はじめに
AWSの認定資格の一つであるAWS Certified AI Practitioner (AIF-C01)に合格したので、その体験記と勉強方法を紹介します。
AWS Certified AI Practitioner は、AWS の人工知能(AI)、機械学習(ML)、生成 AI に関する基本的な知識を証明する資格です。
Foundational カテゴリに位置づけられており、基礎と概念の理解を目的としています。実務経験は必要ありません。
目的
AWS認定試験の受験は今回が初めてです。認定資格自体にあまり興味はなかったのですが、以下の2つの目的で受験を決意しました。
- AWSのAI関連サービスに関する知識を深めたい
- AWS re:Inventの AWS 認定者ラウンジに入場して、SWAGをもらったりエンジニアとの交流を深めたい
試験概要
- 試験時間: 90 分
- 試験形式: 65 問(一部は採点対象外)
- 試験範囲: 試験ガイドを参照
- 費用: 100 US ドル(詳細は試験の料金)
- 合格スコア: 100〜1000 のスコアで評価され、700 が合格ライン
今回の受験費用は日本円で15,000円ですが、私はAWS Community Buildersが年1回利用できる無料バウチャーを利用しました。
準備
試験日程を決める
まず、受験日を決めました。勉強を開始してからおよそ 2 週間後の休日を試験日に設定しました。受験日から逆算して学習計画をたてた方が効率的です。
受験日と場所の予約は、AWS Certified AI Practitionerのページにある試験をスケジュールするのリンクから、AWS Builders IDでCertMetricsのダッシュボードにログインして行います。
テストセンターで受験する場合は、会場によって空き時間が異なるので、早めに日時を選択することをお勧めします。私は、テストセンターでの受験を選択しました。
試験範囲の学習
学習に使用した書籍・資料
- AWS認定AIプラクティショナー 合格対策テキスト+問題集
- AWS認定資格試験テキスト AWS認定AIプラクティショナー
- AWSの基本・仕組み・重要用語が全部わかる教科書
-
Skill Builder AWS Certified AI Practitioner内の
Exam Prep Plan Overview: AWS Certified AI Practitioner (AIF-C01 - 日本語)
学習の進め方
上記 2 冊の認定試験対策本をそれぞれ一通り読み、書籍にある練習問題も解きました。
後者のほうが各 AWS サービスの詳細な解説やユースケースが充実しており、練習問題も実際の試験に近い印象でした。学習を進める中でより詳細を知りたい場合は、「AWS の基本・仕組み・重要用語が全部わかる教科書」を辞書的に参照しました。
Amazon Bedrock は慣れているものの、Amazon SageMaker や機械学習関連の知識が乏しかったため、それらを中心に学習しました。すでに理解している内容も多かったため、書籍は基本的に流し読み程度にとどめました。理解が曖昧な点は、書籍を読み直して理解を深めました。
ノートやメモは作成していません。
具体的には、以下のような順番で学習しました。
- 「AWS認定AIプラクティショナー 合格対策テキスト+問題集」をひととおり読む。
- 巻末の練習問題を解く。
- 理解が曖昧な点は、書籍を読み直す。
- 「AWS認定資格試験テキスト AWS認定AIプラクティショナー」をひととおり読む。
- 各章末の練習問題を解く。
- 理解が曖昧な点は、書籍を読み直す。
- 「AWSの基本・仕組み・重要用語が全部わかる教科書」の第16章
機械学習関連のサービスを読む。 - Skill Builderの
Exam Prep Plan Overview: AWS Certified AI Practitionerを使って試験画面や出題形式を確認する。
今回が初めてのAWS認定試験の受験だったので、Skill BuilderのExam Prep Plan Overview: AWS Certified AI Practitionerを使って試験画面や出題形式を確認しました。実際の試験画面と同じような画面を確認できたのが助かりました。
試験当日
受付から試験開始までの流れ
試験当日は 10 時に予約をし、9 時 20 分ごろには会場に到着しました。受付を済ませ荷物をロッカーに入れて待機スペースで待っていると、すぐに試験スペースに案内されました。10 時ごろになると受付が混雑するので、準備ができ次第順に試験を開始しているそうです。
試験スペースに設置されたPCの画面に従い、試験を開始しました。試験時間は 90 分ですが、開始前に注意事項を確認するための時間 5 分と、終了後にアンケートに回答する時間 5 分が別途設けられています。
試験
試験問題を解くなかで、全体的に練習問題よりも難易度が高いと感じました。当初、Foundational カテゴリなので準備なしでも大丈夫だろうと考えていましたが、準備を重ねて正解でした。
試験時間 90 分で 65 問あるので、1 問あたり 1 分 30 秒程度の時間があります。私の場合は、約 30 分ほど時間が余ったので、落ち着いて見直す時間がありました。
試験終了後
試験終了後は、アンケートに回答して完了です。アンケートの内容は、試験の内容や準備方法、試験の難易度などについての質問がありました。
試験結果
試験結果は 5 日以内にメールで通知があるとされていますが、当日の 20 時ごろに通知が届くことが多いようです。
スコアは828で合格でした。機械学習分野はほぼ触ったことがなく知識が曖昧な点が残っていたので、満点には遠かったようです。この表を見る限りは、各項目で必要なスコアを満たしたようです。
試験を受けた感想
試験ガイドにあるように、AWSに関する幅広い知識が問われます。一見するとAIに関連がなさそうなEC2やS3、CloudWatchなどのサービスに関する問題も出題されます。それらは、生成AIや機械学習を活用するうえで必要なデータの保存や、ログの出力、監視といった場面で結びつきます。
また、Bedrock とその周辺知識だけでは不十分なので、SageMaker や機械学習関連の AWS サービスに関する知識が必要です。出題内容を見る限り、Bedrock 関連のものは少なく、SageMaker や機械学習のものが多かったように感じました。その点からも、「AWS の基本・仕組み・重要用語が全部わかる教科書」の第 16 章「機械学習関連のサービス」の内容がとても役立ちました。
また、回答の選択肢には誤答しがちなものが含まれているので、各サービスの違いやユースケースを理解することが重要です。特に機械学習関連のサービスは多岐にわたるので、サービス名と内容をしっかり紐付けることが重要です。これは、「AWS認定資格試験テキスト AWS認定AIプラクティショナー」の解説が参考になりました。
Skill Builder AWS Certified AI Practitionerの各分野毎の解説や練習問題は今回の学習では使わなかったのですが、試験後にいくつかみてみると実際の試験問題の出題形式に沿った内容でした。
一部の設問では、観点によって捉え方が異なるのではないかと疑問に思うものもありましたが、選択肢をよく読めば正解を見つけられるので、練習問題などで慣れておくと良いでしょう。実際の試験問題は練習問題よりも難易度が高いものが多いので、練習問題を楽に解けたからと安心するのは危険です。
まとめ
AWS Certified AI Practitionerの勉強方法と受験体験記を紹介しました。
この試験は、生成AIや機械学習以外にもAWSに関する幅広い知識が問われる試験です。網羅的に学習すると時間がかかり非効率なので、認定試験対策本とSkill Builderにある練習問題を最初に解き、そのうえで理解が曖昧な点を中心に読み込むなど、必要な分野を中心に学習することをお勧めします。
