はじめに
私がLLMを利用する際、Amazon Bedrockを選択する場合と、Ollamaを用いてローカルLLMを利用する場合があります。また、Amazon Bedrockを利用する際には、基本的にAnthropicのClaudeを利用します。しかし、Bedrockから利用できるLLMにはいろいろな種類があります。今回はその1つであるAmazon Novaについて簡単に整理してみたいと思います。
Amazon Novaとは
名前の通り、Amazonが開発した基盤モデル群です。公式ページを見ると以下のように記載されています。
Amazon Nova モデルは、最先端のインテリジェンスと業界トップクラスの料金パフォーマンスを提供します。あらゆる独自モデルファミリーに対応する極めて包括的なカスタマイズ機能スイートにより、企業は Nova をカスタマイズして、自社が有する業界の専門知識を反映した応答を提供できます。Amazon Bedrock を通じて、企業は Nova を使用して、安全で、信頼性と費用対効果の高い生成 AI アプリケーションをシームレスに構築およびスケールできます。
マルチモーダルであり、コストパフォーマンスがよいことが特徴のようです。
Amazon Nova の各モデル
公式ページによると、2025年9月14日現在、Amazon Novaは以下の7種類のモデルが利用できます。
Nova Act (エージェント型モデル:ブラウザ操作等を行う) も発表されていますが、現在Research Preview段階のため、本記事では扱いません。
モデル名 | 用途 | 特徴 | 料金($) |
---|---|---|---|
Nova Premier | 高性能なマルチモーダル処理、複雑なタスクの実行、他のモデルの学習 | シリーズ最高性能の基盤モデル。100万トークンを超える長いコンテキストウィンドウ。テキスト、画像、動画を統合的に理解 | 入力:0.0025/1,000tokens、出力:0.0125/1,000tokens |
Nova Pro | 幅広いタスクに対応するマルチモーダル処理 | 性能、速度、コストのバランスが良い。多くの汎用的なタスクに適している | 入力:0.0008/1,000tokens、出力:0.0032/1,000tokens |
Nova Lite | 迅速な処理、低コストでのマルチモーダル処理 | 軽量で高速なモデル。画像、動画、ドキュメント、テキストの処理を素早く実行 | 入力:0.00006/1,000tokens、出力:0.00024/1,000tokens |
Nova Micro | 最も低コスト・低遅延でのテキスト処理 | テキストのみに対応したモデル。非常に低コストで、最も低いレイテンシーを実現 | 入力:0.000035/1,000tokens、出力:0.00014/1,000tokens |
Nova Canvas | 高品質な画像生成 | カスタマイズ性に優れた画像生成モデル。プロ品質の画像を効率的に生成 | 0.04/画像(1024×1024)、0.08/画像(2048×2048) |
Nova Reel | 動画生成 | 高品質な動画生成に特化。テキストや画像からの動画生成、カメラ制御、モーション制御が可能 | 0.08/秒(生成動画) |
Nova Sonic | 音声の理解と応答 | 音声認識と音声生成を統合したモデル。話者の声のトーンや話し方といったニュアンスを理解し、自然な対話を実現 | 音声入出力トークン単価(詳細は未公表、用途により変動) |
他LLMとの使い分けに関する考察(妄想)
まだ実際に触っていませんが、ここで簡単に他LLMとの使い分けについて考えてみたいと思います。以下ではAIエージェントを構築する際の利用ポイントを検討してみます。
コスト重視の場合
Agentic Workflowとして定義した簡単な処理はコストの低い以下のモデルを利用すると良いのではと思います。これらのモデルの目的としては、コスト削減の観点になると思います。
- Nova Micro:チャットボットや簡単なテキスト処理
- Nova Lite:画像認識を含む軽量タスク
性能重視の場合
AIエージェントのコアとしては以下のモデルを利用することになると思います。ここでは高い推論能力が必要になってきます。
- Claude (Anthropic):複雑な推論や長文生成
- Nova Premier:マルチモーダルな統合処理が必要な場合
テキスト以外の用途
画像・動画・音声を利用する際にはこれらのモデルが選択肢となってきます。今後、これらのモデルと、別クラウドサービスで利用できるモデル(最近話題となっているGoogleの nano banana など)との比較もしてみたいと思います。
- Nova Canvas/Reel:画像・動画生成に特化
- Nova Sonic:音声インターフェースの構築
おわりに
以上、簡単ではありますが、Amazon Nova について情報整理してみました。今後、実際に各モデルを試用して、具体的な使用感や、実装例なども共有できればと思います。
ありがとうございました。
参考