ゼロから始めるAI駆動開発+Claude Code連載について
この記事は、アドベントカレンダーを1人で完走する試みの25記事目です。
「AIモデルの進化、AIツールの進化が早すぎて着いていけない…」
「このままではいけないと思って学びたいけど、どこから手を付けたらいいか分からない…」
「そしてこの先、AIに仕事が奪われてエンジニアでいられるかも不安…」
といった悩みを解決するためのアドベントカレンダーです。
AI駆動開発の基礎、現時点でのデファクト・スタンダードと言えるClaude Codeの基礎から応用、AI時代のキャリア論からAI推進までを取り扱います。
AI推進に必要な能力
連載最終日は、AI推進に必要な能力を考えてみましょう。
ここでのAI推進とは、組織におけるAIエージェントの活用推進を担う役割を指します。
私自身、現職でエンジニア組織のAI推進を担っているため、ある程度実感を持って語れると思います。
結論、AI推進には多様な能力が必要です。しかし欠かせないのは以下3つと考えています。
- ビジョン力
- リーダーシップ力
- キャッチアップ力
1. ビジョン力
AIを推進するのは、目的ではなく手段です。
それを使ってどのようなアウトカムを創出するのか、ちゃんと想像して描く力が重要です。
ツールを単なるツールとして見るのではなく、想像力を働かせ、未来どうあるべきかを考えられる力が必要となります。
2. リーダーシップ力
推進力とは、「物事を前におしすすめる力」です。自分一人をおしすすめるのは推進ではなく、独走です。
つまり一人でキャッチアップするだけでは、AI推進とは言えません。
周囲に伝搬し、強制力ではなく共感を得て物事をおしすすめるためには、リーダーシップ力が必要です。
3. キャッチアップ力
AIの特性上、キャッチアップ力は必須です。
数ヶ月どころか数日単位でトレンドが変化するため、少し前の知識ではすぐに陳腐化します。
進化の過渡期であることもその一因でありますが、従来の技術キャッチアップよりも相当張り付いている必要があります。
キャッチアップ力は努力や根性というより、好奇心や情熱が根源にあると持続性があるので、一朝一夕で身につけるのは難しそうです。いわば放っておいても勝手に学んでいるようなタイプの方が、素質があると言えそうです。
カッツモデルとの関連
ビジョン力、リーダーシップ力、キャッチアップ力。
これら3つ、昨日の記事を読んでいただいた方は少しピンとくるかもしれません。
カッツモデルの解説
横軸
- トップマネジメント
- 経営者層。いわゆる役員クラスで、会社の経営を担う
- ミドルマネジメント
- 課長・部長・本部長クラスで、トップマネジメントと現場の間を担う
- ロワーマネジメント
- 係長クラスで、現場の指揮を担う
縦軸
- コンセプチュアルスキル
- 概念化能力。トリプルシンキング(「ロジカル、クリティカル、ラテラル」シンキング)や俯瞰力など
- ヒューマンスキル
- 対人関係能力。コミュニケーション力、プレゼンテーション力など
- テクニカルスキル
- 業務遂行能力。プログラミング力、設計力など
そしてカッツモデルの図が示しているのは、
- マネジメントレイヤーが挙がるにつれて、
- コンセプチュアルスキルの割合が増える
- テクニカルスキルの割合が減る
- ヒューマンスキルは一定必要であり続ける
AI推進に必要な能力を雑にカテゴライズすると、
- ビジョン力 ≒ コンセプチュアルスキル
- リーダーシップ力 ≒ ヒューマンスキル
- キャッチアップ力 ≒ テクニカルスキル
となります。
どれか一つではダメで、これら3つを巧みに駆使しなければAI推進は難しいでしょう。
そして、AI推進の範囲が少人数チームなのか、部署内なのか、全社なのか。
その範囲の広さ(=レイヤーの高さ)によって、カッツモデルと同じく高次元のスキルが必要です。
1人で全てをカバーできるか
AI推進は、AIエージェント元年と言われる2025年の企業活動において最重要の経営テーマです。
1人でカバーできた方がコストは抑えられますし、組織サイズによっては少人数の方が意思決定が早いでしょう。
とはいえ、1人でこれら3つの能力を持っている方が稀だと思います。
