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DDR5のメモリタイミング設定について

Last updated at Posted at 2023-03-16

DDR5メモリタイミングについての日本語記事があんまりなかったので、備忘録もかねて。

初めに

メモリのOCは基本的に動作保証外です。自己責任で行いましょう。

マザボの性能・メモリの品質・冷却装置で安定動作するタイミング値は大きく変わります。
楽しくOCするために、自分の所持品に応じて無理なく、注意深く設定・入力を行いましょう。

OCerはたくさんいらっしゃり、たくさん議論を交わしていますが、ゴリゴリ、モリモリの設定でなじみの値からかけ離れてる…結局基準はどうなってるの…と思う方は多いんじゃないかなと思います。
DDR4からも設定値が変わっているのもあり、勉強にはなるけどDDR5の設定値の参考にはならなかったりします。
というわけで、頑張って集めた情報を以下にまとめます。

各タイミングの水準

MSI BIOS基準の表記。
各タイミングの意味の説明については省略。参考の項を参照。
特に断りがなければ(min)は基本的にJEDEC準拠の最小値。
ただし環境と品質と運次第ではJEDEC準拠をぶち破ることが可能らしい。いい悪いは置いておいて。
BIOSにもJEDEC最小値を下回る設定ができる項目も存在する。

タイミング調整にかかわる重要な値

項目 備考
tCK 2/(設定周波数[GHz]) [ns] 大体の項目の基準単位。
WBL 16[tCK] …多分。いろんな項目に足し算で出てくるので一応メモ。
CPU SA Voltage 1.1~1.2[V] OCする場合は1.2推奨
CPU VDDQ Voltage DRAM Voltage - 0.0~1.0 スイートスポットみたいなのがあるらしい
探すのがめんどいならDRAMVoltage-0.5で設定
CPU VDD2 Voltage =CPU VDDQ Voltage -
DRAM Voltage 1.2~1.4 [V] 冷却や品質に自信がない場合は1.4以上にはしない
XMPに頼らない場合は、1.35付近から0.1ずつ変化させる
DRAM VDDQ Voltage =DRAM Voltage -
DRAM VPP Voltage 1.8 [V] 普通(<6600MHz)にやる分ならこれぐらい。
きついのするならもっと上げる

プライマリタイミング

単位は断りのない限り[tCK]。minを底値として緩めていくと限界を見定めやすい。

項目 備考
CR 2 運が良ければ1が通るらしいが基本2オンリーだと思っていい
tCL 22(min) 32/36/40が多い。変える場合は36基準に2ずつが吉。
めんどい場合はMemory Try It!が楽
tRCD tCL(min) だいたいtCL+0~10。
よく見るのはtCL+0/2/4/6
tRP tCL(min) 同上。個別に動かす例もあるが、tRCDと揃えるのが楽。
tRAS =tCL-2(OCerの鬼設定)
or =tRCD+tRTP(min)
or =tRCD+tCL(標準)
or =tRCD+2*tCL(緩め)
いろんな設定と説を見かける。
「min」もしくは「標準」を基準に緩めると吉。
tRC tRP+tRAS 設定項目としてはなし
tRFC2 160/tCK
(16Gb DRAM;min)
詳しくはtRFC/tRFCpb参考表を。
決め方としては(設定周波数[GHz])*10*nで
n=8を基準に。
tRFC/tRFCpb参考表
[ns] 8Gb 16Gb 24Gb 32Gb
RFC2 130 160 220 220
RFCpb 115 130 190 190

