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第二種電気工事士試験を受験した話

Last updated at Posted at 2024-12-31

電気工事という概念すら知らなかった初心者が、第二種電気工事士試験を受験してみたのでその備忘録を残します。

はじめに

電気工事士について

電気工事士については、電気技術者試験センターのページで詳しく説明されているので、こちらから引用します。

電気工事士は、電気工事士法という法律で定められている国家資格です。
同法では、低圧で受電する一般家庭、商店等の屋内配線設備や小規模な太陽電池発電設備や高圧で受電する小規模なビル、工場などの電気設備の設置又は変更に係る電気工事の作業については、「電気工事士」の資格を有する者が従事することを義務づけています。
電気工事士は、電気工作物の保安についての高度な知識と技能を身に付けた専門技術者として、高いステイタスを持ち、電気工事の欠陥による災害の発生防止に寄与するという社会的に重要な役割を担っています。

第二種電気工事士について

試験に合格して免状交付を受けると、一般家庭、商店等の屋内配線設備等(一般用電気工作物)の電気工事を行うことができるようになります。
ざっくり説明すると、壁の中にあるコンセントの裏側の配線やエアコンの設置が可能になります。

試験の概要

詳細は受験案内を参照いただくとして、ここでは概要を記述します。
なお、これ以降の具体的な日付、期間などは令和6年度下期の第二種電気工事士試験におけるものです。

第二種電気工事士の試験は年2回(上期、下期)実施されています。

おおまかな流れは:

  1. 受験申込み
  2. 学科試験(下記のどちらかを選択)
    • 筆記方式
    • CBT 方式
  3. 技能試験
  4. (免状交付申請)
    • 試験の範囲に含まれませんが、免許取得には必要な作業です
    • 都道府県ごとに手数料、申請方法が異なるようです

となっています。

図にすると下記のようなイメージです。

学科試験

筆記方式、もしくは CBT 方式を選択して受験します。私は、CBT 方式を選択しました。

  • 筆記方式
    • CBT 方式の実施期間(9/20〜10/7)の最終日から20日後(10/27)に実施された
    • 学科試験の勉強時間を長く確保したい人におすすめ
    • 都道府県の選択はできるが、実際の会場は受験票発送日まで不明
    • 居住地は考慮されないので、同じ都道府県だったとしても遠い会場になる可能性がある
  • CBT 方式
    • CBT 方式で受験するには、申込み完了した後(9/5)で指定された期間(9/11〜9/17)に CBT 方式への変更申請をする必要があった
    • 受験申込み時には自動で筆記方式が選択された状態になっていた
      • 罠です
    • 早めに CBT 会場を予約しないと、よい枠が埋まってしまうかも
    • 予約日の3日前であれば、日時と会場を変更できる
    • 合否結果は受験日の2週間後に試験センターのマイページから確認できる

対策

以下の試験対策を行いました。

本番

近所の CBT のテストセンターを予約しました。できるだけ勉強時間を確保したかったのですが、予約申請が遅れてしまって実施期間の最終日から数日前に受験しました。

実際に受験してみての振り返りを記述します。

  • 基本的に持ち込みできず、筆記用具が貸与される
    • 手に馴染んだ筆記用具を使いたい方は CBT 方式でなく筆記方式がよいかも
    • 筆記具はボールペン1本
    • メモ用紙は A4 サイズ1枚の両面のみ
      • 計算式や複線図を大きく書きすぎるとスペースが足りなくなるかも
      • A4 用紙を用意して、1期分の過去問を解いておくとよさそう
  • 配線図の拡大率が問題ごとにリセットされてしまう
    • 最初は焦りましたが、マウスのスクロール(拡縮)とドラッグ(表示位置調整)を活用できることに気づき、大きなタイムロスにはなりませんでした
    • CBT 方式で受験するなら、操作方法確認と体験版試用はしておくとよさそう
      • ただ、上記体験版ではマウスのスクロールとドラッグが動作しないかも
  • 問題を解き終わったら、
    • 任意のタイミングで退出できる
    • 正答数が画面に表示され、プリントアウトもしてくれる
    • 合否目安がすぐにわかるので、技能試験の準備を早めに始めるかどうかの判断に役立つ

