※注記
本記事のテキスト構成および文章のドラフト自体も、筆者の指示に基づきAIエージェント(Antigravity)が執筆・生成したものです。次世代のAI開発ワークフローの実践例(および開発現場の個人的なポエム)として公開しています。
はじめに:とあるインディーゲーム開発室にて
新人プランナーのタクト君が、目を輝かせながら走ってきました。
タクト君:「先輩! 僕の魂を込めた新ボス『暗黒卿ヴェルサス』の調整が終わりました! 戦闘開始3秒で予兆ゼロの全画面即死ビームを撃ってきます! この理不尽なまでの絶望感……これこそが僕が伝えたかった世界観であり、僕の作品としての美学なんです!」
先輩エンジニア(ミナミ):「……タクト君、テストプレイしてみたけど、理不尽すぎてコントローラー投げそうになったわよ」
タクト君:「それでいいんです! 簡単にクリアされたら僕の世界観が伝わりませんから! 分かってくれる人だけが分かってくれればいいんです!」
ミナミ:「あのね、タクト君……。お金や時間を払って遊んでくれるプレイヤーから見たら、それ、美学じゃなくて単なる『初期不良』の欠陥商品に見えちゃうのよ……」
タクト君:「えっ……ぼ、僕の魂の作品なのに……?」
……というような会話、ゲーム開発に関わったことがある人なら、一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか(そして自戒を込めて言いますが、私自身もかつて思いっきりこの『作品脳』で大やけどをした経験があります)。
ゲームを作っていると、ついつい自分のこだわりや熱意が先走って、**「オレの最高の世界観(作品)」**を表現することに夢中になってしまいがちです。
ですが、この記事では少しだけ立ち止まって、**「ゲームは作品ではなく、商品(プロダクト)である」**という視点から、開発現場が平和になり、プレイヤーにも愛されるゲームを作るための思考法をポエムとして綴ってみたいと思います。
1. 「作品」と「商品」の決定的な違い
そもそも、「作品」と「商品」は何が違うのでしょうか?
小難しい定義はいったん置いておいて、構造をざっくり比較してみます。
| 比較項目 | 作品(Artwork) | 商品(Product) |
|---|---|---|
| 主語 | 作者(自分) | 顧客(プレイヤー) |
| 目的 | 自己表現、こだわり、美学の追求 | 約束された感情体験の提供 |
| 評価基準 | 「自分が納得できたか」 | 「遊んだ人が対価に見合う価値を感じたか」 |
| 受け手 | 鑑賞者(理解できる人だけくればいい) | 貴重なお金と時間を投資してくれた当事者 |
| 不都合への態度 | 「伝わらないのは受け手の好みの問題」 | 「意図が伝わらないのは設計の初期不良」 |
「作品」のスタンス
ピカソがキャンバスに向かうとき、「これを鑑賞した人の80%が快適に感じるだろうか?」とは考えません。「オレが描きたいから描く」「理解できないやつは置いていく」。これがアートであり、「作品」の尊いスタンスです。純粋な自己表現の世界ですね。
「商品」のスタンス
一方、ゲームを世に出すということは、プレイヤーから**「お金」だけでなく、人生の二度と戻らない「有限な時間」**を受け取るということです。
その対価としてプレイヤーが求めているのは、作り手の独りよがりなこだわりを見せつけられることではなく、**「爽快感、達成感、極上のスリル、心地よい暇つぶしといった、約束された感情体験」**です。
どれだけ作り手が魂を込めていようが、操作性が悪かったり、理不尽な死で台無しになっていたら、購入した側からすれば「ボタンの押しにくい電子レンジ」と同じで、どうしても「不良品」に見えてしまいます。
2. 芸術(アート)は「体験を得るための道具」に過ぎない
こう書くと、「じゃあゲームにアートやこだわりは不要なのか? ビジネスに魂を売れというのか?」と思われてしまうかもしれません。もちろん、全くそうではありません!
