はじめに
計算力学技術者試験とは、計算力学技術者の「質の保証」を理念に掲げる日本機械学会の試験です。特に1級は高難易度であり、合格には膨大な時間がかかります。この記事では、実務と育児の合間を縫って学習した経験から、効率的に合格を掴み取るための「試験ハック」と「学習計画」を共有します。
1. 試験の理念と現実
試験の目的は「アウトプットの質の保証」にあります。製造業において、誤った計算結果は製品の安全性に直結するため、この試験は高難易度なものとなっています。
一方で、この試験の認知度や評価は組織によって異なります。この資格をどう活用するかは個人の戦略次第ですが、少なくとも自身のスキル証明としては一定の説得力があるのではないでしょうか。
2. 個人的なおすすめ:学習の物理ハック
標準問題集は分厚く持ち運びに不便です。
私は問題と解答をカッターで糊代から剥がし、クリアファイルに小分けして持ち運びました。 あと、後述する教科書も章毎に糊代から剥がして持ち運びました。一日で集中して勉強できる量は限られています。「今日はこの単元を理解する」と心の中で決めて、最小限の資料を持ち運び、カフェや新幹線の移動中など、わずかな隙間時間でも即座に一問解く環境を作りました。
3. モチベーションを保つために
周囲への宣言と「朝」の活用
合格には膨大な集中力を要します。私は幼い子供がいるため、まとまった勉強時間が取れません。「楽な方に流れたい」という悪魔の囁きに対処するため、周囲に合格を宣言し、朝の「脳にゴミが溜まっていない時間」 を勉強に充てることを徹底しました。
費用対効果の意識
標準問題集(5,500円)や試験費用(15,400円)は決して安くありません。合格後、会社に試験費用を負担してもらう交渉を行うことや、合格後の美味しいディナーを予定するなど、具体的な報酬をイメージしてモチベーションを高めましょう。
「捨てる」勇気と「理解」の深掘り
合格基準は「5割以上、かつ7割以上正解が3分野以上、全問不正解が2分野以下」です。
全問正解を目指す必要はありません。思い切って捨てて暗記することも一つの戦略です(当日の試験問題がひねってあると対処できませんが)。また、一問を解くのに3時間かかっても構いません。解説を丸暗記するのではなく、教科書の章を読み込み、自分の言葉と数式で説明できるようにすることが合格の確率を高めます。
4. 分野別参考書・文献リスト
効率的に学習するために活用したリソースをまとめました。
| 分野 | 推奨書籍 | カバーするキーワード |
|---|---|---|
| 単相流の物理 | JSMEテキストシリーズ 流体力学 | 次元解析、π定理、境界層、圧縮性流体 |
| 単相流の物理 | 流れの方程式 | 渦度の輸送方程式 |
| 単相流の物理 | 明解 水理学 | サージタンク、水撃圧、特性曲線法 |
| 単相流の計算法1 | Pythonで学ぶ流体力学の数値計算法 | 有限差分法、風上差分、TVDリミター |
| 単相流の計算法2 | Pythonで学ぶ流体力学の数値計算法 | 誤差、精度次数、時間積分法、スタッカード格子 |
| 単相流の計算法2 | コンピュータ河川工学 | CIP法 |
| 格子の取り扱い | Pythonで学ぶ流体力学の数値計算法 | 境界適合格子、座標変換、楕円/双曲線/放物線型方程式 |
| 乱流解析 | 流れの方程式 | 乱流モデリング、レイノルズ応力、RANS |
| 設計応用 | ASME V&V10 / V&V20 | Verification, Validation |
※高速化・ポスト処理については問題週の解答しかみていません。
5. 最後に
この記事を参考に、一人でも多くの技術者が試験を攻略し、合格者数が増えることを願っています。