セカンダリタイミング

単位は断りのない限り[tCK]。minを底値として緩めていくと限界を見定めやすい。

項目 備考
tRFCpb 130/tCK(min) Auto推奨。変えるならtRFCの要領で。
tREFI tREFIx9*1024/n
=261120/n
この値のみ大きいほど性能が良いとされている。
n≧2が行けるようだが、4以上(<65280)がよさそう。
tWR 48(min) 資料によると30の説もあるが、そもそもMSI BIOSでは入力できない。
緩める場合は6刻みがよさそう。
tWTR(tWTR_S) 4(min) きつい場合は2ずつ増やす。
tWTR_L tRRD_L*2 原則左の値に従う。
tRRD(tRRD_S) 8(min) ぶち破りでDDR4時の4がいける可能性がある。
が、非推奨。原則8にしよう。
tRRD_L 8(min) 定義ではMax(8,5/tCK)。
割と通るので、8から2ずつ緩めるのが吉。
tRTP 12(min) 定義ではMax(12,7.5/tCK)。
こちらも割と通るので、12から2ずつ緩めるのが吉。
tFAW tRRD*4 原則左の値に従う。DDR4に比べて性能への影響が少なそう。
tCWL tCL-2 耐久が厳しい場合は緩めると効果が出やすいかも。

ターンアラウンドタイミング

項目 備考
tRDRDsg tCCD_L or tRRD_L(min) 2説見かけた。きつくないほうを選択するとよさそう。
tRDRDdg 8(min) 左の値推奨。資料からは未発見
tRDRDdr/dd 未発見 Autoでよさそう。dr=ddではあるらしい
tWRWRsg tCCD_L*2 or tRRD_L*2(min) こちらも2説あり。同じくきつくないほうを。
tWRWRdg 8(min) 左の値推奨。資料からは未発見
tWRWRdr/dd 未発見 Autoでよさそう。dr=ddではあるらしい
tRDWRsg/dg/dr/dd 未発見 Autoでよさそう。dr=ddではあるらしい
tWRRDsg tCWL+10+tWTR_L Autoだと2ほど大きくなるかもしれない。
が、Autoでよさそう。
tRDWRdg tCWL+10+tWTR Autoだと2ほど大きくなるかもしれない。
が、Autoでよさそう。
tRDWRdr/dd tRDRDdr Autoでよさそう。dr=ddではあるらしい

その他見かけたもの

項目 備考
tWRPDEN tWR+tCWL+8(+1)(min) 定義ではtCWL+WBL/2+tWR+1。Autoでよさそう。
tWRPRE tWRPDEN(-1)(min) Autoでよさそう。

設定例

組み合わせは膨大な数あり、あくまで一例です。今回はこの記事を作成するに至った
自作PCさんに登場いただきます

項目 名称 備考
M/B MSI Z690M MORTAR WIFI Micro-ATX; 6200MHzまでサポート
CPU 13900K 240mm簡易水冷
RAM G.Skill F5-5600J3636D32GX2 36-36-36-89 1.25V XMP

M/B、RAMがハイエンドではないので、そこまで無理はできないセットです。
安定させつつ、性能の(微)向上を狙います。
耐久テスト通過基準:
Karhu SoftwareのRAM Test1600%達成

Freq. CR tCL tRCD tRP tRAS tRFC2 tREFI
5600 2 36 36 36 76 447 16320
tWR tWTR tWTR_L tRRD tRRD_L tRTP tFAW tCWL tWRWRsg
48 10 20 8 10 12 32 36 28

(表記のないものはすべてAuto)
GeekBench5のスコアは24839程度です。
メモリを冷やすものに乏しく、サーマルスロットリングが発生しています。
メモリ用のファンとか買ったほうがいいかもしれない。
6000MHzで動かしたり、もっとタイミング詰めたりするとスコアは向上するのですが安定性は皆無(10~200%;~7分程度)でエラーが出ますのでダメでした。
「スコアが出てるから…」といってカバレッジが低い不安定なメモリを使うとファイル破損の原因になったりするのでそこは泣き寝入りしましょう。タイミング詰めての性能出しは安定性あってこそです。
あまりお勧めはできませんが、どうしてもという場合は200%を一つのめどにするのはありかもしれません。(主観です。根拠はありません。責任はとれません。)

最後に

できるだけ根拠のある調査を行ったつもりですが、自信のないところもあります。
間違いや正確な情報をお持ちの方はお知らせ願います。

参考

DDR5電圧関係
基準関係
tREFIの参考
自分とそっくりで、自分よりうまくいっている例
■メモリの勉強について
ゆっくり解説(ハリフーン氏)
日本語/英語で丁寧に書いてくださっているサイト

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