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連載の構成
- この記事は、マネジメントについて一人で考える Advent Calendar 2022の連載記事です
- 1記事目から読んでいただいても良いですし、気になる記事から読んでいただいても問題ありません
- 全25回分の構成は、次の通りです
- 第1〜6回:ドラッカーの『マネジメント』を中心に解説します
- 第7〜13回:『図解人材マネジメント入門』を中心に解説します
- 第14〜22回:『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』を中心に解説します
- 第23〜25回:私の経験談を中心に、まとめに入ります
EMは、一度EMをやめてみればいい
- 今回含め、連載最後の3記事は、私自身の体験談やまとめになります
- そして今回のテーマは、『エンジニアリングマネージャー(以下EM)は、一度EMをやめてみればいい』
- これは私自身、一番EMとして成長した経験談から来るものです
改めて自己紹介
- 連載第1回で書いたものを再度引用します
- 執筆当時、株式会社エイチームライフデザインでマネージャーをしています
- エンジニアリングマネージャー(以下EM)に相当する役職です
- Twitter: https://twitter.com/ryu_f_web
- キャリア
- バックエンドがメインのWeb系エンジニアとして3年
- その後マネジメント4年
- その後スペシャリスト2年
- 再びマネジメント職に復帰して4ヶ月 ←今ココ
- ここ2年ほどはビジネス書を読むことが多かったため、それらの知識と今までの経験も踏まえたアウトプットの機会が、今回の連載です
- 誤りや別の解釈の余地も多々あるでしょうが、温かくリアクションいただけますと幸いです
ビジョン力やリーダーシップが欠如していたあの頃
- エンジニアとして働き始めて7年
- そのうちマネジメント4年のあの頃
- 私は、比較的平凡なEMになっていました
- 今は特別なのかと言われると、おいそれとそんなことは言えませんが
- 少なくとも当時とは言動が大きく異なるはずです
- 7年間1つのサービス開発に携わり、最古参のプレイングマネージャーでした
- 時期により異なりますが、10名前後のメンバーが所属するチームのEMとして働いていました
- 当時の仕事も充実していたのですが、アセスメント研修(マネジメント能力を定量的に測る外部研修)では
- ビジョン力
- リーダーシップ
- などが不足していました
- 当時は自チームの成果・貢献、自チームメンバーの成長を、四六時中がむしゃらに考えていた記憶があります
EMを離れることになった
- そんな頃、ちょうどEMを離れることになりました
- というのも、当時携わっていたサービスで大規模プロジェクトが発足し、エンジニアが不足していました
- それと同時期に優秀なEMが入社され、マネジメントを離れる余裕が生まれたタイミングでもありました
- EMをお任せし、4年ぶりに一般社員として100%プレイングに回ることとなりました
一気に視野が広がる
- EMを離れた瞬間、1つ大きな変化がありました
- それは、"今までいかに視野が『自チーム』に留まっていた"ことに気付いたことです
- チームの外には事業や会社があります
- グループ企業のため、自身の所属する会社だけでなく、グループ会社や親会社も存在します
- それら全て、見えていたのに自分ごと化ができていませんでした
- あれもできていない、これもできていない
- 見えていたはずなのに当事者意識を持てず、誰かがやってくれるだろうと考えていました
- それでは駄目だと気付き、そこからは徐々に大きな範囲で問題提起をするようになりました
もう1つのきっかけ
- そんな時、偶然もう1つの大きな変化がありました
- プライベートで読書をするようになったことです
- 読書は散々勧められてきたにも関わらず、だいたい三日坊主で終わっていました
- しかしこの時はドハマリし、1年で100冊以上読み漁りました
- この時読書にハマったのは、これら理由でしょう
- "学ぶことが楽しい"と気付いたこと
- 社会人として経験が蓄積されてきたことで、経験と知識が結合して昇華したこと
- EMを続けていたら、ここまで読書にハマることはなかったでしょう
- なぜなら前述のこれがあるからです
当時は自チームの成果・貢献、自チームメンバーの成長を、四六時中がむしゃらに考えていた記憶があります
- EMのプレッシャーや責務から解放され、自分自身の成長や、マネジメントについてじっくり考える機会を得られたからでしょう
- 読書で知識を得ることにより、
- EMとしてどんな知識や視点が足りなかったのか