その場合は複数人でチームを組み、それぞれの強み弱みを補いながらAI推進していく必要があります。
チームを組む際も明確にAI推進をミッションに据え、期待値やゴールをトップマネジメントと握りながら進めていく必要があります。
落とし穴:イノベーターが適任者とは限らない
イノベーター理論はご存知でしょうか。
新しい製品やサービスが市場に浸透する過程の、ユーザーセグメントを示す概念図です。
一般的に言われるのは、イノベーターとアーリーアダプター、そしてキャズムの存在です。
イノベーターは新しいものに飛びつくユーザーです。
アーリーアダプターはイノベーターの次にキャッチアップする人たちで、アーリーマジョリティに広げるオピニオンリーダー的存在としてマーケティングで重要視されています。
そしてアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にはキャズムと呼ばれる大きな溝が存在し、ここを越えないと市場浸透しないと言われています。
では、AI推進を任せるべき人はイノベーターでしょうか、アーリーアダプターでしょうか。
AI推進で必要な「ビジョン力」「リーダーシップ力」「キャッチアップ力」、特にキャッチアップ力を考えると、イノベーターに思えます。一方、新しいもの好きなだけではなくオピニオンリーダー的存在であることを考えると、アーリーアダプターかもしれません。そして組織浸透を成し遂げるには、マーケティングと同じく「キャズムを越える」力強さが絶対的に不可欠です。
根拠のある結論は無いですが、理想的にはイノベーター的要素とアーリーアダプター的要素、両方の特性が必要に思います。
まず、AIは数日レベルの短期間で入れ替わっていきます。一昔前のフロントエンド界隈も変化が激しかったですが、AIに関してはいまだかつてないスピードで流行り廃りが見られます。よって、イノベーターに必要な最新情報のキャッチアップが必要です。
加えて、独走ではなく推進するためにはオピニオンリーダー的な発信力も必要です。となると、アーリーアダプター的要素も必要になります。
この2つを兼ね揃えた人物は相当希少なので、高望みせずに複数人アサインし、役割分担する方が良いかもしれません。
結論
AI推進に必要な能力は、
- ビジョン力 ≒ コンセプチュアルスキル
- リーダーシップ力 ≒ ヒューマンスキル
- キャッチアップ力 ≒ テクニカルスキル
イノベーター理論で言うと、理想的には
- イノベーター要素=最新をキャッチアップする力
- アーリーアダプター要素=オピニオンリーダーの発信力
- の両方を持つ人物が適任
と考えます。
高望みして求めすぎても酷なので、チームとして複数人アサインし、強み弱みを補い合えると良さそうです。
最後に:連載を振り返って
今回、ゼロから始めるAI駆動開発+Claude Code連載を進めてきました。
「AIモデルの進化、AIツールの進化が早すぎて着いていけない…」
「このままではいけないと思って学びたいけど、どこから手を付けたらいいか分からない…」
「そしてこの先、AIに仕事が奪われてエンジニアでいられるかも不安…」
といった悩みを解決するためのアドベントカレンダーです。
としていましたが、いかがでしたでしょうか?
連載を読み切っていただければ、少しでもその姿に近づけていることと思います。
最後の記事を「AI推進」にしたのは、ぜひ1人でも多く、今からキャッチアップして「AI推進」を担ってほしいという思いがあります。
もし少しでも刺さるものがあれば、ぜひ本連載のシェアや、私のXをフォローいただけると助かります。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
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Claude CodeとAntigravity中心にキャッチアップして、たまにQiitaやZennで発信しています。
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この記事は全て人間が書いています。一部画像生成はAIを利用しています。
