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NATS JetStreamは従来のNATSとはどう違うのか

Last updated at Posted at 2021-12-08

そもそもNATSとは?

NATSというのは、CNCFの分散メッセージングシステムです。
Go言語で記述されており、パフォーマンス、ポータビリティが高く、Cloud Nativeな次世代のメッセージブローカーとして注目を集めています。

開発は、オランダのSynadia社が中心となっているそうです。

NATSのややこしいのは、最初に開発されたシステムであるNATS Serverの他に NATS Streamingと NATS JetStreamがあり、用途も似ていてあまり違いがわからないということです。

これらの3つの提案について違いを説明しようと思います。

NATS Serverとは?

NATS系統の中で最もシンプルな製品である NATS Serverはメッセージを「at most once」の配信モデルに基づきます。
非常にパフォーマンスがよく、継続的なリアルタイム処理を要求しないアプリケーションにおいては、十分な選択肢です。
ただし、メッセージングサーバーがサブスクライバーにメッセージを転送中にサブスクライバーシステムのいずれかがダウンした場合、それらのメッセージが欠落することに留意する必要があります。

NATS Streamingとは?

NATS Streamingは、次に登場した NATSのソリューションです。
これは、非常にパフォーマンスが高く軽量で信頼性の高いストリーミングプラットフォームです。

クリティカルな違いは、メッセージをパブリッシュした際にそのメッセージの内容がストレージに保存されます。
それによって、サブスクライバーからのACKが返ってくるまでメッセージを保存することで、「at least once」配信モデルを実現します。

これによって、パブリッシュされた全てのメッセージを配信することができます。ただし、同一のメッセージを複数回送信してしまう可能性があるので、サブスクライバーは冪等性に留意する必要があります。

NATS JetStreamとは?

NATSは、分散型セキュリティ、分散型管理、マルチテナンシー、大規模ネットワークなど NATS2.0の誕生で大きな進捗を生みました。それらの革新を反映した NATS2.0に対応するストリーミングモデルがNATS JetStreamになります。

そのため、NATS Streamingの公式サポートは2023年6月までに終了することになっています。
https://docs.nats.io/legacy/stan

したがって、パブリッシャーによって公開されたメッセージを永続化しない場合は、NATS Serverを選択し、永続ストアにメッセージを永続化する場合は、NATS JetStreamを使用します。

また、 NATS 2.2.0 以降では NATS JetStream は NATS Serverに統合されました。
そのため、起動時のオプションに-jsフラグを付けたり、js.confファイルを作成することによって、JetStreamをサブシステムとして起動することができます。

nats-server -c js.conf

クライアントライブラリも進歩を遂げています。
Go SDK nats.go v1.11.0以降からは、 NATSと NATSJetStreamの両方に対して、同じライブラリが機能するようになりました。

NATS JetStream 入門

NATSJSを語る上で避けては通れない二つの概念である、StreamとConsumerについて話します。

Stream

ストリームは「メッセージ・ストア」であり、各ストリームはメッセージをどのように保存するか、また保存の限界(期間、サイズ、興味)を定義しています。ストリームは通常のNATSのサブジェクトをコンシュームし、これらのサブジェクトに発行されたメッセージは定義されたストレージシステムに取り込まれます。

Streamは以下の要素で定義されます。

アイテム 説明
Name 名前
Storage ストレージの種類, File または Memory
Subjects コンシュームするサブジェクトのリスト
Replicas クラスタ化されたJetStream内のメッセージごとに保持するレプリカの数、最大5
MaxAge ストリーム内のメッセージの最大経過時間。単位はナノ秒
MaxBytes ストリーム内のメッセージの最大バイト数。単位はバイト
MaxMsgs ストリーム内のメッセージの数。
MaxMsgSize ストリームが受け入れる最大のメッセージサイズ
MaxConsumers 特定のストリームに対して定義できるコンシューマーの数。無制限の場合は -1
NoAck ストリームによって受信されたメッセージの確認を無効
Retention メッセージ保持の考慮方法、 LimitsPolicy(デフォルト)、InterestPolicyまたは WorkQueuePolicy
Discard ストリームが制限に達すると、 DiscardNewは新しいメッセージを拒否し、DiscardOld \(default \)は古いメッセージを削除します
Duplicates 重複メッセージを追跡するためのウィンドウ。ナノ秒単位で表されます。

Consumer

コンシューマは、ストリームの「クライアント」と考えることができます。
コンシューマは、「サブジェクトフィルタ」と「再生ポリシー」に従って、ストリームに格納されているメッセージのすべてまたはサブセットをコンシュームし、1つまたは複数のクライアントアプリケーションで使用することができます。同じストリームを指す数千個のコンシューマを定義しても構いません。

Consumerは以下の要素で構成されます。

アイテム 説明
AckPolicy AckExplicit, AckNone or AckAll
DeliverPolicy コンシューマーを最初に作成するときに、ストリーム内のどこでメッセージの受信を開始するかを指定できます。
DeliverySubject 観察されたメッセージを配信する件名。プル型では使用できません。
Durable サーバーが追跡するコンシューマーの名前です。名前を設定することで、durableなコンシューマーにすることができます。
FilterSubject ワイルドカードサブジェクトを持つストリームから消費する場合、これにより、メッセージを受信する完全なワイルドカードサブジェクトのサブセットを選択できます。
MaxAckPending 保留しているAckの最大数、-1で際限なく保存可能
MaxMsgs ストリーム内のメッセージの数。
FlowControl フローコントロールを有効にするかどうか
IdleHeartbeat アイドルハートビート期間が設定されている場合、送信する新しいメッセージがない間、サーバーは定期的にステータスメッセージをクライアントに送信します(つまり、期間が経過したとき)。これにより、ストリームにアクティビティがない場合でも、JetStreamサービスがまだ稼働中であることがクライアントに通知されます。メッセージステータスヘッダーのコードは100になります。FlowControlとは異なり、アドレスへの応答はありません。 「アイドルハートビート」のような説明があるかもしれません
MaxDeliver 特定のメッセージが配信される最大回数。 ackポリシーのために再送信されるすべてのメッセージに適用されます。
RateLimit コンシューマーへのメッセージの配信をビット/秒で調整するために使用されます。
ReplayPolicy DeliverAll , DeliverByStartSequence or DeliverByStartTime
SampleFrequency 可観測性のためにサンプリングする必要がある確認応答のパーセンテージを設定します。0〜100この値は文字列であり、たとえば、有効な値として30%と30%の両方を許可します。
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