技能試験

13種類の候補問題が事前に公表され、その中の1つが試験問題として出題されます。その問題を40分間の試験時間で施工します。施工条件の通りに工事をする必要がありますが、詳細な条件については事前に公表されていないので試験問題を見るまでわかりません。
また、欠陥が無いことも合格基準の一つです。

試験地は、筆記方式の学科試験と同様で都道府県単位の選択ができます。
試験日は都道府県で異なります。令和6年度下期では、12月14日(土)もしくは15日(日)でした。試験日を間違えないようご注意ください。

道具・材料の用意

学校や職場で練習道具と材料を用意してもらえる方はよいのですが、私のように趣味で資格取得をする場合はそれらを準備する必要があります。幸いなことに、家族と知り合いからほとんどの道具を借りることができ、ケーブルやコンセントなどの材料の一部は知り合いの大工さんが譲ってくださいました。
道具を借りることができない場合は、ホーザンの「DK-28 電気工事士技能試験 工具セット」あたりを買っておくとよいと思います。VVF ストリッパーと圧着工具以外は、すでにお持ちの方も多いと思うのでそれら2つを個別に購入してもよいでしょう。

主要な道具と材料は、借りたり譲っていただくことができましたが、細々としたものはホームセンターと100円ショップで用意しました。

  • マスキングテープ
    • メジャーを固定したり、作業の効率化に何かと役立ちます
    • リングスリーブで複数の芯線を圧着するのですが、4本以上を同時に圧着する場合に仮固定すると作業しやすいです
  • 定規
    • 50 cm までの長さを計測できるのが望ましいですが、30 〜 40 cm までのものでもなんとかなると思います
      • ホーザンの動画では 40 cm まで計測できる布尺を使っています
    • 普通の定規でよいと思いますが、かさばるのが嫌だったので裁縫用の 1.5 m のテープメジャーをマスキングテープで 50 cm から先の部分を巻いた状態に固定したものを用意しました
    • 私は試していませんが、下記のようなものでも大丈夫かもしれません
  • 手袋
    • 無くてもかまいませんが、練習中にケガをしてから左手だけ着けるようにしました
    • 巻き癖のあるケーブルを伸ばすときにも便利です
    • 薄手で滑り止めが付いているものを用意しました
  • 4色ボールペン
    • 複線図を描くときにあると便利です
    • 書き込む情報の種別ごとに色分けしてミスを減らすのに役立ちます
  • DK-200 合格マルチツール
    • こちらも必須ではありませんが、あると地味に便利です。知り合いに借りました
    • 以下の用途に使いました
      • はずし穴への差し込み
      • 埋込連用取付枠からの器具の取り外し
      • 複数芯線へのリングスリーブの押し込み

候補問題の No. 8 と No. 13 で使用する「VVR ケーブル」ですが、一般的なホームセンターでは入手が難しいようです。
私も近所のホームセンターでは入手できなかったため、円形でかつ介在物のある似たようなケーブルを購入しました。ただ、被覆の素材がゴムだったようで、かなり剥きづらくあまり練習にはなりませんでした。
事前に練習したい方は、オンラインで購入されるとよいでしょう。

