はじめに
Claude Code を Max 契約で1か月使った量を、API 単価の従量課金で買ったらいくらになるか?
2026年9月の自分の利用ログを現在の API 単価で換算すると、月 47.8万円になった。実際に支払っている Max の月額 $110(17,380円)を従量課金に充てた場合、カバーできるのは9月の利用量の 3.6% である。
同じ使い方をした場合の1人あたりの月額を、Max 5x と従量課金で並べると次のようになる。Max は固定額なので使った量によらず同じ高さで、従量課金は使った量に応じて伸びる。
開発に多く使うほど、固定額の契約と従量課金の契約で費用の差は開く。
以下では、なぜこの差が生まれるのか、9月に生成AIを何に使ったのか、47.8万円はどのように見積もったのか、この結果は自分の使い方に限った話なのか、の順に確認していく。
なぜ契約で費用が変わるのか
定額の Pro/Max と、API 単価で課金される契約では、費用の決まり方が違う。claude.com/pricing の表示に従うと次のとおりである。
| 契約 | 料金 | 利用量の決まり方 |
|---|---|---|
| Pro | 月額 $20 | 5時間単位と週単位の利用枠。トークン数は非公表 |
| Max 5x / 20x | 月額 $100 / $200(税抜) | Pro の5倍 / 20倍の利用枠。トークン数は非公表 |
| API 単価の従量課金 | 使ったトークン × モデル別の単価 | API を直接使う場合のほか、Enterprise の利用料部分もこの方式(席料金 US$20/席/月 が別途かかる) |
Pro/Max は、Max プランの公式説明にあるとおり、5時間ごとのセッション制限と週単位の制限の範囲内なら、何トークン使っても月額は変わらない。枠のトークン数は公表されていない。
従量課金では、使ったトークンに API 単価を掛けた額をそのまま払う。Enterprise の消費ガイドは、Claude Code がシステムプロンプト、ファイルの内容、ツール呼び出し、多段の推論によって、チャットより多くのトークンを消費すると書いている。
API 単価は公式の料金表でモデルごとに決まり、トークンの種類で4つに分かれる。入力、キャッシュ書き込み(入力単価の1.25倍または2倍)、キャッシュ読み出し(入力単価の0.1倍。Fable 5.1 は0.025倍、Opus 5.5 は0.05倍)、出力である。Claude Code は毎ターン、会話の全履歴とツール定義をモデルに送り直す。2ターン目以降の履歴はキャッシュから読み出されるため単価は安いが、会話が長くなるほどターンごとの読み出し量が積み上がる。定額の Pro/Max ではこの積み上がりが月額に現れないのに対し、従量課金ではそのまま利用料になる。この構造の違いが、開発に多く使うほど差が開く理由である。
9月に何に使ったか
9月は Claude Code を、Qiita 記事向けのソフトウェア開発と調査、ローカル LLM の性能調査、公開していない開発に使った。成果の量を GitHub のコミットで数えると次のとおりである。対象は自分が著者のコミットで、既定ブランチにマージされた分だけを日本時間の9月で集計した。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| コミット数 | 218 |
| 追加行 / 削除行 | +52,431 / −11,929 |
| ファイル変更数 | 1,270 |
| コミットのあった日 | 26日 / 30日 |
変更行の言語別では Python が約6割、Markdown が約2割で、残りが TypeScript、SVG、JSON などである。Markdown が多いのは、記事の原稿と仕様書類を Claude Code で書いているためである。
公開しているものは次のとおり。
- qwen3_8_flash_next_with_qwen_code:Qwen3.8 Flash-Next を Apple Silicon 上で長いコンテキストのまま Qwen Code のバックエンドにする構成と、ランタイム(ollama / mlx_vlm / OMLX)ごとの生成速度の計測。記事は Qwen3.8 Flash-Next を長いコンテキストで失速しにくい OMLX 構成で Qwen Code のローカルバックエンドにする
- typesafe-examples:TypeSafe AI の Jev を OpenAI の Function Calling と並べて比較する例集。記事は Jev (TypeSafe AI) の基礎的な使い方と Function Calling の実現方法を理解する
