はじめに
自分のAWSアカウントでハンズオン学習をするとき、最初に不安になるのが料金です。
EC2を止める、不要なリソースを削除する、という対策はもちろん必要です。
ただ、それだけだと 気づいたら無料枠を超えていた というケースを防ぎきれません。
この記事では、個人学習用のAWSアカウントで最初に入れておきたい料金通知を整理します。
EC2の自動停止そのものは別記事に分けたので、ここでは AWS Budgets、Free Tier、Cost Explorerの確認手順 に絞ります。
この記事で分かること
- AWS Budgetsで作るべき通知
- Free TierとCreditsで見るポイント
- 料金通知を過信してはいけない理由
- 学習後に翌日確認する場所
先に結論
個人学習用なら、まず次の4つを設定します。
| やること | 目的 |
|---|---|
| Free TierとCreditsを確認する | 自分のアカウントで何が無料枠・クレジット対象か見る |
| Zero spend budgetを作る | 少額でも課金が出たら気づく |
| 月額予算を作る | 5 USDや1,000円相当など、自分の上限を決める |
| 翌日にBillsまたはCost Explorerを見る | 通知より先に実績を自分で確認する |
AWS Budgetsの通知はリアルタイムではありません。
AWS公式ドキュメントでは、Budgets情報は最大で1日3回更新され、通知まで遅れが出ることがあります。
そのため、通知は最後の安全装置として扱い、リソース停止や削除の運用とセットで考えます。
前提
- 対象読者: 自分のAWSアカウントでEC2、VPC、RDSなどを学習する人
- 使う環境: AWSマネジメントコンソール、必要に応じてAWS CLI
- 仕様確認日: 2026-08-05
- 扱う範囲: 個人学習用の料金通知と確認手順
- 扱わない範囲: 企業の本番AWSアカウント、Organizations一括請求、厳密な料金見積もり
この記事では具体的な料金単価を固定して書きません。
AWSの料金、無料枠、画面名は変わる可能性があるため、実際の作業ではAWS公式ドキュメントと自分の請求画面を正としてください。
特にFree Tierは、AWSアカウントを作った日付やプランによって見え方が変わります。
そのため、この記事では「85%通知があるから安心」と決めつけず、Free Tier、Credits、Budgets、Bills、Cost Explorerを組み合わせて確認します。
用語の短い説明
| 用語 | 短い説明 |
|---|---|
| AWS Budgets | AWS利用料金や使用量に対して予算を設定し、しきい値を超えそうなときに通知する機能 |
| Free Tier | AWSの無料利用枠。アカウント作成時期やプランによって扱いが変わる |
| Credits | AWSアカウントに付与されるクレジット。残高や期限を確認する |
| Cost Explorer | AWSの利用料金をサービス別、リージョン別、日別などで確認する画面 |
| Bills | 請求の明細。どのサービスで料金が出ているかを見る場所 |
アカウント作成時期でFree Tierの見方が変わる
まず、自分のAWSアカウントがどの前提に近いかを確認します。
| アカウントの前提 | 見るポイント |
|---|---|
| 2025年7月15日より前に作成 | 12か月無料枠、Free Trials、Always Freeの利用状況 |
| 2025年7月15日以降に作成 | Free account plan / Paid account plan、クレジット残高、期限、残り日数 |
| AWS Organizations配下 | 管理アカウントや請求転送の設定で、見える情報が変わることがある |
AWS公式ドキュメントでは、2025年7月15日以降に作成したアカウントはプランによってFree Tierの扱いが変わると説明されています。
また、2025年7月15日より前に作成したアカウントでは、従来の12か月無料枠が関係する場合があります。
2025年7月15日以降に作成したアカウントでは、Free account planの期限やクレジット残高を見ます。
クレジットを使い切った場合や無料期間が終わった場合は、通常の従量課金へ切り替わる前提で確認します。
Always Freeの対象は残る場合がありますが、すべての学習リソースがAlways Freeになるわけではありません。
この記事では個人学習用の単独AWSアカウントを前提にしています。
会社アカウントやOrganizations配下では、請求画面や通知の見え方が違うことがあります。
まずFree TierとCreditsを確認する
AWSコンソールで次を開きます。
Billing and Cost Management
-> Free Tier
ここでは次を見ます。
| 確認項目 | 見る理由 |
|---|---|
| 無料枠の対象サービス | 何が無料枠内かを知る |
| 今月の使用量 | どのサービスが上限に近いかを見る |
| アラートの送信先 | 自分が見るメールアドレスに届くか確認する |