また、芯線被覆を剥く長さやランプレセプタクルのねじの大きさなどがメーカーによって異なるようなので、余裕があれば複数メーカーの材料を用意しておけるとベターです。

練習

以下の方針で練習を行いました。

  • ホーザンのモバイルアプリを教材にした
    • よくまとまっていて、動画解説もわかりやすかった
    • Web サイトや Youtube チャンネルでも勉強はできるが、リンクが散逸しているので、アプリのほうが効率もよく、余計な認知負荷もかからず快適
  • 単位作業
    • スイッチの取付や芯線の圧着など、施工全体から作業をモジュール単位で抽出したようなもの
    • 時間がかかってもよいので、欠陥なく施工できるようになるまで練習
    • 部品ごとに芯線被覆を剥く長さの目安が異なるので覚える必要がある
    • 難易度高めのランプレセプタクルか露出形コンセントを重点的に
      • 「のの字曲げ」の練習にもなる
    • VVR ケーブルについては入手できなかったため、動画でイメージトレーニング
  • 候補問題
    • すべての単位作業について、ある程度覚えたら候補問題に着手
    • まずは動画を視聴して技能試験の流れを把握する
      • ホーザンの解説動画は番号が若い試験問題から順に見るとわかりやすい
      • 若い番号のほうが、解説が丁寧
      • 複線図の書き方など、参考にできる部分も多い
      • Youtube 動画なので、2倍速再生可能
    • 次に、時間を計測しながら候補問題を施工してみる
      • モバイルアプリだと時間計測もできる
      • 時間がかかった箇所や反省点、改善点をメモしておいて、次の候補問題で活かす
        • 複線図の書き方は工夫の余地あり
    • 13種類の候補問題を1回ずつは練習しておきたい
      • 私はできませんでした…
    • 候補問題を解くのに慣れてきたら、本番の環境を意識した練習

計画的に練習時間を確保して実践できる方はよいのですが、一人だと中々モチベーションが湧かないものです。
私は近所の方と同時に受験していたので、下記の方法で練習時間を確保しました。

  • 公民館を借りて特訓
    • 集中を乱すもの(家族、テレビなど)が少なく、仲間も居るので集中できる
    • 技能試験の1週間前と前日に特訓実施
    • 電気工事の練習をしてもよいか、公民館に確認しましょう
    • 芯線はどこかに飛びやすく踏むと痛いので、終わったらしっかり掃除をしましょう

練習記録

候補問題をとき終わる度に下記のような記録を付けていました。

  • 候補問題 No. 1
    • 所要時間:36:30
    • 芯線がずれてしまうので、外装ケーブルを剥く前に反対側を少し曲げておく癖をつける
    • 時間が足りなくなってしまうので、仮接続せずにリングスリーブを1つずつ圧着した方がよいかも
      • 間違えた箇所は、最後にやり直す
    • 作業を忘れがちなので、
      • 最初に連用枠を付けてしまう
      • 連用取付枠とゴムブッシングの取付は最初にやる
    • 芯線ストリップについては、下記を意識
      • 圧着は短め
      • コネクタは長め

本番

試験会場が自宅から遠く、公共交通機関によるアクセスが悪かったので、家族に自動車で送迎してもらいました。車は駐められないだろうと思っていましたが、駐車場が用意されていました。
案内には公共交通機関を利用するように書かれていますが、試験会場に駐車場の有無を問い合わせてみてもよいかもしれません。

持ち物

当日持参する持ち物です。
受験案内や受験票を確認して忘れ物がないようにしてください。

  • 受験票
    • 忘れがちです
    • 取りに戻れない場合は、試験場本部受付へ行き、指示を受けてください
  • 工具・道具
    • 電動工具は使えません。電源 OFF でも使用不可です
    • 練習で使っていた場合は、マスキングテープや手袋も忘れずに
  • 筆記用具
    • 複線図を描く場合にも使いますが、作品へ取り付ける受験番号札に氏名などを記入するのにも使います
  • 時計 or ストップウォッチ
    • 電卓、通信機能のないもの
    • 会場にあるかもしれませんし、時間配分を気にする必要がなければ必須ではありません
  • オプション
    • カイロ
      • 寒さで手がかじかむのを防ぎます
      • 会場はそこまで寒くありませんでしたが、小さいものよりも大きめで温度が高いものをおすすめします
    • 練習記録
      • 試験前に復習してミスを減らすようにしましょう
      • SNS などに投稿しておくと他の方の参考にもなってよいかも

会場到着〜試験開始まで

入室禁止時刻から試験終了まで1時間強の間は退出できません。また、退出も一人ずつになり時間がかかるので、お手洗いなど済ませておきましょう。
私は早めに入室できたので、候補問題の単線図から複線図を書き起こす復習を1回ずつ行い、練習記録の振り返りをすることができました。

