DR-DOSは、Gary Arlen Kildall率いるDigital Research社が1980年代に開発したDOSの一種です。
しかしMS-DOSとの競争に勝つことができず、最終的にはWindowsの登場によって表舞台から消えていきました。
当時のことなんて全く知らないので伝聞でしかないですが、ということだったそうです。
その後はバージョン8.1で無関係なアプリを盗用したため7.xに戻ったり、所有者もNovell → Caldera → Lineo → DeviceLogicsと流浪の歴史を歩んだ挙句、最終的にWhitehornという会社によって25000ドルという破格で買収されたようです。
この会社について全く情報が出てこないので謎。
そんな古代の遺物であるDR-DOSですが、長い沈黙を破って先日2026/01/31になんか突然DR DOS 9.0が公開されました。
おお、ついに復活なのか、と思いきやなんかDR DOS® 9.0 is a faithful clean-room reimplementationとかいう怪しい文字が見えるんですよねえ。
The Official DR DOS Website
DR DOSは、Gary Kildallによる革新的なOSを受け継いでいます。
1988年にDigital Researchによって開発されたDR DOSは、MS-DOSよりも技術・パフォーマンス・互換性に優れていました。
DR DOS 9.0は決してただのDOSクローンではありません。
DR DOS 9.0は次世代の愛好家、開発者、ハッカーのために法的問題を解決した、Kildallのビジョンを受け継ぎつつ現代的なOSを完全にゼロからクリーンルーム再実装したOSです。
What's Included
DR DOS 9.0には、コマンドとユーティリティの完全なセットが含まれます。
・コアファイル管理:CD・COPY・DEL・DIR・MD・MOVE・REN・TYPEなど。
・テキストエディタ:カラー、キーボードショートカット、クリップボードに対応したフル機能エディタ。
・システムユーティリティ:MEM・VER・DATE・CLS・MORE。
・高度なツール:HEXDUMP、マウスドライバ、REBOOTユーティリティ。
・低レベルアクセス:PEEK・POKE・JMP。
・ハッカー向け:システムメモリに直接アクセスできるコマンドが存在し、低レベルコードやOSの研究に最適なプラットフォーム。
Who Is This For?
DR DOS 9.0は、以下のようなユーザに最適です。
・DOSマニア、レトロコンピュータ好き。
・OS開発、低レベルプログラミングに興味のある人。
・OSの学習・教育目的。
・DOS向けソフトウェアの互換性確認。
・最小限のDOS環境で動く組み込みシステム。
・OSの歴史に興味のある人。
Frequently Asked Questions
Q: Why are you doing this?
いったい何の目的でこんなことを?
DR-DOSはコンピュータの歴史において重要な指標であり、またGary Kildallの遺産でもあります。
我々は、このOSが過去の複雑な法的問題から解放され、生き続けていくに値するものであると信じています。
クリーンでオープンな再実装を行うことで、DR-DOSの卓越性を未来のハッカーや歴史家たちに引き継いでいきます。
Q: Is this really DR DOS?
これは本当にDR DOSなの?
はい。
これはテセウスの船といえます。
コードを全て置き換えたのに、それでもDR-DOSと呼んでいいのでしょうか?
我々はそのとおりであると考えています。
我々は商標を保持していますが、それ以上に重要なのは、DR-DOSとはコードではないということです。
それはGary Kildallのビジョンであり、技術と革新性、品質です。
我々はそのビジョンと信念を受け継いでいます。
これは本物のDR-DOSであり、新時代に向けて生まれ変わりましたが、そのルーツは変わっていません。
Q: What does "clean-room reimplementation" mean?
クリーンルーム再実装とはどういう意味ですか?
DR-DOS9.0は、それ以前のバージョンのコードを一切使用せず、完全にゼロから構築されています。
法的に問題のあった8.0と異なり、9.0のコードにはEDR-DOS・Caldera・Novell・FreeDOSのコードは含まれていません。
これはDOSのドキュメントから仕様と動作を再現し、開発された、法的問題のない全く新しいコードベースです。
クリーンルーム開発により、かつて問題となっていた法的問題をクリアし、DR-DOSをふたたび配布することが可能になりました。
Q: Can I use DR DOS for commercial purposes?
DR-DOSを商用利用できますか?
ベータ版は非商用利用のみ可能です。
商用ライセンスについてはお問い合わせください。
Q: Will my favorite DOS software work?
私のお気に入りソフトは動作しますか?
互換性の検証は現在も続いていますが、.COMおよび.EXEのプログラムはほぼ動作するはずです。
現在の仕様の制限(バッチファイル非対応、FAT16のみ等)により、一部のプログラムで問題が発生する可能性があります。
Q: Where can I find historical releases?
過去のバージョンはどこで手に入りますか?
過去のベータ版はアーカイブにあります。
感想
やっぱりDOOMが動くのは最優先事項みたいです。
クリーンでオープンと言いつつ現在はクローズドソースで、ライセンスも一般的なものではないのでよくわかりません。
まだベータバージョンであり、拡張メモリなど対応が完了していない機能も一部存在します。
実環境で使用することも推奨されていません。
もっとも、毎週すごい勢いでリビジョンが増えているので、ベータが取れるころにはもっと自信を持って勧められる完成度になるしライセンスも標準的なものになるのではないでしょうか。
クリーンルーム実装といえば先日ちょうどクリーンルーム実装を標榜してLGPLからMITライセンスに変更して原作者から大批判を食らったプロジェクトがあったり、流出したコードを全部AIで書き換えてクリーンルームを主張しているプロジェクトがあったりするわけですが、こちらのクリーンルーム実装は大丈夫なのでしょうか。
この会社はDR-DOSの商標を正当に所有しており、また最大の懸念である原作者Gary Kildallは1994年に死去しているため、本人から文句が来ることもおそらくなさそうです。
DR-DOSについては、そのあたりの問題はないのではないかと思われます。
しかしDR-DOSは正統な存在だとしても、Whitehornという会社自体の情報が全く公開されておらずよくわかりませんでした。
中の人がRedditにいるのですが、目新しい話はWarcraft・Simcity・Commander Keenも動作するという話くらいでした。
