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屋内環境を手軽にモニタリングする~②Bluetooth LEアドバタイズ信号をJavaでキャッチする(Bluetooth LE / bluez-dbus)~

Last updated at Posted at 2019-09-04

はじめに

プラットフォームにJava / Raspberry Pi 3Bを選択しましたので、この環境で各種センサーと通信するJavaライブラリを探します。

まず最初に、Bluetooth LEについてです。ここ数年、BLE通信でセンサーデータを取得できるデバイスが出てきています。今回、メジャーどころのテキサス・インスツルメンツ社のSensorTag CC2650を選択しました。CC2650は、温度、湿度、照度、気圧、角速度、加速度、磁気を測定できる、5cm x 4cm程度のボタン電池駆動型のBLEデバイスです。

CC2650の使い方は、以下の流れになります。

  1. CC2650(ペリフェラル)の電源を入れて、アドバタイズ信号を発信
  2. セントラルは、アドバタイズ信号をキャッチして、CC2650に接続(CC2650はアドバタイズ信号を停止)
  3. セントラルは、BLE GATTプロファイルを用いて、CC2650からセンサーデータを取得する

なお、CC2650は、アドバタイズ信号を発信し始めて3分の間に、どこからも接続されないと自動的に電源を切ります。なので、接続に備えるには、再度、電源を入れる必要があります。今回、アドバタイズ信号をJavaでキャッチするにあたり、BLE通信に対応したJavaライブラリとして、bluez-dbusを採用しました。

以前、試験的に、CC2650からセンサーデータを取得するために、Javaでコードを書いたことがありました。その時は、bluez-dbusは未だ無く、他にJavaでBLE通信するためのライブラリとして、ちょうどIntel TinyBがリリースされた頃でした。ただ、リリース間もないTinyBは不安定で、当時、BLEのNotification機能も使えませんでした。何より、bluezが公開しているdbusのI/F定義ファイルをC/C++のコードに自動変換して(1万行を超えるコードが自動生成)、これに更に手を入れてTinyBは作成されており、メンテナンス性はとても低そうに感じました。

BLEをdbus I/Fで使用する場合、dbus自体はUNIXドメインソケットの上で定義されているので、本質的には、このUNIXドメインソケットの部分だけがJNIで書かれ、その上で定義されるbluez用のdbusプロトコルは、このJNIを呼び出す形で実装するのがシンプルなのに、と思っていました。

当時は、仕方なくbluezの各種コマンドを常駐プロセスとして連携させるJavaのコードを書いて、凌いだことがあります。複雑なアーキテクチャで、ダサイなあと思いました。当時のコードは忘れましたが、このダサイ印象だけは今も残っています。

あれから月日は流れ、今では、BLEに対応したbluez-dbusなるライブラリが公開されています。Githubに書かれた開発者の動機を読むと、わたしが思ったのと同じようです。(まあ、そう思いますよね・・・)

そこで、今回はプライベートで、bluez-dbusを採用したシンプルなアーキテクチャでコードを書きました。前置きが長くなりましたが、本文は短いです。基本的に、Githubに書いた内容そのままです。詳細はコードを参照して下さい。

OSインストール

Raspberry Pi 3BのOSには、Raspbian Buster Lite OS (2019-07-10)を使用しています。このOSには、bluez-dbusが対応しているBlueZ 5.50が最初から入っており、改めて、BlueZをビルドする必要がありません。

Javaインストール

ARM版Linux用のJavaは幾つかあると思いますが、わたしはBELLSOFTのjdk11をapt-getで入れました。

# wget -q -O - https://download.bell-sw.com/pki/GPG-KEY-bellsoft | apt-key add -
# echo "deb [arch=armhf] https://apt.bell-sw.com/ stable main" | tee /etc/apt/sources.list.d/bellsoft.list
# apt-get update
# apt-get install bellsoft-java11

bluetooth-scannerとは

BLEアドバタイズ信号をキャッチするためのモジュールです。用途は、セントラルのBLE通信の範囲にBLEデバイスが入ったことを動的に認識することです。具体的には、CC2650が接近して、セントラルがその存在を認識し、接続するためのトリガーにします。

また、接続しているCC2650がセントラルの通信範囲から外れてBLE通信が切断され(アドバタイズ信号を再開します)、その後、再度、接近して、セントラルがアドバタイズ信号をキャッチして自動的にCC2650に再接続するトリガーとしても想定しています。

**bluetooth-scanner**の処理の肝は、dbus-javaが提供するAbstractPropertiesChangedHandler.javaextendsしたクラスを用意して、public void handle(PropertiesChanged properties)を実装することです。詳細は、Githubのコードを参照して下さい。bluetooth-scannerの使い方のサンプルは以下の通りです。IScanHandlerinterfaceを実装してScanProcess.javaのインスタンスを作成し、start()を呼び出します。

import com.github.hypfvieh.bluetooth.DiscoveryFilter;
import com.github.hypfvieh.bluetooth.DiscoveryTransport;
import com.github.hypfvieh.bluetooth.wrapper.BluetoothDevice;

import io.github.s5uishida.iot.bluetooth.scanner.IScanHandler;
import io.github.s5uishida.iot.bluetooth.scanner.ScanData;
import io.github.s5uishida.iot.bluetooth.scanner.ScanProcess;

public class MyScan {
    public static void main(String[] args) throws IOException, InterruptedException {
        Map<DiscoveryFilter, Object> filter = new HashMap<DiscoveryFilter, Object>();
        filter.put(DiscoveryFilter.Transport, DiscoveryTransport.LE);
        
        ScanProcess scanProcess = new ScanProcess("hci0", new MyScanHandler(), filter);
        scanProcess.start();
    }
}

class MyScanHandler implements IScanHandler {
    private static final Logger LOG = LoggerFactory.getLogger(MyScanHandler.class);
    
    @Override
    public void handle(BluetoothDevice device, ScanData data) {
        LOG.info(device.toString());
        LOG.info(data.toString());
    }
}

実行ログの例は以下の通りです。なお、行の先頭を省略しています。

MyScanHandler handle - BluetoothDevice [device=org.bluez:/org/bluez/hci0/dev_24_71_89_06_9D_82:interface org.bluez.Device1, adapter=/org/bluez/hci0, getBluetoothType()=DEVICE, getDbusPath()=/org/bluez/hci0/dev_24_71_89_06_9D_82] 
MyScanHandler handle - [hci0] 24:71:89:06:9D:82 name:CC2650 SensorTag rssi:-63 txPower:0 date:2019-09-03 22:40:25.483

一連の記事

このシリーズは、以下の記事から構成されます。

  1. 動機とコンセプト
  2. Bluetooth LEアドバタイズ信号をJavaでキャッチする(Bluetooth LE / bluez-dbus)(今回)
     関連するGithubはこちら
  3. TI SensorTag CC2650から温度/湿度/照度などをJavaで取得する(Bluetooth LE / bluez-dbus)
     関連するGithubはこちら
  4. MH-Z19BからCO2濃度をJavaで取得する(シリアル通信 / jSerialComm)
     関連するGithubはこちら
  5. PPD42NSからPM2.5濃度をJavaで取得する(GPIO / Pi4J)
     関連するGithubはこちら
  6. 産業オートメーション機器の稼動情報をJavaで取得する(OPC-UA / Eclipse Milo)
     関連するGithubはこちら
  7. 簡易ツールにまとめる
     関連するGithubはこちら
  8. 後記

追記

[2019.11.16]
簡易ツールの最新情報は、こちらをご参照下さい。

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