- ビジョンやリーダーシップとは何か、なぜ必要か
- これらを知識として得て、客観的に見られるようになった視野と重なり、大きな変化が生まれました
言動が変わり始める
- それまでは自チームに留まった言動だったのが、徐々に会社単位に変わっていきました
- 役員からも「マネージャーやってた頃よりマネージャーらしい」と言われるようになりました
- 周囲の顔色をうかがって当たり障りのない発言をしていた頃には考えられないような、耳の痛いことを発信するようにもなりました
EMを離れるメリット
- EMを離れるメリットは主に3つあります
- 自分を客観的に見つめ直し、変化のきっかけにできる
- 組織の停滞感を減らし、新たな風を吹かせられる
- 技術に置いていかれる感覚を払拭できる
- 1点目はここまで書いてきたので、2点目と3点目も触れます
組織の停滞感を減らし、新たな風を吹かせられる
- ずっと同じEMだと、組織のルールややり方、雰囲気も停滞しやすいです
- 離れられる環境を作ること、即ち外部から新たなEMを雇用するか、メンバーを昇進しないと難しいでしょう
- つまり今までと別のEMが役割を担うため、組織に新たな風が吹くでしょう
- 必ずしもうまくいくわけじゃないので、適宜サポートは必要です
技術に置いていかれる感覚を払拭できる
- EMを続けていると、不安に襲われることがあります
- 「メンバーや世の中の技術に置いていかれているのでは?」
- マネジメントはある意味ジョブチェンジのため、業務でコードを書く時間は当然減ります
- すると
- エンジニアとしてこれでいいのだろうか?
- 他メンバーの話題に付いていけないけど良いのだろうか?
- 枯れた技術しか使えないEMが評価者で、メンバーや採用候補者は納得するだろうか?
- 等の不安や疑問を覚えるようになります
- もちろんプライベートでコードを書くのも手段の1つではありますが、必ずしも時間が割けるわけではないでしょう
- そこでEMからメンバーに戻ることで、必然的にコードに触れる時間が増やせます
デメリットもある
- この記事ではここまで無責任に『EMは、一度EMをやめてみればいい』と主張してきました
- しかし、当然ながらデメリットやリスクも存在します
- まず、後継者問題です
- 以前記事で書いたように、そもそもEMを目指す割合は多くないため、後継者が不足している可能性があります
- 後継者にお任せしたとして、うまく引き継げず、大量離職等の問題が起きるリスクもはらんでいます
- 他にも、(元)EM自身のモチベーション問題です
- そもそもEMとして長年働いていると、そこにアイデンティティを感じるようになります
- EMという役職にしがみつき、プレイヤーへ戻ることに抵抗感や不安を覚えることもあるでしょう
- こうなってしまうと、結構厳しいです
- EMをやめる判断は間違いなく大きな決断ではあるので、成長のチャンスにできるかは個人に大きく依存するでしょう
- EMという役職にしがみつき、プレイヤーへ戻ることに抵抗感や不安を覚えることもあるでしょう
- そもそもEMとして長年働いていると、そこにアイデンティティを感じるようになります
- 人事評価との整合性
- EMとしての年収がXXX万円だとして、プレイヤーに戻った場合どうなるでしょうか
- 会社や組織によって変わるでしょうが、EMの期間が長ければ当然プレイヤーとしてのブランクは長いため、下がる可能性は否定できません
- 逆にステイなり上昇した場合、周囲のメンバーに対する評価の妥当性に疑問が生まれる可能性もあります
- ここはよく会社と話し合う必要があるでしょう
- EMとしての年収がXXX万円だとして、プレイヤーに戻った場合どうなるでしょうか
- まず、後継者問題です
最後に
- そろそろまとめに入ります
- 2年ほどプレイヤー、途中からスペシャリストとして勤務をしました
- そして組織が大きく変わるタイミングで、再びEMを任せられることになりました
- EMを一度やめるまで狭まっていた視野ですが、EMに戻ることで再度狭まることは無かったように感じます
- 主観なので、思い込みの可能性は否定できませんが
- 2年の経験と知識により、成長が鈍化していたところから殻を破り、EMとして大きく成長できたはずです
-
少なくとも2年前なら、マネジメントでQiita25記事連載 なんて絶対できませんでした
- それだけマネジメントについて語られる知識が無かった
- 社外に発信するリーダーシップや勇気がなかった
- というわけで、熱い自分語りな記事となりましたが、『EMは、一度EMをやめてみればいい』というテーマでした
- 次回は、第1回〜第23回連載のまとめです
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