口頭で説明される注意事項と問題用紙の説明をよく確認しておきましょう。
特に、追加支給については必要になった場面を想定しておきましょう。
一部の材料・部品が、紛失・作業のやり直しで不足した場合に追加で支給してくれます。
私の試験問題用紙(持ち帰れます)では、下記が対象になっていました。

  • ランプレセプタクル用端子ねじ
  • リングスリーブ
  • 差込形コネクタ

問題用紙の表面にある材料一覧を確認し、どの候補問題が出題されるのか推測して、イメージトレーニングをしておくとよいです。
また、集中して問題用紙を見つめると、反転した単線図がうっすらと見えるという超常現象が SNS などで報告されています。幸い、私にもこの現象が起こったので、より具体的な施工手順を事前にイメージすることができました。

また、下記の準備もしておきましょう。

  • 作業順で取り出しやすいように工具のポジションを整える
  • 保護板がなぜか少し反っている場合は、裏返すかそのまま使う、もしくは作業開始後にテープで固定するか、などの方針を決める

試験開始〜終了まで

まずは、テープメジャーを机に固定しました。
問題用紙を開いて、予測していた通りに No. 12 の候補問題であることを確認。
忘れがちな下記の作業を実施しました。

  • 連用取付枠への取り付け
    • スイッチ
    • コンセント
  • ジョイントボックス(アウトレットボックス)への取り付け
    • ゴムブッシング
    • 合成樹脂製可とう電線管

次に、複線図を書き起こしました。

  • 2.0mm や 3心の VVF ケーブルにはマークを付ける
  • 施工条件を確認し、スリーブの圧着マークを書き込み
  • 複線図

手袋を左手に着け、本格的に施工を開始します。
ケーブルをストリップしていくのですが、その剥きやすさに感動しました。
普段から練習に使用していたのは、大工さんに譲っていただいた解体後のケーブルでよれて剥きづらかったですし、前日の特訓のためにホームセンターで入手した VVF ケーブルは不良品だったのか(ケーブルの印字が異様に薄かった)全力を出してやっと剥けるような硬さでした。
おかげで手が筋肉痛でしたが、本番のケーブルは剥きやすくて助かりました。

閑話休題。
基本的に作業中のトラブルはありませんでしたが、ランプレセプタクルの作業で少し焦りました。
練習で使っていたものとはメーカーが異なるのか、のの字曲げの大きさが合わず、ねじが上手く締まりませんでした。
同様のトラブルは露出形コンセントの単位作業の練習でも遭遇していたので、パニックを起こさずに済みました。

10分ほど時間に余裕があったので、ケーブルの長さを確認するなど作品の見直しを行い、受験番号札を取り付けて、工具の片付けを開始しました。
試験終了アナウンスの後に退出するのですが、前述のように一人ずつ席を立って退出していきます。
私は3人目ぐらいに退出できましたが、最後の方になると退出するまでにそれなりの時間がかかるのでは、と思います。

振り返り

技能試験を終えての反省点などを記述します。

  • 複線図の見直しをすべきだった
    • 工具の片付けは後回しでよかった…
    • 圧着マークが合っているか
  • 施工条件の確認をすべきだった
    • 特に、リングスリーブ or 差込形コネクタのどちらを使うか
  • 複線図を描く前に、忘れがちな作業を先に済ませておいてよかった
    • ゴムブッシングの切込み・装着
    • 連用取付枠へコンセントやスイッチを取り付け
  • 寒くて手がかじかむ
    • 会場も微妙に寒い
    • 暖かい屋内で練習できればよいが、私のように屋外で練習する場合は大変
    • 可能であれば下期でなく上期受験がおすすめ

おわりに

試験を終えてみて技能試験が想像よりも大変でした。
電気工事技術者の Web サイトが更新されて使いやすくなりましたね。
技能試験の合否結果は2025年1月17日に公表されるようです。

2025/02/08 追記

技能試験も合格していました!
私の住んでいる都道府県は電子申請に対応しているのですが、証明写真の電子データを用意できていないので、まだ申請できていません。
スマートフォンで適当に撮ってもよいのですが、有料の証明写真を撮影するか迷っています。

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