2025年7月15日より前に作成したアカウントでは、Free Tier使用量アラートが無料枠の85%超過をメール通知する前提があります。
一方で、新しいFree Tierプランでは、クレジット残高、無料プランの期限、Always Free対象なども確認します。
通知先を確認する場合は、Billing preferencesも見ます。
Billing and Cost Management
-> Billing preferences
-> Alert preferences
ここでFree Tierアラートの受信設定とメールアドレスを確認します。
新しい無料プランやクレジットを使っている場合は、次も確認します。
Billing and Cost Management
-> Credits
確認するのは、クレジット残高と有効期限です。
無料枠やクレジットは、期限切れや残高消費後に通常の従量課金へ切り替わることがあります。
EC2作成画面で Free tier eligible と表示されていても、完全に0円とは限りません。
アカウント作成時期、無料枠の残り、ストレージ、パブリックIPv4、データ転送などの付帯リソースも見る必要があります。
Zero spend budgetを作る
次に、AWS Budgetsで少額課金に気づくための通知を作ります。
Billing and Cost Management
-> Budgets
-> Create budget
テンプレートが表示される場合は、 Zero spend budget を選びます。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| Budget name | zero-spend-alert |
| 通知先 | 自分が毎日見るメールアドレス |
| 目的 | 無料枠を外れて課金が発生したときに気づく |
Zero spend budgetは、個人学習ではかなり相性がいいです。
「今月は無料枠内で試すつもりだったのに、少額課金が出ていた」という状態に早めに気づけます。
ただし、Zero spend budgetは課金を自動的に止める仕組みではありません。
通知を受け取ったら、BillsやCost Explorerでサービス名とリージョンを見て、原因になっているリソースを止める、または削除します。
月額予算を作る
Zero spend budgetだけだと、少額課金が出たあとの上限管理が弱くなります。
そこで、もう1つ月額予算を作ります。
学習用なら、たとえば次のように決めます。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| Budget type | Cost budget |
| Period | Monthly |
| Budgeted amount | 5 USD、または1,000円相当など |
| Alert 1 | 実績50% |
| Alert 2 | 実績80% |
| Alert 3 | 実績100% |
| Alert 4 | 予測100% |
実績通知は、すでに使った金額に対する通知です。
予測通知は、このペースで使うと月末に超えそうかを知らせる通知です。
個人学習では、予測100%通知も入れておくと安心です。
たとえばNAT GatewayやALBを消し忘れたとき、実績100%より早く気づける可能性があります。
AWS CLIで予算を確認する
コンソールで作成したあと、AWS CLIでも確認できます。
# 現在のAWSアカウントIDを取得する
ACCOUNT_ID=$(aws sts get-caller-identity --query Account --output text)
# 作成済みのBudgetsを一覧で確認する
aws budgets describe-budgets \
--account-id "$ACCOUNT_ID" \
--query "Budgets[].{Name:BudgetName,Limit:BudgetLimit.Amount,Unit:BudgetLimit.Unit,TimeUnit:TimeUnit}" \
--output table
期待する結果は、作成した予算名が表示されることです。
----------------------------------------------
| DescribeBudgets |
+--------------------+-------+------+---------+
| Name | Limit | Unit |TimeUnit |
+--------------------+-------+------+---------+
| zero-spend-alert | 0.0 | USD | MONTHLY |
| monthly-study-cost | 5.0 | USD | MONTHLY |
+--------------------+-------+------+---------+
AWS CLIの実行には、Budgetsを参照できるIAM権限が必要です。