- typesafe-auto-browsing:Claude Code などのエージェントの代わりに Playwright MCP 経由で Chrome を操作する CLI。記事は 判断と確率しか出せない Jev (TypeSafe AI) に Web ブラウザを高速に自動操作させてみる
公開している3件は上の表のコミット数の1割、追加行の2割にあたる。残りは公開していない作業で、合計が上の金額である。
47.8万円の見積り根拠
集計方法
Claude Code はやり取りを ~/.claude/projects/ 以下に JSONL で保存しており、アシスタントの各応答にトークン数(入力、キャッシュ書き込み、キャッシュ読み出し、出力)とモデル名が入っている。これを日本時間の 2026年9月1日〜30日で抽出し、モデル別の単価を掛けた。同じメッセージ ID の行が複数回現れる場合は各項目の最大値を採り、サブエージェントのログも含めた。サブエージェント分を含めないと合計は約12%少なくなる。
換算の条件は次のとおり。
- API 単価は公式の料金表の 2026年10月5日時点の値
- 為替は 1ドル=158円(2026年10月2日の値)
- Max の支払額は実際に支払っている月 $110。公式表示は税抜 $100
- 従量課金側は利用料だけを数え、Enterprise の席料金などの固定費は含めない
- キャッシュ割引は API の料金表どおりに適用されると仮定する
- 税、個別契約の割引、Web 検索などツール単位の追加料金は含めない
集計対象はこの Mac 1台のログだけで、別のマシンで動かした分は含まれない。
トークンの種類別の内訳
利用料 $3,024 を、どの種類のトークンに払ったかで分けたのが次のグラフである。
金額の 55% がキャッシュ読み出しで、1時間キャッシュの書き込みを足すと 8割になる。出力は 14% にすぎない。トークン数で見るとキャッシュ読み出しは全体の 98% を占めており、単価が割り引かれていても量が多すぎて金額の主因になる。前の節で述べた「会話の全履歴を毎ターン送り直す」構造が、そのまま金額に現れている。
モデル別の内訳
同じ $3,024 をモデル別に分けたのが次のグラフである。高いモデルを利用すると利用制限に直に達してしまうため、極力 Sonnet5 を利用していた。リセット前に余裕があれば Fablebなどの高機能なモデルも利用したが、またたく間にトークンを使ってしまう。
金額の 6割は Sonnet 5 で、応答数では全体の 85% を占める。サブエージェントや短い処理をすでに Sonnet に振っている状態なので、モデルを安い側に寄せる余地は大きくない。一方、Fable 5.1 は応答数が全体の 6% しかないのに金額では 2割強を占める。単価の高いモデルを主ループに使う時間が、金額の上振れを決めている。
公開されている利用記録との比較
約27倍という倍率が結論として妥当なのか確かめるため、同じ方法で Max の利用量を API 換算した公開報告3件と並べたのが次のグラフである。
Simon Willison 氏は Max $100 の直近30日分を ccusage で算出して $1,199.79、Quesma の Jacek Migdal 氏は Max 5x の2026年6月分で $2,092 と報告している。どちらも本人が Claude Code の利用履歴から算出したものである。Reddit の投稿は匿名の自己申告で、通常月が約 $159 とされており、利用量が少ない人では倍率が小さくなる例として挙げる。
Claude Code を開発に日常的に使う2件は、いずれも Max の月額の10倍を超えており、本記事の結果はその延長線上にある。本記事の倍率が前の2件より大きいのは、利用量そのものの差に加えて、Fable 5.1 と Fable 5 の利用が金額の28%を占めることが原因かもしれない。
定額と従量課金のどちらを選ぶか
従量課金が Max $110 より安くなるのは、月の利用料が $110 未満のときである。上の Reddit の例(約 $159)でも Max 側が安い。
Claude Code を開発に多く使う人にとって、従量課金の契約を選ぶ理由は費用ではなく、監査ログや利用者の管理、組織単位の利用上限の設定といった機能に、この差額に見合う価値があるかどうかになる。自分の使い方で判断するには、Max で使った直近1か月のログを、キャッシュの割引を含めて API 単価に換算すればよい。





