今回は私がAIを活用したいと考えてやってきたことを書いていきたいと思います。
現状のAI活用は10−15年前に話題になったフレームワークに過剰に依存した若手エンジニアを彷彿とさせる、 AIを使うためのツールに詳しくなろうとしているがLLMには一切興味がない 人間を増やし続けていると考えます。ツールはあくまでLLMを利用しているだけなので、内部にあるLLMに何が出来て何が出来ないかを知ることは変わらず必要であり続けるでしょう。
ステップ1:まずは触ってみる
多くの技術と同様に、まずは深く考えずにAIに触れてみることが第一歩です。仕事のタスクやプライベートのちょっとした疑問、あるいは全く意味のない質問でも構いません。この段階では、AIの能力や癖を直感的に掴むことが目的です。
- 簡単な質問から始める:「今日の天気は?」といった日常的なことから、「XをYにするPythonのワンライナーを教えて」といった技術的なことまで、気軽に聞いてみましょう。
- 遊び感覚で試す:AIに物語を書かせたり、キャッチコピーを考えさせたりすることで、クリエイティブな側面も発見できます。
このステップを通じて、AIがどのような文脈を理解し、どのような言葉に反応しやすいか、自分なりの感覚を養うことができます。
ステップ2:普段の作業をAIに任せてみる
次に、あなたが普段行っている作業をAIに任せてみましょう。特に、コマンドライン(CLI)操作のような、手順が明確なタスクがおすすめです。このプロセスを通じて、AIへの「適切な指示の出し方」を学びます。
- 手順を明確に言語化する:普段頭の中で行っている手順を、できるだけ細かく、具体的に書き出してみましょう。例えば、「ディレクトリAの中にあるファイルBを、ディレクトリCにコピーする」といった具体的な指示です。
- AIに実行させる:作成した手順をAIに渡し、コードやコマンドを生成してもらいます。
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失敗から学ぶ:AIが意図した通りに動かなかった場合は、なぜ失敗したのかを徹底的に分析します。
- 指示が曖昧ではなかったか?
- 必要な前提情報(例:「カレントディレクトリはどこか?」)が抜けていなかったか?
- AIが誤解するような言葉を使っていなかったか?
この試行錯誤を繰り返すことで、あなたは「AIが理解できる言葉」を習得できます。これは、AIをより高度に使いこなすための基礎力となります。
ステップ3:小さなロジックを実装させてみる
基本的な指示の出し方をマスターしたら、次はもう少し複雑な「ルール」や「ロジック」をAIに書かせてみましょう。これは、AIの思考プロセスを理解するのに役立ちます。
- 具体的なルールを提示する:「もし入力が10以上なら『大きい』、5以下なら『小さい』と表示する」といった、簡単な条件分岐をAIに実装させてみます。
- 失敗の理由をAIに尋ねる:もしAIが期待通りに動作しなかった場合、そのコードやロジックを提示し、「なぜこのコードは正しく動作しないの?」とAIに直接尋ねてみてください。
AIは、自身の失敗を分析し、その原因を説明してくれることがあります。この対話を通じて、AIがどのような論理的構造を認識しているか、またどのような場合に論理の破綻が起こりやすいかを理解することができます。
私自身もどうしてAIの挙動には再現性がないのだろう?と何度も言葉を変えながらプライベートでもGeminiに質問をし続けました。そして、どうやらGeminiの様なLLMは特定の応答の多様性を調整するハイパーパラメータが設定されているため、自分のやって欲しいことにもランダム性が生まれることやコンテキストウインドウの制限やプロンプトとRAGが結果に与える影響の違いやどの様にコンテキストに影響を与えるのかといった質問に答えてもらうことで少しずつ学習を重ねました。観察=>分析=>言語化 この繰り返しこそがAIを理解するために必要な要素です。
今はごく一部を除いてはみんなAIに対してヘタクソです。その期間をツールに熱狂するだけで終えてしまうか、それとも内部のLLMに詳しくなりツールの強み弱みを予測出来る様な人間になるかはこれからの過ごし方次第ですね。
最後に私が自分の記事を出す前に使っている魔法の言葉を置いておきます。
『以下の記事を技術的に間違いはないか、AIの活用方法に間違いはないか、論理に矛盾や飛躍はないかという観点で評価して』