権限がない場合は、コンソール画面で確認すれば十分です。
Cost Explorerは反映タイミングに注意する
Cost Explorerは、サービス別、リージョン別、日別に料金を確認できる画面です。
ただし、初回有効化直後や当日分の料金はすぐに見えないことがあります。
AWS公式ドキュメントでは、Cost Explorerの当月データは初回サインアップ後およそ24時間で表示され、コストデータは少なくとも24時間に1回更新されると説明されています。
そのため、学習直後に0円に見えても、翌日にも確認します。
Cost Explorerのコンソール表示は無料で使えます。
一方で、Cost Explorer APIをプログラムから呼ぶ場合は、ページングされたAPIリクエストごとに課金されるため、この記事ではコンソール確認を基本にします。
学習後は翌日にBillsとCost Explorerを見る
学習が終わったら、当日だけで終わらせず翌日にもう一度確認します。
Billing and Cost Management
-> Bills
Billsでは、サービス別の料金を見ます。
意図しないサービス名が出ていたら、そのサービスのリージョンとリソースを確認します。
次にCost Explorerを開きます。
AWS Cost Management
-> Cost Explorer
Cost Explorerでは、次の切り口で見ます。
| 見方 | 目的 |
|---|---|
| Group by: Service | どのサービスで料金が出ているか |
| Group by: Region | どのリージョンにリソースが残っているか |
| Daily | いつから料金が出始めたか |
AWS公式ドキュメントでも、Free Tier後の不要リソース確認ではBillsやCost Explorerでサービスとリージョンを確認する流れが案内されています。
よくある見落とし
個人学習では、次のような見落としが起きやすいです。
| 見落とし | 起きること |
|---|---|
| EC2だけ止めて満足する | EBS、Elastic IP、ALB、NAT Gatewayなどが残る |
| 通知メールだけ見る | Budgetsの更新遅延で気づくのが遅れる |
| 東京リージョンだけ見る | 別リージョンに作ったリソースを見逃す |
| 無料枠対象だけ見て安心する | パブリックIPv4、ストレージ、データ転送などで料金が出ることがある |
個人学習用チェックリスト
- AWSアカウントの作成時期とFree Tierプランを確認した
- Free Tier画面を確認した
- Creditsの残高と期限を確認した
- Billing preferencesでFree Tierアラートの通知先を確認した
- Zero spend budgetを作った
- 月額予算を作った
- 実績50%、80%、100%通知を設定した
- 予測100%通知を設定した
- 通知先メールアドレスを確認した
- 学習後にBillsを確認した
- 翌日にCost Explorerを確認した
- 料金が出たサービス名とリージョンをメモした
試験で意識する観点
AWS Cloud PractitionerやSolutions Architect Associateの学習では、料金管理サービスの役割を分けて理解すると整理しやすいです。
| サービス | 試験での見方 |
|---|---|
| AWS Budgets | 予算、実績通知、予測通知 |
| Cost Explorer | 利用料金の可視化と分析 |
| Bills | 請求明細の確認 |
| Free Tier | 無料枠の使用量確認 |
「料金を事前に見積もる」のはAWS Pricing Calculator、「実際の利用状況を見る」のはCost Explorer、「しきい値で通知する」のはAWS Budgets、と分けると覚えやすいです。
関連記事
参考・確認先
- Tracking your AWS Free Tier usage
- Managing your costs with AWS Budgets
- Avoiding unexpected charges after Free Tier
- Analyzing your costs and usage with AWS Cost Explorer
- 仕様確認日: 2026-08-05
まとめ
- 個人学習用AWSアカウントでは、Zero spend budgetと月額予算を両方作る
- Free Tierはアカウント作成時期やプランで見方が変わるため、自分の請求画面を基準にする
- Budgets通知はリアルタイムではないため、停止や削除の代わりにはならない
- 学習後は翌日にBillsとCost Explorerで、サービス別、リージョン別に見る
おわりに
AWSの料金管理は、サービスを作る前に入れておくほど効きます。
Wealthy Designでは、クラウド構成、Webシステム、AI活用を小さく検証しながら進める開発に取り組んでいます。
会社の取り組みは、会社サイトにまとめています。
https://wealthy-design.com/