映画監督が観客を泣かせるために素晴らしいカメラワークや照明を使うように、ゲームにおける美麗なグラフィック、心揺さぶる音楽、重厚なシナリオといった「芸術」は、**「あらかじめ設計した感情体験を、プレイヤーに極上の形で味わってもらうための最高の道具」**です。
道具が自己目的化した瞬間に、ゲームは悲鳴をあげる
しかし、現場でよく起きるのが「道具の自己目的化」です。
- 「この綺麗な背景グラフィックを見せたいから、UIや敵キャラを見づらくする」
- 「この設定資料のような世界観を語りたいから、操作を奪って長大な説明テキストを読ませる」
- 「このBGMをサビまで聴かせたいから、バトルのテンポを不必要に間延びさせる」
これらは、料理人が「この包丁の刃紋が美しいから」と言って、食べる人の口を切り裂くような盛り付けをしてしまっている状態に似ています。
芸術という強力な道具を、「プレイヤーに最高の感情体験を届ける」という目的のためにこそ、職人技として緻密に使い倒す。これこそが、エンターテインメントに関わるクリエイターの本当の腕の見せ所なのだと感じます。
3. ユーザーの「印象に残った仕掛け」と、全体の「体験設計」を混同する罠
もう一つ、私たちがとても陥りやすい認知の落とし穴があります。
ゲームを遊んだユーザーは、レビューやSNSでこう熱狂してくれます。
- 「あのボスのどんでん返し演出が神だった!」
- 「あの特殊ギミック、めちゃくちゃ鳥肌立った!」
これを聞くと、作り手側はつい**「そうか! あの尖ったギミック(演出)こそがこのゲームの価値なんだ!」**とそこだけを特別視してしまいがちです。
しかし、ここに大きな罠があります。
その一過性の感動や衝撃は、そのギミック単体で生まれたわけではありません。
そこに至るまでの何時間もの**「ストレスのない快適な操作感」「退屈させないテンポ」「違和感のないUI」「緻密に積み上げられた緊張とストレスの蓄積」という広大な土台(下地)**があったからこそ、最後のピーク演出が神がかって見えたのです。
土台のレベルデザインをおろそかにしたまま、派手な演出や奇抜なギミックだけを真似しても、プレイヤーの心には響きません。
ユーザーは「水面から出ている氷山の一角(ピーク演出)」に熱狂していい。
でも、クリエイターは「その下にある巨大な土台の設計」を決して見失ってはいけないのだと思います。
4. 「インディーズゲームだから作品でいい」という誤解
「でも、インディーズゲームなら自分の作りたい作品を作っていいんじゃないの?」
この疑問もよく耳にします。しかし、インディーズであっても「プレイヤーの時間を預かる商品」であることに変わりはありません。
大作ゲーム(AAA)とインディーズゲームの違いは、「商品か作品か」ではなく、**「挑戦している感情体験の性質」**の違いだと考えています。
-
大作ゲーム(AAA):
映画のような大迫力や王道の冒険感など、すでに世の中で愛されている鉄板の感情体験を、圧倒的な物量と安定性で保証する商品。 -
インディーズゲーム:
「誰も見たことのない感情体験」「既存のルールの常識をひっくり返す驚き」を届けるために、感情体験の仕組みそのものを塗り替えるチャレンジをしている商品。
例えば、『Undertale』は「誰も殺さなくていいRPG」という、これまでの常識を覆す新しい感情体験に挑戦した大傑作商品です。『Papers, Please』も「入国審査官の事務作業が極限のジレンマになる」という未体験の感情を届けた商品でした。
彼らは決して「伝わらなくてもいい自己満足」を作ったのではありません。
**「まだ誰も味わったことのない感情体験」をプレイヤーが確実に受け取れるよう、常識を覆すからこそ、極めて緻密にチュートリアルや導線を計算し尽くして世に出した「超一級の商品」**なのです。
5. 「商品」と捉え直すと、チームの会話は一気に平和になる
ゲームを「作品(オレの美学)」ではなく「商品(体験の提供)」として捉え直すと、開発現場の空中戦やリテイク地獄は劇的に解消されます。
① リテイクの言葉が「理不尽」から「建設的」になる
-
作品脳の会話:
「なんか手応えがないから、もっとオレが気持ちよくなるように直してよ」 -
商品脳の会話:
「このボスの狙いは『ギリギリの死闘』だけど、現状は予兆が見えなくて理不尽な死(体験の不良品)になってるね。予兆フレームを少し伸ばして、プレイヤーが回避を学習できるように調整しよう」
② こだわりが「独りよがり」から「プロの職人技」へ昇華する
グラフィックを描くのも、プログラムを最適化するのも、サウンドを作るのも、すべては**「プレイヤーが最高の感情体験に没入できるよう、ノイズを極限まで取り除くため」**という共通のゴールに結びつきます。
エゴのぶつかり合いがなくなり、全員が同じ方向を向いてクラフトマンシップを発揮できるようになるのです。
おわりに:そして「体験の数理モデル化(AI)」へ
長々と個人的なポエムを書いてしまいましたが、まとめると次のようになります。
- ゲームは自己表現の「作品」ではなく、感情体験をお届けする「商品」である。
- 芸術や演出は、狙った体験をプレイヤーに味わってもらうための「最高の道具」。
- ユーザーが褒めてくれる「尖ったギミック」は、地道な「全体の土台設計」があって初めて輝く。
そして、ゲームが「感情体験を提供する工業製品」であるならば、一つのワクワクする問いが浮かび上がってきます。
「狙った感情体験がちゃんと発生しているかどうか、AIを使って客観的にテスト・測定(品質保証)できるのではないだろうか?」
「なんか面白い」「なんかイマイチ」という人間のブレやすい感覚を数理モデル化し、AIと二人三脚でレベルデザインを爆速化していく方法。
👉 第2弾はこちら:『「なんか面白くない」を撲滅する——ゲームの「楽しさ」と「面白さ」を数理モデル化し、AIとレベルデザインを爆速化する技術』 に続きます!



