけりだと思う。
営業職が必ずしもITコミュニティに行く必要はない。
ただ、以下のようなメリットが考えられる。
- 机の上で勉強せずとも、楽しくITの知識やトレンドを学べる
- 世に出回っていない情報を仕入れられ、提案における説得力が増す
- 普通に営業活動をしても会えないような大物とフラットに会える可能性がある
- こっそり相談で案件発生の可能性がある
実際、私の営業成績や社外人脈は、コミュニティによって築かれたものだ。
特に社外人脈の99%は、コミュニティ由来と言っても過言ではない。
よく「どこでそんな人脈を築いたんですか」と社内で聞かれるが、これはひとえにコミュニティ活動によるものだ。
そして、逆説的だが、これは私が人一倍「No sell」に敏感で、徹底しているからこそ得られた信頼に基づくものだと考える。
ITのことが好きで、ITに関わる業界にいて、人脈もコネもセンスもない…(←これは私のことだ…)
そして、人とワイワイするのが嫌いじゃない…(←同上)
そんな営業であれば、コミュニティが思わぬ飛び道具になり得ると、私は確信している。
コミュニティ内での露骨な営業活動は避けるべきですが、コミュニティで仲良くなった人から直接お仕事の相談が来ることは時折あります。コミュニティがキッカケですが、コミュニティ外での活動につき、(礼儀や礼節をもって接する限り)私は何の問題もないと考えています。
「決裁者は誰か」と常に考えるのは不健全だ
そもそもだが、仕事以外の場でも「決裁者は誰だ」とばかり考えるのは不健全だと思うのは、私だけだろうか。
営業シーンでは、とかく決裁者をおさえること、決裁者に影響を与える人(Championと定義されることがある)をおさえることが大事と説かれる。
特に、MEDDIC(メディック)に代表される営業フレームワークを採用している営業組織であれば尚更だ。
そのため、気持ちはワカランでもないが…。
コミュニティの場くらい、その色眼鏡を外そうではないか、と私は考える。
友人や家族ですら営業対象とする、切羽詰まった保険営業マンやマルチの人たちのように、なってはいけない。
それは、コミュニティに参加する人たちに対し、あまりに失礼な、人間らしくない行動だと思う。
ルールを守って楽しく有意義なコミュニティライフを
色々と書いたが、営業職は「No sell」を遵守さえすれば、コミュニティで歓迎される。
営業職だからコミュニティはハードルがある?
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
ただ、私は2024年からコミュニティに参加しているが、コミュニティは驚くほど営業職を歓迎してくれる。
何なら、珍しい故、エンジニアより大歓迎されることが多々あった。
再度書く。
私のように…
- ITのことが好きで、ITに関わる業界にいて、人脈もコネもセンスもない…
- そして、人とワイワイするのが嫌いじゃない…
そんな営業であれば、コミュニティが思わぬ飛び道具になり得ると、私は確信している。
1人でも多くの営業職が、コミュニティを適切にエンジョイし、コミュニティから様々なメリットを享受することを、私は心の底から望んでいる。
オマケ:営業職にオススメのコミュニティ・イベント
最後にオマケだが、営業職にオススメのコミュニティやイベントを、いくつか並べておく。
①JAWS-UG初心者支部
AWSユーザーグループのうち、初心者を対象としたものである。
私自身、この支部が実施するイベントから、コミュニティへの関わりが始まった。
②JAWS-UG 彩の国埼玉支部
埼玉周辺でイベントを実施するAWSユーザーグループ。
毎回参加者が多く、それでいて「誰でもウェルカム感」が特に強い。
③JAWS-UG Sales
手前みそで恐縮だが、私が2025年から運営を務めるコミュニティである。
運営4名は全員、コミュニティを愛する現役のセールスパーソンである。
営業視点をもった独自イベントを定期的に実施している。
④なんでもCopilot
こちらも手前みそで恐縮だが、私が運営を務めるコミュニティである。
その名の通り、Copilotに関することであれば「なんでも」、興味が少しでもある方は「どなたでも」歓迎のコミュニティである。
⑤Backlog World
コミュニティではなく年次カンファレンスだが、大きく刺激を受けたため、紹介する。
プロジェクト管理ツールの「Backlog」のユーザーグループであるJBUGが主催するもので、プロジェクト進行や仕事の進め方など、大きな示唆を得られる。
最後に
この記事は「人が書きましたカレンダーAdvent Calendar 2026」のシリーズ2、5日目の記事である。
先走って記事を書いてしまったが、どうか許してほしい。